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自工会など自動車5団体による令和8年新春賀詞交歓会 自工会 佐藤恒治新会長「新7つの課題のキーワードは国際競争力」

2026年1月6日 開催
「令和8年自動車5団体新春賀詞交歓会」を都内で開催

 日本自動車工業会、日本自動車部品工業会、日本自動車車体工業会、日本自動車機械器具工業会、日本自動車販売協会連合会の自動車5団体は1月6日、「令和8年自動車5団体新春賀詞交歓会」を都内で開催した。

 新春賀詞交歓会では主催5団体を代表し、1月1日付で自工会会長に就任したトヨタ自動車 代表取締役社長の佐藤恒治氏があいさつを行なうとともに、経済産業大臣の赤澤亮正氏、国土交通大臣の金子恭之氏が来賓を代表して登壇した。

 佐藤会長は、前任の片山正則氏(いすゞ自動車 代表取締役取締役会長CEO)が築いてきた業界連携の基盤を継承しつつ、実践のスピードを上げることを表明するとともに、新たに策定された7つの重点課題について言及。また、基幹産業として日本をもっと元気にしたいとのことから「元気があれば何でもできる!」と鼓舞する姿が印象的なあいさつとなった。

自工会が2026年から取り組む「新7つの課題」

1.重要資源・部品の安全保障
2.マルチパスウェイの社会実装
3.サーキュラーエコノミーの仕組みづくり
4.人材基盤の強化
5.自動運転を前提とした交通システム確立
6.自動車関連税制 抜本改革
7.サプライチェーン全体での競争力向上

 登壇者のコメントは以下のとおり。

自工会 会長 佐藤恒治氏

自工会 会長 佐藤恒治氏

 日本自動車工業会の佐藤でございます。あけましておめでとうございます。本年より片山前会長からたすきを受け取り、自工会の会長を務めさせていただくことになりました。

 年始から私たちは国際情勢の目まぐるしい変化に直面しておりますが、このようなときにこそ、日本の基幹産業としてしっかりと自動車産業が役割を果たさねばならないと、このように思っております。そのためにも自工会の新体制として、片山前会長の下で築かれてきた業界連携の基盤を継承したうえで実践のスピードを上げていきたい、このように思っています。精一杯動いてまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、本日はご多用の中にもかかわらず、赤沢経済産業大臣、金子国土交通大臣をはじめ、多くの先生方、政府の皆さまにお越しいただいております。誠にありがとうございます。日頃は自動車へのご支援、応援をいただいておりますことをこの場をお借りして心より感謝申し上げます。とりわけ、昨年は厳しい通商環境に直面し、日本の自動車産業の基盤をいかにして守り抜くか、それが問われた1年であったと思います。

 そのような中で、赤澤大臣をはじめ政府の皆さまは日米関税交渉の妥結に向けて奔走してくださいました。また、令和8年度の税制改正大綱においては、自動車関係諸税の簡素化、あるいは負担軽減に向けた大きな一歩を踏み出していただきました。心より御礼申し上げます。引き続き、日本のものづくりの競争力強化、国内市場の活性化に向けて、官民一体となって取り組んでまいりたいと思います。

 さて、自工会では昨年末に新たな重点テーマである新7つの課題を定めました。ずばりキーワードは国際競争力です。足下の厳しい環境を生き抜くため、そして、モビリティ産業として成長していくためには業界一丸となって国際競争力を高めていくことが必要であると思います。人材基盤の強化や、サプライチェーン全体での競争力向上、あるいはマルチパスウェイの社会実装を加速していくこと。こういったテーマのもと、一歩も二歩も踏み込んで、協調領域を具体化させて実践を積み重ねてまいりたいと、このように思っています。また、国際競争力を高めるためには自動車産業の強みを生かしたAIの活用、これも重要になってくると思います。

 AIをはじめ、情報処理の領域にはガベージイン・ガベージアウト、つまり質の低い情報からは良い結果は生まれないという言葉がございます。裏を返しますと、良質なデータこそが良い結果を生み出す、という意味であると思います。私たち自動車産業の現場には生産から物流、販売、整備まで長年培ってきた技術があり、これを支える人がいます。私自身、本当にものづくりにずっと携わってきて、この部分は絶対に失ってはいけない競争力の源泉であると思っています。今こそ、みんなでこの力を伸ばしていく、そのときが来ていると思います。こうした現場の技をデータに落とし込みますと、AIあるいはロボティクスを組み合わせたものづくりができれば、私たちの新たな競争力となって日本の勝ち筋にもなっていくと、このように思います。ぜひ、自動車5団体の知見を持ち寄ってこうした取り組みも進めてまいりたいと思います。

