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三菱自動車、次期社長の岸浦恵介氏が会見 「持続的な成長を目指していくことに全力を尽くしたい」
現社長の加藤隆雄氏は岸浦氏の「周囲をまとめる能力」に期待
2026年1月22日 17:58
- 2026年1月22日 開催
三菱自動車工業は、4月1日から新たに現執行役員 コーポレート企画本部長の岸浦恵介氏が代表執行役社長 兼 COOに就任する人事を1月21日に発表。1月22日にこの件についての会見を都内で開催し、現代表執行役社長 兼 最高経営責任者の加藤隆雄氏とともに岸浦氏が出席してあいさつを行なった。
今回の異動は、経営体制の刷新と経営執行責任の明確化を通じて、経営基盤の強化を図るため、1月21日に行なわれた取締役会で決議されたものとなる。その社長交代の理由について、加藤社長は急速な技術革新と市場環境の変化を挙げるとともに、世代交代に対応するため新しい視点での経営が必要であると説明した。
質疑応答では岸浦氏のリーダーシップについて加藤社長が言及し、周囲をまとめる能力に長けている点を挙げるとともに、新しい視点での成長戦略に期待感を示した。
また、岸浦氏は個人的なエピソードとして最初に購入した三菱車(ランサーターボ)への愛着と「タフさ」という三菱車の特徴について語るとともに、「気合いと根性」という言葉を好む理由について、論理的分析を前提としながらも最後は人間の意志力が重要であるという哲学を示した。そして今後の戦略として、ASEAN地域での強みを活かしながら世界展開を図ること、ルノー・日産・三菱アライアンスの協業継続といった点が挙げられた。
加藤社長、岸浦氏のコメントとともに、質疑応答の内容は以下のとおり。
現代表執行役社長 兼 最高経営責任者の加藤隆雄氏
昨日、4月1日付で私が代表執行役 CEOとなり、社長兼COOのポジションを岸浦さんにお願いする内容を発表しました。また、私は6月の株主総会後に取締役会長に就任予定でございます。
今回の交代の理由ですが、いまいろいろと世の中ではAIの進化問題、あるいは自動車においてはSDV、どちらかと言いますと新しいデータを駆使したような技術、そういうものがどんどんと進化をしています。われわれもこういった新しい技術をどんどん組み入れて、商品やサービス、こういったものをどんどん改革していく必要がある。
また、お客さまですとか社員の皆さんもどんどんと若返って世代交代をしていく中で、社長のポジションにおいても、やはり新しい視点で物事を判断していく必要がある。そのためには、そのポジションも若返りが必要であるということが、今回の会見を開いた理由の1つです。
一方で世界情勢を見ますと、やはり大きく揺れ動いております。その中で、どんどん大きく変わっていくというふうに思います。また、自動車業界を考えてみますと、非常に厳しい状況にあるということで、特にわれわれ自動車会社はこれから生き残りをかけて、将来に向けてその方向性を模索していくことになる。これらのことを考えまして、またステークホルダーの皆さまとも相談をさせていただきました結果、私はCEOのポジションに引き続き残りまして、岸浦さんを初めとする幹部の皆さんとともに経営にあたることが現時点でベストの選択ではないかということで、今回このような判断をしました。
ここ数年は、引き続き厳しい状況が続くとは思いますけれども、この難局を乗り越えまして、その先にある未来にしっかりと進んでいくために、これからも全社員で頑張っていきたいというふうに思いますので、引き続き皆さまのご支援をよろしくお願い申し上げます。
新代表執行役社長 兼 COOの岸浦恵介氏
本年4月より社長 兼 COOを拝命いたしました岸浦恵介と申します。よろしくお願いいたします。今回非常に大きな重責を担わせていただけるということを大変誇りに思っております。全身全霊で職責を果たしていきたいと思っております。
4月から社長ということで、私なりに心がけたいと思っていることを3点ほど申し上げたいと思います。まず第1に誠実を旨とします。2つ目に経営判断・実行のさらなるスピードアップを図ります。3点目、世界中の三菱自動車の社員、ビジネスパートナーとともに挑戦してまいります。
