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トヨタレーシング 小林可夢偉&平川亮 決勝前インタビュー 「エンジニアもがんばって戦っているんだってのを見てほしい」

トヨタレーシングでは、ドライバーだけでなくエンジニアの戦いも見てほしいと小林可夢偉チーム代表&平川亮選手は語った

 6月13日16時(現地時間、日本時間13日23時)から、世界三大レースの1つであるル・マン24時間の決勝レースが行なわれる。10日~11日にかけて行なわれた予選でトップカテゴリーに参戦するトヨタレーシングは、7号車 TR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/ニック・デ・フリース/小林可夢偉)が14番手、8号車 TR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)が15番手となった。

 決勝レース前日、小林可夢偉チーム代表と平川亮選手に対して日本の報道陣向けに共同インタビューが行なわれた。ここでは共同インタビューにおける質疑応答をお届けする。

トヨタレーシングの7号車 TR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/ニック・デ・フリース/小林可夢偉)と、8号車 TR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)

──(司会)小林可夢偉チーム代表兼選手、平川亮選手から最初に一言ずつ。

小林可夢偉選手:ハイパーポール(1)は、トラックリミットでベストタイムが採用されなかったんですけど、がんばれても9位ぐらいがマックスだったなっていうところで。

 予選に向けてはかなりLMDhのクルマにアドバンテージがあったような気がします。ただ今週、このル・マンに向けてわれわれとしては、予選はまったく意識しない流れでここまで来てたので、結果としては仕方がないことなのかなと思ってます。

 例年だったら結構予選シミュレーションとかやってたんですけど、今回は一切、予選シミュレーションとかをやっていない状態でここに挑んでるというところで。

 その代わり、逆にレースに限っては、かなりポジティブなパフォーマンスは出ているので、そういう意味では、どっちを取るかって言ったときに、レースの方を重視した結果なのかなと思ってます。

 24時間は長いレースになると思うので、そういうところを踏まえて、大きいビジョンでしっかり今後の流れを作っていきたいなと思っています。

平川亮選手:似たようなコメントですが、自分のハイパーポール(1)は、アタックしていないクルマに引っかかってしまって、全部台無しにされてしまったのが……。

 譲ってくれれば、ハイパーポール2に行ける可能性はあったので、本音としてはすごくフラストレーションもあるし、怒りもすごくあります。どちらかというと、悲しいというか(ハイパーポールでのアタックを)すごく楽しみにしていたので、そういう風に台無しにされてしまって、正直いろんな気持ちがミックスしています。

 もちろん大事なのは(決勝)レースで、練習走行からたくさんレースに向けて準備してきたので、レースでは全然戦えると思っています。後ろからですけども、全然前に行って勝てるクルマを僕らは準備できているので、しっかりと戦っていきたいと思います。

──決勝がスタートすれば、いい状況と。ただ、LMDhが結果的に上位に来たというところは、予想外だったんでしょうか?

小林可夢偉選手:LMDhの方が速かったっていうのは、正直、去年ぐらいから分かってたことではあるので、予定通りです。なんだったらポールを誰が取るかっていうのも上で(ホスピタリティビルの2階で)ハイパーポール2を見ながらみんなで言い合ってたんですけど、そこも当たっちゃいましたね。

 エイトケン(ジャック・エイトケン、Jack AITKEN)かドリス(ドリス・ヴァントール、Dries Vanthoor)が取るって言ったら、ほんまにこの2人が争った。結構オッズ的にはドンピシャな感じなんで当たってました。なので予定通りです。

──平川選手に聞きたいのですが、テストの段階でLMP2のクルマと接触した。平川選手のインパクトは大丈夫だったのですか?

平川亮選手:今、生きてますから大丈夫です。TR010は空も飛べるので、どんな状況でも戦えると思います。ああいう風にレースを終わってしまう可能性もあるので、気を付けようがないですけど、いろいろなことが起きるという心の準備をしなきゃいけないなとは思います。

──クルマって強いんですね。トヨタさんの。

小林可夢偉選手:強いですよ、世界中。どの道を走っても強いはずです。

──クラスを二分すると、トヨタのTR010ハイブリッドは速い方のクラスにいるという感触。レースペースの中では、その感触ってありますか?

小林可夢偉選手:レースペースでは速い方の部類にたぶん入っていると思います。そのあたりは正直レースに向けてしっかり準備してきたっていうのを、ちゃんとレースで発揮できればなとは思っています。

 この24時間は長いレースなので、24時間安定して高いパフォーマンスを出せることがこのクルマの狙いでもあったので。そういうところをしっかり見せていけるようなレースをしたいなと思ってます。

──平川選手にうかがいます。長いレースですし、クラス違いのマシンが絡むことも多々あると思います。その中で、24時間の中で、今の段階で勝負どころを想定しているとすれば、どの時間帯、どのあたりですか?

