ニュース

SR400の「サンバースト塗装」を未来に伝える ヤマハ発動機のモノづくり技術を表現したファニチャー公開

共創スペース「YAMAHA MOTOR Regenerative Lab」プロジェクト第2弾公開

2026年2月17日 発表
名車SR400の「サンバースト塗装」を未来に伝える塗装テーブル「SRシリーズモデル」

 ヤマハ発動機と船場は2月17日、両社の共創により企画デザイン・制作したバイクをテーマにしたファニチャーを、ヤマハ発動機の共創スペース「YAMAHA MOTOR Regenerative Lab(リジェラボ)」において公開した。

 会場には「SRシリーズ」や「R25」をテーマにした塗装テーブル、鍛造をテーマにしたテーブル、ギヤチェーンをテーマにした照明を展示、両社の共創で、ヤマハ発動機のモノづくり技術をファニチャーとして具現化することに挑戦したという。

塗装テーブル「SRシリーズモデル」

 SRシリーズに採用される「サンバースト塗装」はヤマハ発動機が長年培ってきた塗装技術で、職人が手作業で一つひとつ仕上げる伝統的な技法。ヤマハ発動機でも、若手への技術継承に取り組んでいるが、現在、この高度な技術を担える職人は同社内でも限られているという。

「SRシリーズモデル」は名車SR400へのオマージュとして、7周年、40周年、ファイナルエディションといった象徴的なカラーリングを、「サンバースト塗装」で再現した。さらに、SRを象徴する黄金比をデザインに取り入れることで、SRの歴史的価値を感じられる一脚に仕上げた

 船場はこの塗装技術に着目し、職人の手仕事を未来へ残すテーブルシリーズを制作した。「SRシリーズ」の塗装テーブルは、名車SR400へのオマージュとして、7周年、40周年、ファイナルエディションといった象徴的なカラーリングを、「サンバースト塗装」で再現した。さらに、SRを象徴する黄金比をデザインに取り入れることで、SRの歴史的価値を感じられる一脚に仕上げた。

ヤマハ発動機株式会社 MC企画ソリューション部 企画管理グループの鈴木美宥氏

「サンバースト塗装」について、発表会に登壇したヤマハ発動機 MC企画ソリューション部 企画管理グループの鈴木美宥氏からは「サンバースト塗装はタンクの部分にぼかし表現を生み出す塗装技術です。この工程は全て職人さんの手作業によって行なわれています。通常のオートメーションラインでは1分間に60cmのスピードでラインを動かしながら塗装することができますが、このサンバースト塗装では1分間に10cm、6分の1のスピードでしか塗装することができません。塗装工程でも自動化が進んでいる中で、細部までこだわることでお客さまに見た目でも、楽しさや美しさを伝えたい。そういったところから手作業での塗装が行なわれています」と紹介。

 鈴木氏は「この塗装技術を担える職人さんは現在わずか2人しかいません。この塗装技術を継承するために若手社員が塗装工程に挑戦して技術を受け継いでいきます。リジェラボが掲げる再生というテーマにおいて、資源の循環だけでなく、こういった失われかけている大切な技術だったり、モノづくりの精神といったところにも目を向けていただきたいという思いから、このファニチャー案をすすめました」と、制作の狙いを話した。

株式会社船場 EAST事業本部Design Direction Divisionの田口裕都氏

 共創パートナーの船場 EAST事業本部Design Direction Divisionの田口裕都氏からは「ヤマハ発動機の歴代伝承されてきた、今は職人が2人しかいないという貴重な塗装技術、サンバースト塗装を生かしたテーブルシリーズを制作しました。今回のアップサイクルプロジェクトのポイントである、技術や職人技の再生、共創には欠かせない要素だなと感じました」との思いを話した。

 そして、田口氏は「サンバースト塗装ならではの美しさ、機械では表現できないきめ細かさを表現するため、名車SR400をオマージュしました。7周年モデル、40周年モデル、そしてファイナルエディションのカラーリングを採用し、さらにSRを象徴する黄金比をデザインに取り入れることで、サンバースト塗装が生み出す繊細なぼかしの美しさを最大限に引き出す仕上がりとなっています」と、実際に仕上がったテーブルのポイントが語られた。