 最後になりますが、正解が分からない時代にこそ、動き続けることが大切だと思っております。意志を持って行動すれば目の前の景色は必ず変わってまいります。私たち自動車産業はこれまでも、そしてこれからも基幹産業として日本をもっと元気にする、そのお役に立つことだと思います。そのためにも、まずは私たち1人ひとりが元気でなければならないと思います。正直難しいことはいろいろありますが、「元気があれば何でもできる!」。本当はもうちょっと真似しろと言われたんですが、あまりの登山列車の重さにちょっとひるみまして、この場で真似までできませんでした、恐縮です。

 そんな思いで新年をスタートしていきたいとこのように思います。今年1年、自動車5団体、そして550万人の仲間の力を結集して、元気よく動き続けてまいりましょう。ありがとうございました。

経済産業大臣 赤澤亮正氏

経済産業大臣 赤澤亮正氏

 世界では米国の安全措置や米中をはじめ、各国による今やまさに自国最優先の大規模な産業政策が展開されています。地政学的な影響が世界に深刻な影響を与え、自由主義経済の潮目が変わりつつある中で、わが国の生活あるいは産業に影響を極力受けないようにするということが喫緊の課題かと存じます。官民が力を合わせて取り組む必要があります。われわれも覚悟を決めて、必要な産業政策を積極的に推進をしてまいりたいと考えております。

 また、AIやデータセンターの活用により電力需要の拡大が見込まれる中、エネルギー供給がわが国の経済成長の制約とならないようにしていかなければなりません。こうした中で、まず、国民の皆さまが直面している物価高への対応を最優先で取り組んでいるところです。寒さの厳しい冬の電気・ガス料金を支援するとともに、ガソリンについてもご案内のとおり、補助金を段階的に拡充をし、昨年末に暫定税率を廃止しました。これもご案内の通り、軽油については本年4月1日に廃止する方向ということであります。

 また、物価上昇を上まわる賃金賃上げを実現するため、企業の成長や生産性の向上により稼ぐ力を高め、強い中小企業、小規模事業者を目指して経営を行なっている中小企業、小規模事業者を全力で応援してまいります。特に取引適正化を徹底するため、中小受託取引適正化法に基づき、新たな規制対象とされた協議に応じない一方的な内規決定の禁止などを徹底してまいりますし、受託中小企業振興法に基づき、サプライチェーンにおける他団体の事業者が連携する取り組み、これを支援してまいります。

 次に、高市内閣の成長戦略の基本であります危機管理投資、そして成長投資の促進に取り組んでまいります。強い経済を実現するため、AI半導体や量子、バイオ、航空宇宙、エネルギー、GXなど、戦略分野を中心に、大胆な設備投資や研究開発の促進など総合的な支援措置策を早急に検討し、官民の積極的な投資を引き出してまいります。

 対外経済政策では、まさに皆さまに直接的に関係あるところですが、日米安全保障を通じて5兆円超を毎年重ねたはずの関税を2兆円超削減をすることができました。自動車、自動車部品について言えばですね、各国の税率がもともとの0%から15%の上乗せであるのに対し、わが国について言えば2.5%から15%と、上乗せ幅を12.5%にとどめることができました。ある意味では2.5%、各国との関係で価格競争力が出てくるということにもなります。ただ、引き続き15%の関税が残っていることも厳然たる事実でありまして、その影響については適切に対応させていただきたいと思っています。

 中国によるレアアース等の輸出管理措置については、従来からグローバルなサプライチェーンに深刻な影響が及んでいます。昨年10月には私からも王文濤 中国商部長に対して強い懸念を表明し、適切な対応を取るよう強く要請をしたところですが、引き続き状況を注視しつつ、関係国との連携のうえ、必要な対応を行なってまいりたいと考えております。また、経済安全保障の観点から、重要な物資が特定の国に過度に依存することのない強じんなサプライチェーン、これを構築していく。そのために令和7年度補正予算、令和8年度当初予算案において、重要鉱物の安定供給確保や供給源の切り替えにかかる支援を盛り込んでおり、引き続き皆さまのお仕事に差しつかえが生じないように全力で取り組んでまいりたいと思っております。

