イベントレポート
ヤマハ、三輪操舵のEVや自ら学んで立ち上がる「生まれたて」の二輪を展示
2025年10月30日 07:15
- プレスデー:2025年10月29日~10月30日
- 一般公開日:2025年10月31日~11月9日
ジャパンモビリティショー2025(プレスデー:10月29日~30日/一般公開日:10月31日~11月9日)が東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催されている。
ヤマハ発動機は東展示棟1階の東4・5・6ホールにブース出展しており、三輪操舵の「TRICERA proto」(トライセラプロト)や、BEV、HEV、PHEVのバイク、アウトドア向けの電動アシスト車いすなどを展示。さらにプレスカンファレンスでは、AIが自ら学びながら自律動作する二輪「MOTOROiD:Λ」(モトロイドラムダ)の動く様子も披露した。
三輪操舵のスリーホイーラーと、自ら学んで動く二輪
ブースの最前面に展示された「TRICERA proto」は、フロント2輪、リア1輪のスリーホイーラーEV。3つのホイールはすべて手動で操舵でき、ステアリング操作で前輪を、ステアリング奥に用意されたパドルを操作することで後輪を、それぞれ操れる。これにより、従来にないクイックな旋回が可能になるなどユニークな乗り味を実現しているという。
それに並んで展示されているのが、「MOTOROiD:Λ」。2017年に初めて登場した「MOTOROiD」、それに続く「MOTOROiD2」は、人からの指示を受けて協調動作したり、人の意思をくみ取ってバランスを取ったりと、生き物のような性質を持つものだった。新たなMOTOROiD:Λは、そうしたコンセプトを受け継ぎつつ、AIが自ら動かし方を学んで「日々成長していくモビリティ」になっているという。
プレスカンファレンスでは、MOTOROiD:Λが寝た状態から立ち上がり、二輪でバランスを取りながらその場で旋回する姿を披露した。しかし、前輪を細かく震わせながら姿勢を維持しており、まるで生まれたての子鹿のようだ。登壇したヤマハ発動機代表取締役社長の設楽元文氏は「彼ができることはまだ3歳のお子さん程度かもしれません」としつつも、「ライダーと共に経験を重ね学習していくことで、やがて社会性や協調性をも身につけて、心まで通い合うパートナーに成長していくことでしょう」と語った。
電動バイクおよび、ガソリンエンジンと電動のハイブリッドバイクも3台、間近で見ることができる。なかでもBEVはスーパースポーツタイプかつ、全身フルカーボンの外装をまとっていることもあり目を引く。600~1000ccクラスの出力を達成するモーターを搭載し、ガソリンエンジン車と同様の運動性能に近づけるべくジオメトリにも工夫を施しているとのこと。走行感を高めるため、Bluetoothでヘルメット内のイヤホンにモーター出力などに応じたサウンドを再生する機能も備えている。
柔軟なカスタムができる電動アシスト自転車と車いす
ヤマハが電動アシスト自転車を発売して30年以上経ち、今やメーカー・カテゴリーを問わずさまざまなタイプの電動アシスト自転車が販売されている。とはいえカスタムできる範囲が狭いものが多いため、「自分らしさ」を表現しにくいのが現状かもしれない。それに対して「カスタムを楽しんで育てていく」ことをコンセプトとする電動アシスト自転車が、ヤマハの提案する「Y-00B」シリーズの2台だ。
独特のフレーム構造を持つクロスバイクタイプの「Y-00B:Base」を基本のモデルとして、それと同じフレームを用いながら各所をカスタマイズしたのが「Y-00B:Bricolage(ブリコラージュ)」。同じフレームでもここまでカスタマイズできる、ということを示すサンプルで、いずれのモデルも今のところ販売の予定はない。
なお、このブリコラージュは、ヤマハ発動機のバイク第1号である「YA-1」のスタイリングをヒントにデザインしたとのことで、その当時の愛称だった「赤トンボ」のマークがシートチューブに刻まれている。
ところで、ヤマハの電動アシスト自転車の技術は車いすにもすでに応用されている。以前から車いすメーカー各社にはヤマハが電動モーターを供給しており、レバー操作で走行するものや、手でホイールを動かすときにアシストを加えるものが存在する。
そうしたなかで、ヤマハの電動アシスト自転車生誕30年の節目を記念し、新たなコンセプトの車いすを開発する、というプロジェクトから生まれた3台の車いすが今回のブースに展示されている。
車いすメーカーとして知られる日進医療器と松永製作所の2社と共同で開発したもので、前者はアウトドア向けとして砂利道やぬかるんだ場所などでも走れるようにしたもの。フロントは大径の1輪とし、リアはMTB向けの26インチタイヤとすることで走破性を高めている。後者は、装飾パーツなどでカスタマイズが可能な車いすの提案で、見た目の雰囲気だけでなく、ホイールのキャンバー角を変えることも可能にしている。





























