試乗記

スバル「フォレスター」のターボとストロングハイブリッドを雪上で味わう

スバル「フォレスター」

日本・カー・オブ・ザ・イヤー受賞車を自然に近い雪道で試乗

 2025-2026年の日本カー・オブ・ザ・イヤーでイヤーカーに選ばれた「フォレスター」の雪上試乗が群馬サイクルスポーツセンター、通称“群サイ”で行なわれた。日本海側の豪雪情報にも関わらず、関東は乾いている。そんな中でも群サイは標高が高く山陰に入ることもあり、雪が多く残って、路面は圧雪からシャーベットまであり自然環境に近い。

 試乗車はフォレスターのターボとストロングハイブリッドの2モデル。いずれも装着タイヤは横浜ゴム「iceGUARD SUV G075」。SUV用のスタッドレスタイヤで乗用車用よりもブロック剛性を上げて、全高が高いSUVにも適合性が高い。サイズは225/55R18。同じiceGUARDでも今シーズンデビューした氷上性能を上げた「iceGUARD iG80」とは系列の違うスタッドレスタイヤになる。

フォレスター SPORT EX。価格は419万1000円。ボディサイズは4655×1830×1730mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2670mm。最低地上高は220mmを確保する。車両重量は1640~1660kg。タイヤサイズは225/55R18。標準装着はオールシーズンタイヤとなるが、今回は横浜ゴムのスタッドレスタイヤ「iceGUARD SUV G075」を装着。パワートレーンには最高出力130kW(177PS)/5200-5600rpm、最大トルク300Nm(30.6kgfm)/1600-3600rpmを発生する水平対向4気筒DOHC 1.8リッター直噴ターボ“DIT”エンジンを搭載し、リニアトロニックCVTを介して4輪を駆動する。WLTCモード燃費は13.6km/L
フォレスター Premium S:HEV EX。価格は404万8000円。ボディサイズや最低地上高などの基本スペックはSPORT EXと共通。車両重量は1750~1780kg。タイヤサイズは235/50R19。最高出力118kW(160PS)/5600rpm、最大トルク209Nm(21.3kgfm)/4000-4400rpmを発生する水平対向4気筒DOHC 2.5リッター直噴エンジンと、最大出力88kW(119.6PS)、最大トルク270Nm(27.5kgfm)を発生するモーターを組み合わせるハイブリッドパワートレーンを搭載。駆動方式はフルタイム4WD。フォレスター Premium S:HEV EXのWLTCモード燃費は21.1km/L(X-BREAK S:HEV EXは21.9km/L)
Premium S:HEV EXのインテリア。インパネ中央の11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテインメントシステムでナビやオーディオが使えるほか、X-MODEの選択や車両設定などが可能
フォレスター Premium S:HEV EXのシート。撮影車はオプションのブラウン/ブラック(ブラウン&シルバーステッチ)orブラック(ブラウンステッチ)の本革シート(ナッパレザー/ウルトラスエード)を装着
フォレスターに雪道で試乗。なお、紹介したB型はすでに先の生産枠が埋まってしまっているそうで、間もなく行なわれる年次改良後のC型モデルの受注が始まっているとのこと

 フォレスターは深雪や泥濘地も得意なフルタイム4WD。強い駆動力はあらゆる路面でも安定して走れる。群サイのコースは狭く、曲がり込むようなコーナーが多い。

 そんな中でも着座位置が高いことと視界を遮らないAピラーで、タイトコーナーでも見切りがよく、視線移動が少ない。常に先が見通せるのは地味だがドライビングに重要なポイントだ。ドライビングポジションも自然で運転しやすい環境となっている。

 雪道の峠ではステアリングをチョイチョイ動かしながら舵の効きを探るような運転をすることがある。そんなときのフォレスターはグリップを分かりやすく伝えてくれる。その正確性とスバルの明快な駆動力は安定した方向性が得られ、迷うことなく運転できる。

フォレスターの運転しやすさは雪道でも健在

 1.8リッターターボは発進時から力強い加速がある。特に中速回転からのレスポンスの良い加速の伸びは印象的だ。トルクでひっぱっていくというよりも、速度が二乗的に乗っていく感触である。さらに雪道の発進でもスバルが自信を持っているフルタイム4WDはスリップとは無縁の発進力だ。

 また、ハンドリングは操舵応答が早く、姿勢を小気味よく変えることができ、軽快な動きを作り出せる。この素早い動きはハンドルの切り返しでも追従性の良さに表われている。

 乗り心地では凹凸の通過時にリアからの突き上げがあるが、収束性は高くキリっとしたメリハリがある。欲を言えばもう少しサスペンションストロークが欲しいところだが、軽快なハンドリングはフォレスター・ターボの特徴だ。

ターボモデルは軽快なハンドリングが特徴

キビキビ走るターボと、上質なストロングハイブリッド

 一方、フォレスター・ストロングハイブリッドは販売の8割を占めるほどの人気モデル。一時ほどではないものの納車待ちも続いている状況だ。その魅力は燃費だけではない。THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)を直列に配置したスバルならではのフルタイム4WDの完成度の高さは特筆できる点で、滑らかな加速性能と重厚な乗り心地の両立が特徴だ。

 重量はターボとハイブリッドだと約100kgの差があり、それに合わせてサスペンション設定を変えているのがベストマッチしている。ハイブリッドはステアリング応答性が滑らかで切り増し時にもジワリとした効きがあり、シッカリしたグリップ感がある。ターボの軽快な動きとは違った持ち味で、重量差を上手に活かしている。それに雪道の状況にもよるが、基本的にライントレース性は高く姿勢安定性に優れている。

 加速力は2.5リッターの自然吸気エンジンとハイブリッドならではのモーター駆動で強力かつ滑らか。発進では重量増を感じさせないスムーズな加速力を発揮し、これまでのスバル車の中でも一味違った動力性能で上質なパワートレーンは魅力的だ。特に低速でもアクセルに正確な反応は扱いやすい。

ハイブリッドモデルは滑らかに走る

 乗り心地はリアが少し硬めなのは基本的にターボと同じだ。しかし凹凸の通過時の突き上げ感は角が丸く、バネ上は比較的フラットな収束性で雪道でも安定感がある。付け加えると雪質の柔らかい轍走破性も高い。駆動力が安定して得られていることが大きい。

 最低地上高はSUVにふさわしく220mmと高い。悪路でこの地上高は非常に大きな安心感がある。轍の深いところでも気にせず走れるのはありがたい。強力な駆動力でどこでも行けそうな気持ちになる。

 アップダウンとタイトコーナーもある圧雪路で得られたのはドライバーの操作に対して素直に反応するフォレスターの運動性能だ。その中でもターボのキビキビとした走りは予想以上に面白く、背の高いSUVを感じさせない。

 ストロングハイブリッドの上質な乗り心地と動力性能は、これまでのフォレスターの枠を超えて一味違った仕上がりで、2025-2026のCOTYイヤーカーにふさわしいクルマだと改めて感じさせた。

雪道でフォレスターのよさを再確認
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。

Photo:安田 剛