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トヨタ会館、トヨタのクルマづくりの秘密が分かる展示を開始 「トヨタの今を伝える」技術展示を6月5日から

トヨタ会館で6月5日から始まる新たな常設展示「トヨタのクルマづくり」。ここでは、トヨタがどのような思いでクルマを作っているのか、どのような手法で開発しているのか、どのように生産しているのか、といったことを知ることができる

 愛知県豊田市トヨタ町にあるトヨタ自動車本社の横に位置する「トヨタ会館」は、トヨタ自動車の最新のクルマや、モビリティカンパニーへの変革を目指すトヨタの展示が行なわれている。

 6月5日からは、新展示エリア「トヨタのクルマづくり」を公開し、トヨタ車がどのように作られていくのか、開発と生産の両面から実車を用いての展示を開始する。その新展示エリアを訪れることができたので、ここに紹介していく。なお、5日からの展示となるため、さらに作り込まれる部分はあるとのことだ。

新たな常設展示「トヨタのクルマづくり」はトヨタ会館の2階のスペースをリニューアルして実施。2階には常設展示のエントランスが用意されている

「トヨタのクルマづくりの原点」は、「誰かのために」という思い

トヨタ会館や今回の新たな常設展「トヨタのクルマづくり」についての説明を行なったトヨタ自動車株式会社 社会貢献部 企業・車文化室 杉戸哲人氏

 新展示エリア「トヨタのクルマづくり」は、トヨタ会館の2階に展開されている。トヨタ会館では、2023年から生産工程を紹介する「トヨタバーチャル工場見学」をWebサイトで公開してきた。今回の新展示エリアでは、実車を用いた展示を行なうことで、生産工程に加え、トヨタがどのような思いでクルマを作っているのか、どのような人たちとクルマを作っているのかが分かるような展示が行なわれている。

 新展示エリアは2025年の7月からリニューアル工事を開始しており、展示内容に加えて、トヨタ会館の空調や床など建物そのものにも手を入れてきたという。

 新展示エリア「トヨタのクルマづくり」に入ってすぐに目に入るのは、大きく展開されるスクリーンと映像になる。ここではトヨタのクルマづくりの底流にある「誰かのために」という思いが分かるようになっている。トヨタ自動車の源流には、豊田佐吉氏が発明した「豊田式木製人力織機」や「無停止杼換式豊田自動織機(G型自動織機)」などの自動織機があるが、これらの発明には「母を楽にしたい」という思いがある。

 この「誰かのために」という思いを映像で展開。トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎氏の「日本のクルマを日本人の頭と腕でつくりたい」「日本に自動車産業をおこしたい」という思いにつながり、「トヨダ AA型乗用車」や世界的なベストセラーカーである「カローラ」が紹介されていく。

トヨタのクルマづくりの原点が紹介されるエリア
豊田佐吉氏の「母を楽にしたい」という思いから、トヨタのクルマづくりは始まっている

 実車を用いた展示エリアは、大きく「開発」と「生産」に分かれている。開発はスタイリッシュなデザインとなった5代目「プリウス」の開発工程を、「企画」「デザイン」「設計・制御・評価」「生産準備・調達」の4つの流れから紹介。トヨタ自動車 社会貢献部 企業・車文化室 宗沢清美氏によると、クルマの開発を4つに分けて理解してもらい、チーフエンジニア・主査制度を採り入れているトヨタのクルマづくりを理解していただきたいという。

 そのため、実際に用いられた開発手法や、多くの人の気持ちを一つにしてクルマを設計していく手法が映像や開発モデルを用いて説明されている。

「企画」展示エリア
「デザイン」展示エリア
「設計・制御・評価」展示エリア
「生産準備・調達」展示エリア

 トヨタの現在のクルマづくりは、豊田章男会長が社長就任後に語った「もっといいクルマをつくろうよ」という言葉に集約されており、クルマにかかわる一人ひとりが「もっといいクルマとは?」と考え続けた結果が商品であるクルマに反映されている。そのクルマ開発がどのように行なわれているのかが、新型プリウスを例に分かるようになっている。

「もっといいクルマをつくろうよ」について説明してくれたトヨタ自動車株式会社 社会貢献部 企業・車文化室 宗沢清美氏
現行プリウスの初期デザインイメージ
企画コンセプトについて語るチーフエンジニア 大矢賢樹氏
プリウスの企画についてミーティング
現行プリウスのデザインについて語るチーフデザイナー 藤原裕司氏
このデザインイメージから、現行プリウスは一つの方向に向かって進み始めた
このモデリングを再現できるように、開発にかかわる人たちが努力
デザインを現実のクルマにするためには、設計・生産の努力が大切
実際のプリウスのカットモデルで学習
プリウスのコンセプトをアイコンに
プリウス開発の成功には、「One Team」という考え方がある