平川亮選手:24時間常に。ただ昨日ぐらいから結構みんな熱くなっていて、アクシデントが多発しているので、最初と最後だったりとか、明け方とか、夜が明けたりとかするところはアクシデントが起きやすいと思います。

 でも最初と朝、朝方と最後でしょうね。最後は……、最後はそんなに。もしかしたら最後の最後までトップ争いしてるかもしれないですけど。

小林可夢偉選手:しないといけないんだよ。

平川亮選手:そうですね。

──昨年のル・マン24時間レースは気温の高い中で行なわれました。今年のル・マンは気温が低めで推移していますが、温度による戦い方の変化、タイヤ戦略などを教えてください。

小林可夢偉選手:まず、温度が低いんですけども、明日(決勝スタート日)、明後日(決勝ゴール日)。特に日曜日にかけてはかなり温度が上がるという予想をされてまして、現状は温度が低いんですけども、予報では暑くなるだろうと僕らは勝手に思っています。

 もう1つの変化点としては、去年から今年に向けて結構タイヤが変わったんですよね。スパイダーマンみたいな網目のタイヤ。

──ミシュランのタイヤですね。

小林可夢偉選手:そうそう。これが結構特殊なタイヤで、ハード、ミディアム、ソフト、どの時間に、どの温度で履いても、あんまり変わらないという。

 去年は結構明確に差があったんですけど、今年はかなりここが、クロスオーバーが広くてジャッジが難しい。近すぎて難しいと言えるんですけど、比較的温度が高かろうが低かろうが、どのタイヤを取ろうが、大外れは今のところないのかなっていうのが本音です。

 逆にレースの日に突然暑くなるっていうところでそれがいい方向に行くか、わるい方向に行くかっていうのが、ちょっと僕らも読めないっていう状況です。

 なんでかっていうと、たぶんタイヤのゴムの素材にカーボンニュートラル素材を入れたんですよね。で、たぶんゴムをすごく足した(増量した)んです。足したっていうのは、モリモリにしたんですよね、ゴムを。ゴムを盛るということは、動く部分がすごく大きくなるんです。

 タイヤのストラクチャ(構造)と、タイヤ自体の(ゴムを)積んだ量で、ニュータイヤは一瞬いいけど、そこからグニョグニョしてわるくなって、今度タイヤのグニョグニョを超えて減ってきたら、またタイヤが生き返ってくるっていう現象が起こっている。

 今のところタイヤ的に3スティントはたぶん行けると思うんですけど、もしかしたら4スティント行けるかもという話が。レースしながら流れが変わってくるんで、そういうところも温度が突然高くなったときに、どうであるかっていうのが現状ちょっと読めない。未知数な部分があるんですけど、温度に対してどうだっていうのは、今言ったように、タイヤ自体の差がかなりクロスオーバーしているので、どのタイヤを履いても意外に行けちゃう。

 冬のテストで、ぶっちゃけ2度3度ハードタイヤを履いても、意外に速かったっていうのがあったりして。正直あんまり、タイヤでっていうのが今なくて、逆になさすぎて選ぶのが難しいっていうのが、正直なところです。

──今年は、トヨタレーシングになって最初の、必勝を期したル・マン24時間レースになっていると思います。トヨタレーシングの戦いのどのようなところをお客さんに見ていただきたいか。小林代表と平川選手から一言ずついただけますか?

小林可夢偉選手:ちょっと1回、平川、挟みましょうか。

平川亮選手:(考え込みながら)難しい……。エンジニアレースらしいので。

小林可夢偉選手:らしい?

平川亮選手:らしいので。

小林可夢偉選手:らしいので。

平川亮選手:エンジニアリングをすごく評価している部分はあるので、そこに頼りつつ、ドライバーからもフィードバックし、走っているのはドライバーだけですけども、裏でエンジニアも24時間戦ってくれているので。見える部分はドライバーですけども、裏ではエンジニアもがんばって戦っているんだってのを見てほしいですけども……。見られないですよね。

小林可夢偉選手:それを見せたいなとは思う。見てほしいなと思って、いっぱい見られるようにしております。

 セッション後のインタビューとかも、今まではドライバーしかやっていなかったけど、ドライバーのコメントとかも、エンジニアのコメントとかも取ったりして、ファンの人らにもエンジニアがどういう心境でクルマを扱ってるのかを見てもらって。

 僕らが言うコメントって結構表面的だと思うんですけど、もうちょっとクルマのディテールみたいのをエンジニアから伝えてもらったり。今後に向けては、もっとほかの分野のエンジニアとか、ここに来るまでの過程であったりとかっていうのを見ていただけるような環境を作って。

 本当にこのル・マン24時間を戦う、耐久レースで強いクルマを作るってどういうプロセスをやっているんだっていうのを見ていただきたいなっていうのが本音です。

 それがすごい、すごくないという話ではなく、このレース戦うために本当にいろいろな細かい、1つ1つの、エンジニアのプロセスであったり、メカニックのそのクルマを組み立てるプロセスであったり。

 それ以外で言ったら、オーガナイズ。例えば、ル・マンの現場に100人以上のチームメンバーが来ていて、1人ひとりの移動スケジュールであったりとか、そういうのが本当に細かく予定されていて。それを遂行していく。

 本当に役割分担なんですけど、その役割を1人ひとり遂行していくっていうことが、この長いル・マン24時間における戦い方だと思っているので。そういう裏側を、できればエンジニアのレースと言いつつも、やっぱりエンジニアがいかに働きやすい環境を、本当に速いクルマを作る環境を、状態を作ったりしていくっていうことを心がけてます。

 なので、僕らドライバーが今までは結構「あーだこーだ」って言ったらやってくれたけど、今はエンジニアに「あーだこーだって」ドライバーが言っても、結構言うことを聞いてくれないっていう状態になってます。

──え?

小林可夢偉選手:嘘や、嘘。嘘ですよ(笑)。

──ありがとうございました。決勝レースがんばってください。