イベントレポート
トヨタ、「カローラコンセプト」のパワトレは新開発の新型4気筒エンジン「N15型」を示唆
佐藤恒治社長は、「バッテリEVでも、プラグインでも、ハイブリッドでも、エンジン車でも」と明快に
2025年10月30日 08:12
「カローラコンセプト」は、バッテリEVでも、プラグインでも、ハイブリッドでも、エンジン車でも
トヨタ自動車は、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「ジャパンモビリティショー 2025」(プレスデー:10月29日~30日/一般公開日:10月31日~11月9日)に、トヨタグループとして出展。東京ビッグサイト南館に、トヨタ、レクサス、ダイハツ、センチュリーを4つのエリアで展示していく。
トヨタとダイハツのプレゼンテーションは、トヨタ自動車 代表取締役社長 佐藤恒治氏が実施。詳細は関連記事でお届けしたが、世界初公開となったカローラコンセプトについて、「カローラはみんなのためのクルマ」と紹介。そのため、世界のどんなところでも、どんなエネルギー事情でも走ることができるクルマになっているという。
パワートレーンについては、「バッテリEVでも、プラグインでも、ハイブリッドでも、エンジン車でも。動力がなんであれ、みんなが乗りたくなるかっこいいクルマにしよう!」と紹介。フロントボンネット高の低いクルマでありながら、EVはもちろん、エンジン・モーター・PCU・駆動用バッテリなどが搭載されるPHEVや、ICE(Internal Combustion Engine、内燃機関)のみのものもラインアップされるデザインであるとした。
この発言が示唆しているエンジンは、豊田章男会長が東京オートサロン2024で存在を明らかにした2つのエンジンのうちの1つになる。赤いヘッドのスポーツエンジンは、すでにスーパー耐久岡山で「GRヤリスMコンセプト」に搭載されて走り出しているが、もう一つトヨタが開発しているのが銀色の高効率エンジン。
このエンジンは写真からは4気筒と読み取れ、また効率を追求するポジショニングということで新1.5リッターエンジンとうわさされてきたが、スバル、マツダとともに開催した「マルチパスウェイワークショップ」で、直列4気筒1.5リッター過給(ターボ)と、直列4気筒1.5リッター無過給の2種類が存在することが明らかにされた。
トヨタ自動車 取締役副社長兼CTO 中嶋裕樹氏によると、この新型エンジンは電動車への搭載を前提としており、現行の1.5リッターエンジン(つまり直列3気筒のM15型エンジン)よりも、体積で10%低減、全高で10%低減していると紹介。3気筒エンジンから4気筒エンジンとすることでショートストローク化、さらに電動車への搭載を前提とすることでエンジン燃焼の有利な部分を突き詰めて高効率化しているという。
無過給と過給の2種類があり、1.5リッター無過給のレンジから、2.5リッター無過給のレンジまでをカバーするという。つまり、現在のトヨタの主力エンジンであるダイナミックフォースエンジン「A25型」の置き換えも狙う、トヨタの主力エンジンになる。
その際に、中嶋副社長も佐藤社長も、バッテリEVとPHEVを同じボディで両立できるエンジンであると語っており、今回公開された「カローラコンセプト」は、その具体的なデザインになる。
なお、その後の取材により赤いスポーツエンジンは「G20E型」(これは後にトヨタからも発表された)であることが分かっており、銀色の高効率エンジンは「N15型」(N15E型かも。M型の次世代、新世代を表わすとも言われている。こちらはトヨタから未発表)と呼ばれていることも分かっている。
中国市場では、とくに4気筒エンジンの商品力が高く、3気筒エンジンに人気がないという話も聞こえてくる。3気筒から4気筒になることで部品点数などは多くなり、量販エンジンとしてコスト的には厳しくなるが、電動化前提、過給・無過給によるパワーレンジの拡大といった工夫を行なうことで、トヨタはこの時代に新型4気筒エンジンを作り上げつつある(しかも、これからはバッテリEVのみといった声の大きい時にそのような決断をしていることになる)。
トヨタは、BEV、FCEV、PHEV、HEV、ICE、HICEと展開することで、電気、ガソリン(アルコール系燃料も含む)、水素と複数のエネルギー源に対応するマルチパスウェイ戦略をかかげているが、新たに登場するカローラは、それを1台で具現化するクルマになるのかもしれない。