 開発者たちの言葉、開発に用いられたスケッチ、開発の方向性を統一するためのモデルなどが映像や資料、そしてモデルなどで具体的に展示され、開発の難しさなどが紹介されていた。

6万社がかかわり、約3万点の部品で構成されるのがトヨタのクルマ

生産に関する展示エリア

 開発のエリアは新型プリウスだったが、生産のエリアは元町工場における新型クラウン セダンが実車展示されている。生産展示エリアに入ると、まず目を引くのがクラウン セダンのハーネス展示。クラウン セダンに使われている電力線や信号線を実車同様に配置して壁面展示してある。

 この展示エリアを担当したスタッフによると、ハーネスはクルマの血管でもあり神経でもあるので、それを見てほしかったとのこと。また、トヨタのクルマは6万社の協力会社がかかわっており、約3万点の部品から作られているので、それらの広がりが分かるような映像が流れるようになっている。

 この映像が見られるエリアでは、プレスやキャスト(鋳造)といった製造工程も大スクリーンで表示され、クルマを生産する工場の奥深さが体感できる。

クルマは膨大な部品から成り立っていることを、実車のハーネス展示で学習
イメージ映像で製造工程をチュートリアル

 ハーネス展示や映像エリアを抜けると、各部品が分かるように分解展示されたクラウン セダンの実車や、実際のスポット溶接ロボットの動的展示、塗装のレイヤー展示、品質チェックエリア展示など、生産の各工程を実物大サイズで展示している。

 いずれも実車や、実際の生産設備関連を用いたもので、工場の生産要素をリアルなサイズで見てとれるようになっている。

 生産工場そのものの見学だと近寄れないこともあるが、ここでは目の前に生産工場での要素が展示されており、じっくり見学できる。工場見学前の予習としてもよい場所になっているのではないかと感じた。

1枚の鉄板からクルマが作られていることを、実際の製品を用いて説明
溶接工程の展示。ここも本物の溶接ロボットを動態展示。残念ながら実際のスポット溶接は行なわれないが、どのように動くのかは見てとれる
塗装工程の展示。赤色のクルマでも4層で塗装されているのが分かる。この塗装だが、混流生産されていることも学習できるようになっていた
興味深かったクラウン セダンの部品展示。クルマが多くの部品から成り立っていることが一目で分かる
各種部品が分かりやすく分離展示されている
生産展示の後半にある品質検査展示。ここに展示されているbZ4Xには、わざとエラー部分があるという。実際に訪れて確かめてほしい。見つけるポイントは頭を平行に動かして、投影されているLED照明の歪みを確認すること。投影された照明の反射位置を動かすと見つけやすい

 これらの生産展示で重視されているのは、クルマの生産には多くの部品が必要であることと、そこに多くの協力会社がかかわっていること。トヨタ自動車 社会貢献部 企業・車文化室 月野木純一氏は、トヨタ会館には多くの人が訪れるのだが、そこにはトヨタ本社を訪れた取引先の人もおり、それらの人と一緒になってクルマを作っていることを展示からも分かってほしかったという。

 トヨタ会館全体について説明したトヨタ自動車 社会貢献部 企業・車文化室 杉戸哲人氏は、トヨタ会館の来場者はコロナ禍で落ち込んだものの、現在は増えつつあり年間14万人ほど。特に最近では海外の人の来場も多く、実際館内では多言語での案内も行なわれていた。

 案内においては、1日1回とはなるものの館内のガイドツアーも行なわれていて、その際に新展示エリア「トヨタのクルマづくり」も合わせて行なわれるとのこと。展示は6月5日から始まるものの、ガイドツアーの開始は6月中旬を予定しており、詳細は問い合わせてほしいという。また、社会科見学など団体での見学も受け付けており、バスの駐車場の関係から日付は予約制とのこと。入場料は無料で、充実した見学内容が用意されている。

 トヨタ自動車は、名古屋駅近くに「トヨタ産業技術記念館」(愛知県名古屋市西区則武新町)、長久手インターチェンジ近くに「トヨタ博物館」(愛知県長久手市横道)を用意しているが、トヨタ産業技術記念館はトヨタの技術の歴史をたどれるような展示であり、トヨタ博物館はトヨタに限らず日本や世界の自動車史を伝えるものとのこと。

 このトヨタ会館は「トヨタの今を伝える」展示とのことで、世界最大級の自動車会社となったトヨタのものづくりの秘密が垣間見えるものとなっていた。

施設概要

トヨタ会館
〒471-8571 愛知県豊田市トヨタ町1
開館時間:9時30分~17時
(日曜、年末年始、ゴールデンウィーク、夏期連休等は除く)
入館料:入場無料
展示物は、日本語・英語・中国語あり

最後の展示は、「もっといいクルマづくりに終わりはない」というメッセージ