 こうした「SRシリーズ」の塗装テーブルのほか、鍛造をテーマにしたテーブル、ギヤチェーンをテーマにした照明を制作することによって、ヤマハ発動機のモーターサイクル事業には、感動を支える高い品質や確かな技術があり、安全や性能を担保する精密な部品や妥協なく磨き上げられてきたモノづくりの技術や職人の情熱など、普段は見えにくいモノづくりの裏側や価値を空間の中で体感できるファニチャーを船場とヤマハ発動機が共創で制作したことが説明された。

「R25モデル」
「R25モデル」では、デザインチームによる「YZF-R25」のスケッチから着想を得て、天板をデザインし塗装を施した。“風を切って走るスピード感”を表現しています。テーブルの脚部には、実際に「YZF-R25」に使用されているフロントフォーク(前輪支持部品)を採用。バイクの構造部品をファニチャーへと転用する遊び心あるデザインは、ヤマハ発動機と船場の共創だからこそ実現したという
鍛造テーブル
ヤマハ発動機のモノづくりを支える「鍛造(たんぞう)」技術をデザインの核とし、金属の力強さと美しさを可視化。鍛造で制作されるバイク部品を透明度の高いレジンに封入し、5層構造で流し込むことで立体的に表現した。50mmの厚みの中で部材を配置する位置や高さを変えることで、見る角度によって表情が変わる。表面をあえてレジンを染み込ませずに、金属の質感を触ることができる部分も残した。普段は意識されることのない内部部品を主役として昇華することで、そこに込められたヤマハ発動機の技術と精度の高さに触れられる仕上げにした
ギヤチェーン照明
ただ照らすだけではない、ヤマハ発動機のエンジンの機能美に触れて学べる照明。8mm厚のアルミ一体成形で作られた土台には、本物の4ストロークエンジンの機構を搭載。ハンドルを手で回すとギヤが噛み合い、ピストンが往復。実際のエンジン同様、圧縮・爆発のタイミングに合わせてLEDが点灯するギミックを組み込んだ。光を拡散するシェード部分には、塗装工程で使われた「ハンガー(吊り具)」を骨組みにして、タンク用デカールの端材をパッチワークのように配置。廃材の隙間から漏れる不規則な光が、エンジンの鼓動をドラマチックに演出する
モーターサイクルの技術を受け継ぐ4つのファニチャー
発表会場ではコンロッドを用いた栓抜きも用意された
コンロッドは元々は1つの部品であるものを、あえて破断させて再びボルトで締結される。破断面がコンロッドごとに1つ1つ異なることなども説明された
エンジン内で高回転で使用されるコンロッドについて、その技術を伝えるために栓抜きを用意したという

共感がめぐり、共創が生まれ続ける拠点「YAMAHA MOTOR Regenerative Lab」

ヤマハ発動機株式会社 技術・デザイン統合戦略部 共創推進グループの東山大地氏

 同発表会に登壇した、ヤマハ発動機 技術・デザイン統合戦略部 共創推進グループの東山大地氏と船場 EAST事業本部Project Management Divisionの荒毛大輔氏からは、「YAMAHA MOTOR Regenerative Lab」における両社の取り組みについて説明がされた。

「YAMAHA MOTOR Regenerative Lab」は、ヤマハ発動機が自然・人間性・コミュニティをより良い状態へ再生(Regenerative)することを目指し、2024年10月に横浜みなとみらいに開設した共創拠点であること。船場は「YAMAHA MOTOR Regenerative Lab」において、家具の企画デザイン・設計・施工から、アートワークの企画・展示、ロゴデザイン、サイン制作まで、空間のトータルプロデュースを担当していることが紹介された。

株式会社船場 EAST事業本部Project Management Divisionの荒毛大輔氏

 両社で取り組んだプロジェクト第1弾については、ヤマハ発動機がプール事業から撤退した際に発生したプール廃材に着目。廃材をアップサイクルするだけでなく、ヤマハ発動機の企業姿勢やレガシーを随所に感じられる空間を具現化したことが評価され、「日本空間デザイン賞2025」企業プロモーション空間部門の最高賞において「金賞」「ヤングタレント賞」を受賞したという。

プール事業から撤退した際に発生したプール廃材を使用したテーブル

 プロジェクト第2弾ではヤマハ発動機の品質の高さやモノづくりの技術の具現化に挑戦し、「共感がめぐり、共創が生まれ続ける拠点。」をコンセプトとする同施設では空間も変化し続けていくことが紹介された。

横浜みなとみらいにあるヤマハ発動機の共創スペース「YAMAHA MOTOR Regenerative Lab」