 わが国の基幹産業である自動車産業が、GX/DXという大きな変革の中で、未来を見据えながら国際競争に勝ち抜くための後押しを全力でやってまいります。グローバルな電動化の波を踏まえつつ、EV、FCV、ハイブリッドなど、多様な選択肢を追求するマルチパスウェイ戦略、このもとでバランスの取れた対応を進めてまいります。昨今のEUの対応など見ていると、私どものやってきたことは間違っていない、自信を深めているところでございますし、しっかりと今後も取り組んでまいります。また、クルマのSDV化が進み、付加価値の源泉がハードからソフトへと重点を移行しつつある中、官民で連携してSDV投資、これを進めてまいりたいと思います。

 車体課税については、昨年末の税制改正大綱で環境性能割の廃止が決定されました。米国関税措置の影響を乗り越え、国内自動車市場の活性化につなげていただきたいと思います。

 本年は東日本大震災から15年を迎える節目の年です。私が先頭に立って現場主義を徹底し、安全かつ着実な廃炉とALPS処理水の海洋放出、避難指示解除に向けた取り組み、あるいは事業生業の再生や、新産業の創出などに全力で取り組んでまいります。福島の着実かつ安全な廃炉、これが経済産業省の最優先課題です。このことも改めて肝に銘じて本年も取り組んでまいります。

 本年も昨年の取り組みをさらに力強く推し進め、私のモットーであります「力を合わせて世界を変えよう!」というフレーズのもとで、経済産業大臣として本年の干支である午年にちなんですね、馬車馬のように働き、全身全霊で職務に取り組んでまいります。

 何しろ昨年末に上司が「働いて×5」で流行語大賞を獲得したくらいでありますので、あまり知られておりませんが、私もトランプ関税という言葉で流行語大賞の上位10位には入っておりますので、その点も強調しておきたいと、ありがとうございます。ということで、その流れで馬車馬のように働くしかないということでございます。

 自動車5団体の皆さまのますますのご活躍、そして本日ご臨席のすべての皆さまのご健康、ご多幸をお祈り申し上げまして、私の新年のごあいさつといたします。どうか本年もよろしくお願いいたします。

国土交通大臣 金子恭之氏

国土交通大臣 金子恭之氏

 まずは佐藤新会長、ご就任誠におめでとうございます。また、片山前会長におかれましては、自動車業界の発展に向けてご尽力を賜りました。これまでのご尽力に対して感謝と御礼の言葉を申し上げたいと思います。

 現在、日本経済を支える自動車産業は、自動運転技術の進展、台頭する海外メーカーとの競争、米国関税の対応と、大きな変革期にございました。特に自動運転については、私自身、昨年末に霞が関周辺で国産の自動運転車に試乗し、わが国でも本格的な普及が間近であることを実感いたしたところでございます。国土交通省としては、自動運転の導入を目指す地方自治体に対する支援を通じて、全国の取り組みを促進するほか、国際的な基準作りにおいてもWP.29の副議長を国土交通省職員が務め、その議論を主導しております。引き続き全力で取り組んでまいる所存ですので、5団体会員の皆さま方におかれましては、日本初の自動運転車が世界をリードする存在となるようなご協力をお願いしたいと思います。

 また、アメリカで生産された自動車を簡便な形で日本に輸入する制度を導入します。これは、日本のメーカーの方々にもいわゆる日本車の逆輸入にも活用いただけるものですので、積極的にご検討いただければと思います。国民の安全・安心はもとより、2050年のカーボンニュートラルを見据えた新たなモビリティ社会の実現に向け取り組んでまいりますので、本日ご出席の皆さま方の一層のご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 また、今日は業界団体の方に合わせて、与野党国会から自動車業界のためにご尽力をたまわっている皆さま方もご出席を賜っているところでございます。国会と、また政府も一緒になりまして日本の自動車業界の発展にこれからも頑張っていきたいというふうに思います。

 本年がさらなる飛躍の年となりますよう、ご列席の皆さまのご健勝とご活躍を祈念申し上げまして、私からのごあいさつとさせていただきます。本日はおめでとうございます。ありがとうございました。