私は入社以来32年のキャリアがございますが、最初は管理部門から始まり、営業とかアフターセールスとか、経営企画などいろいろなことをさせていただきました。その中で海外に関わる業務を10年ほどやっておりまして、その間にヨーロッパ、それから北米、中南米、あとはASEANのタイなど、約40か国ほど飛び回りながらビジネスに携わってきました。その中で、お客さまと販売店の皆さまから言われた言葉で大変心に残ることを2つほど挙げたいと思います。
1つ目は日本の品質の高さ、三菱自動車の品質の高さということに信頼感をおいていただいて、われわれの自動車をお使いいただいているということをうかがって非常に感激したこと。もう1つは、ここ数年三菱自動車らしいクルマを発売しております。そういうクルマに対して「こういうクルマを待っていたんだ、ありがとう」というふうに言っていただけたこと。これは大変ありがたく、うれしく思いました。このあたり、やはり加藤社長のリーダーシップで厳しい経営環境の中でもブレずに三菱らしいクルマの開発を続け、あとブランドの強化ということに取り組んできた成果と、それが現われつつあるというふうに思っています。
一方で米国の追加関税、それからASEANなどでの新興勢力と言いますか、非常に強力なライバルブランドの、特に販売攻勢がきつい。こういう厳しい現状もございます。経営環境、競争環境は大変厳しい状況でございますけれども、昨年後半から新型車を出したものが好調に推移し始めているということもあり、なんとか厳しいながらも踏ん張っているというのが現状だと思っています。これは当社が2020年に構造改革ということで、加藤社長のもと、大きく改革に取り組んだ成果として、徐々にですが地力がついてきているのかな、というふうに思っています。
今後は競争環境がさらに厳しくなるということを覚悟しております。その中で当社としてもう一段も二段も地力をつけ、持続的な成長を目指していくことに全力を尽くしていきたいと思っております。世界中の三菱自動車の仲間、支えてくれる方々とともに、その先頭に立って全力で挑戦してまいりたいと思っております。今後ともよろしくご支援のほどお願い申し上げます。
質疑応答(抜粋)
──加藤社長に。岸浦執行役員に今後どのようなリーダーシップを期待されているか。
加藤社長:岸浦さんは性格的に親分肌と言いますか、まわりの人をうまくまとめて、もともと非常にリーダーシップがあると。いまの世の中を見たときに、地域ごとに見ていくと、難しいところと比較的伸びているところがあるという状況なんですけども、やはりどの地域もわれわれにとっては非常に重要なマーケットです。わるいところはしっかり鼓舞していただけると思いますし、それから会社が成長していくためには、いま調子のいいところ、利益の出るところ、そういうところをしっかり伸ばしていく必要がありますから、そういうものをどういうふうに成長させていくのか。その良いところをどんどん伸ばしていくということについても、新しい視点でどんどん社員を引っ張っていけるようなリーダーシップを発揮していただきたいと思っています。
──岸浦さんに。アメリカの関税問題などについて改めてどのように考えていらっしゃるか。
岸浦次期社長:米国関税の対応につきましては、昨年に15%引き上げられましたが、このレベルですと頑張れば、もちろん非常に競争相手も競争力がありますので、そういう相手としっかり向き合いたい。それ以外にも中国のメーカーは技術力、商品力、何よりも競争力が非常に高いということでございます。日本のOEMに加えて新たに中国メーカーという非常に強力なライバルと戦っていくことになり、ここといかに戦うかが最大の課題かと思います。戦い方はまさにいま社内でも議論しています。
あとデジタルについて、加藤社長からもありましたとおり、デジタル、AIといった最新の先進技術が日々アップデートされています。ここへの取り組み方について、われわれの体力に合った中でいかに最新技術についていくかという対応の仕方がキーになっていくかと思います。
──岸浦さんはどのようなクルマが好きで、そのクルマのどういうところが好きか教えてください。
岸浦次期社長:最初に乗ったクルマが当社のランサーターボ 1800で、重ステのフェンダーミラーという。中古車で買ったのですが、それ以来、三菱自動車への愛着もそうですし、ランサーへの愛着がありまして、一番好きなクルマはと言いますとランサーになるかなと。どこが好きかと言えばゴツさ、いまの言い方をしますとタフさというふうな形になろうかなと思うんですけど、そういうクルマが私の中で三菱自動車らしいというか、最初に思い浮かぶということです。



