ニュース

スバル、自動車安全性能2025ファイブスター大賞を受賞した「フォレスター」の衝突試験デモ公開

2026年5月28日 発表
ファイブスター大賞を受賞した「フォレスター」の衝突試験

 スバルのミドルサイズSUV「フォレスター」が、5月28日発表の自動車アセスメント(JNCAP)の「自動車安全性能2025ファイブスター大賞」を受賞した。群馬製作所内にある試験場で5月19日に、フォレスターの実車を使用した衝突試験が報道陣に公開された。

JNCAPの安全性能テストとは?

JNCAPの安全性能テスト

 JNCAPとは、国(国土交通省)と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)が一体となって1995年から実施している、日本における自動車の安全性能を比較評価するテストのこと。カタログデータでは目に見えない安全性能を★の数や点数で評価して公開することで、消費者が新型モデルを購入するときの基準を示すことが目的だ。

 ランキングされた結果は全て公開されるため、自動車メーカーはライバル社に負けないために日々の開発を繰り返し、結果的に安全技術が向上することになるのだ。

 試験は、衝突被害軽減ブレーキ(対車両、歩行者、自転車)、ペダル踏み間違い時の加速抑制、車線逸脱抑制、高機能前照灯などの「予防安全性能」、前面・側面からの衝突試験、歩行者の頭部・脚部の保護、シートベルト着用警報などの「衝突安全性能」、エアバッグ連動型自動通報システムなどの「事故自動緊急通報」などのジャンルに分けて、それぞれについて細かく加点・減点が行なわれて点数がつけられるのだ。

 それぞれの分野でAランクを獲得したすべてのクルマに「ファイブスター賞」が贈られ、その中で最も合計点数が高かったクルマが「ファイブスター大賞」の座に輝くのだ。大賞を獲得したクルマは、現在販売されているクルマの中で最も安全な1台である、ということになる。

フォレスターがファイブスター大賞を獲得した理由とは

フォレスターが2025年度の最高評価「ファイブスター大賞」を受賞
フォレスターの評価結果
「フォレスター」において行なったスバルの取り組み

 2025年度の結果は、評価対象車種が4車種で、最高評価のファイブスター賞が1車種。その中で最高得点を獲得した車に与えられる「自動車安全性能2025ファイブスター大賞」の栄冠は、スバル「フォレスター」が獲得した。その理由としては以下の点で最高評価を与えられたからだ。

 予防安全性能:フォレスターに全車標準装備のアイサイトが高く評価された。従来のステレオカメラに広角単眼カメラを加えた3眼カメラを搭載し、低速走行時の歩行者や二輪車に対するプリクラッシュブレーキの対応範囲が大幅に向上。前後4つのレーダーを組み合わせて周囲360度のセンシングを実現し、交差点での右左折時や見通しの悪い場所での出会い頭の衝突回避をサポート。さらにデジタルマルチビューモニターで、ドライバーの死角を減らしたり、コーナリングランプで夜間の視界確保を行なったりした。

 衝突安全性能:衝突時に乗員だけでなく歩行者も守る設計が評価された。スバルグローバルプラットフォーム(SGP)にフルインナーフレーム構造を組み合わせた強固なボディ構造。デュアルSRSエアバッグ、SRSサイドエアバッグ+SRSカーテンエアバッグに加えてニーエアバッグ、シートクッションエアバッグなど8つの乗員保護エアバッグを装備。さらにサイクリスト対応歩行者保護エアバッグを全車に標準装備した。

 事故自動緊急通報装置:エアバッグが作動するような大事故の場合、自動でコールセンターに通報するだけでなく乗員の傷害予測のための情報も送ることができる緊急システムを搭載。長時間ハンドル操作が行なわれないなどドライバーの体調変化を検知した際に自動で減速・停止するとともに、ドアロック解除を行なうなどのドライバー異常対応システムを搭載した。

フォレスターの衝突実験を目撃!

新オフセット前面衝突

 フォレスターの衝突実験が行なわれたのは、スバル群馬製作所(群馬県太田市)の屋内にある衝突実験施設だ。その項目は「新オフセット前面衝突」というもので、JNCAPが2024年から導入した新しいタイプの前面衝突実験だ。具体的には自車と台車がそれぞれ50km/hで走ってきて車幅の50%の位置で正面衝突し、「自分の車に乗っている人がどれだけ安全か」と「衝突した相手の車に与えるダメージをどれだけ抑えられるか」を点数化するというものだ。

 立ち会いでは安全のため、帽子とメガネ、長袖着用が義務付けられた。広大な空間を持つ試験場内では、テンカウントの後、「スタート」の声を合図に「ウイーン」というワイヤーが台車とフォレスターを引っ張る音が次第に大きくなり、その15秒後に目の前で2台が衝突。「ドーンッ」という大音響でぶつかったフォレスターは一瞬でボンネットがくの字に折れ曲がり、バンパーが前方に飛散してひしゃげた内部構造が剥き出しに。車体は2度ほどリアがバウンドして静止した。

 結果として、フォレスターのボディは、高強度材を効果的に配置したスバルグローバルプラットフォーム(SGP)とバンパービームの外側拡大、さらにサブフレームを追加したことが効果を発揮。衝突してもクラッシャブルゾーン(エネルギー吸収ゾーン)とキャビンゾーン(生存空間)がエリア分けされていることがはっきりと証明できている。衝突後でもすぐにドアを手で開けることもできるし、運転席と助手席の乗員(人間の骨格や筋肉の動きに近い最新型の「THOR(ソア)」と呼ばれるタイプ)もその空間と各種エアバッグのおかげで、ダメージが最小限に抑えられていることがわかった。

衝突後でもすぐにドアを手で開けることもできる

 会場内にはそのほか、JNCAPで実際に「フルラップ全面衝突」(硬いコンクリートの壁に55km/hで正面衝突する)試験を行なった車両を展示していた。

「フルラップ全面衝突」(硬いコンクリートの壁に55km/hで正面衝突する)試験を行なった車両

 こちらも潰れたボンネット部に対して、フロントドア以降のキャビン部分がほぼそのままの形で残っており、生存空間がしっかりと確保されている状態だった。

 また、サイクリスト対応歩行者保護エアバッグを展開したフォレスターも展示されていた。

サイクリスト対応歩行者保護エアバッグを広げたフォレスター

 サイクリストは歩行者に比べて腰の位置が高くなるため、衝突時には体がフードに乗り上がりやすくなり、Aピラーなど車両後方の部位に頭部が衝突するケースが多いという。フォレスターのエアバッグはこれに対応した形状(幅広のU字型)で展開するもので、これも高い評価点が得られたポイントなのだという。

 大賞を受賞したフォレスターは、さらなる事故低減の牽引役となることが期待されているのだ。