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アーチオンが中期経営計画発表 統合のシナジーなどで2032年度に営業利益率10%以上を目指す

2026年5月15日 開催
会見を行なうARCHION(アーチオン)株式会社 代表取締役社長 CEOのカール・デッペン氏(中央)、代表取締役 CFOのヘタル・ラリギ氏(左)、取締役 CTOの小木曽聡氏(右)

 日野自動車と三菱ふそうトラック・バスの経営統合により設立した持株会社のARCHION(アーチオン)は5月15日、東京都内で新体制下における中期経営計画について会見を行なった。

 計画では「2032年度に営業利益率10%以上」を目標とし、利益向上には日野と三菱ふそうの統合プラットフォームによるシナジー効果が多く含まれる。2026年度は統合プラットフォーム第1弾となる中型トラックが登場し、2032年度には85%以上を統合プラットフォームで生産する。

2032年度に営業利益率10%以上、販売台数28万台へ

中期経営計画を発表するカール・デッペン氏

 4月1日の事業開始から6週間を経て開催された本会見には、代表取締役社長 CEOのカール・デッペン氏、代表取締役 CFOのヘタル・ラリギ氏、および取締役 CTOの小木曽聡氏が登壇。中期経営計画として2032年度に向けた成長ロードマップと財務目標を示した。

 CEOのカール・デッペン氏は、事業開始の4月1日の時点において2025年度プロフォーマベースの営業利益率3.2%とした上で、2032年度までに営業利益率10%以上を達成するという目標を掲げた。

 この目標に向け、3段階に利益を向上させ、まずは2026年に成長基盤を構築して営業利益率4.5%、2029年度までにビジネスモデルの最適化やシナジー効果で7%を目指し、2032年度までに統合プラットフォームの本格展開と大規模なシナジーで10%以上とする。

アーチオンの強み
2032年度に営業利益率10%以上
営業利益率10%以上の内訳
シナジー創出を目指す

 10%への道筋として、「新車販売の成長」「部品・サービス事業の成長」「変動費の効率化(新車)」「固定費の効率化」の4つの項目を示し、そのうち変動費の効率化が最も利益向上率が大きく、統合プラットフォームへの期待が大きいことを数字でも示した。

 デッペン氏は、統合による「シナジー効果」が大きな役割を果たすと強調。2032年度までに年間約1100億円の純シナジー創出を目標として掲げ、これが営業利益率を約4%ポイント押し上げる要因になると説明した。

グローバル新車販売台数とグローバル売上収益
統合プラットフォーム戦略

 新車販売台数については、2025年度の約21万8000台から、2032年度には年平均成長率3.7%となる約28万台を目指し、売上収益を約2.8兆円まで拡大させる。

統合プラットフォームを中核とした製品・技術戦略

統合プラットフォーム戦略を説明する小木曽聡氏

 続いてCTOの小木曽聡氏が、あらためて効率化と競争力強化のための「統合プラットフォーム戦略」を示した。

 2026年度中に日本市場向けの新型中型トラック、電動の小型トラックを導入し、その後は海外向け中型トラック、小型トラック、大型トラックと順次統合プラットフォームへと転換し、2032年度までにグローバル総生産台数の85%以上を統合プラットフォームへ移行する。

統合プラットフォームでは2026年度中に日本市場向けの新型中型トラック、電動の小型トラックを導入、その後、海外の中型、小型、大型と続く
統合プラットフォーム戦略で創出される価値

 小木曽氏は「統合プラットフォーム戦略は、経営統合の中核に位置付けられるもの」とし、各セグメントにおいて、日野と三菱ふそう、そしてパートナーが持つ最適な技術を活用しながら、競争力のあるプラットフォームを開発していくという。

 また、アーチオンには4つの強みがあるとし、1つ目は大規模に展開されている世界トップクラスの技術にアクセスできること、2つ目はすべてのセグメントに展開することでスケールメリットを創出しコスト競争力が高められること、3つ目は内製部品と外部調達部品を最適に組み合わせて活用できること、4つ目は両社のブランド力を使って競争力のある価格でより優れた製品を提供できることだと説明した。

 生産体制についても、国内工場を古河、新田、川崎の3工場体制へ集約し、稼働率と効率の大幅向上を目指す。日野の羽村工場はすでにトヨタに移管済みで、ふそうの中津工場を2028年度までに川崎製作所に集約、ふそうの富山工場は2026年下期に新バスジョイントベンチャーに移管予定。これにより、変動費を今後7年間で8~10%削減することを目指す。

国内では3工場に集約
変動費の最適化の内訳
技術ポートフォリオ
国内の商用ZEV市場ではナンバーワンと強調

 次世代技術(CASE)については、脱炭素化のマルチパスウェイの考え方に基づき、内燃機関と電動化車両の両輪で開発を進める。すでに国内の商用ZEV市場では、日野 デュトロZ EVと三菱ふそう eキャンター、日野 プロフィアZ FCVがあることでナンバーワンのシェアを持つ強みを活かし、BEVとFCEVの両輪でカーボンニュートラルへの実用的な道筋を提供する。

約1兆1500億円の将来投資と株主還元の方針

財務関連の説明をするヘタル・ラリギ氏

 CFOのヘタル・ラリギ氏は2032年度までの財務フレームワークを説明した。同社は2026年度から2032年度にかけて、将来成長および事業基盤の維持に向けて約1兆1500億円の投資を見込んでいる。

 投資の内訳は、新製品開発やCASE関連技術などの将来成長に約6500億円、生産拠点の高度化やITインフラなどの事業基盤維持に約5000億円を充てる。

 株主還元については配当性向40%を目標とし、安定的かつ持続的な還元を実施するコミットメントを示した。

目標数値
各シナジー効果の営業利益率への貢献
2029年度、2032年度の数値目標
約1兆1500億円の投資

ワンチームで前進する

 最後にCEOのカール・デッペン氏がまとめとして、2032年度に営業利益率10%以上という目標を再度強調。そのコミットメントは「お客さま、社会への貢献、そして実行力によるもの」だとした。

 さらに「統合から6週間が経過したが、アーチオン チームは強いエネルギーと決意、そして信念を持って前進している。だからこそ本日話した計画に、私は強い自信を持っている」と中期経営計画が盤石なものだと強調して会見を終えた。

ローンチイベント、経営陣、メカニック、ドライバー、顧客、関わる方々が写っている写真を示し、これらがすべてアーチオンだとした