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マツダ「ロードスター」開発陣が語る、新グレード「PS」と新色「ジンクグリーンメタリック」にかける思いとは?

2026年6月26日 予約開始
マツダ「ロードスター」に新グレード「PS」が登場。ボディカラーに新色「ジンクグリーンメタリック」が追加された

 マツダは6月26日、小型オープンスポーツカー「ロードスター(ソフトトップモデル)」「ロードスター RF(リトラクタブルハードトップモデル)」を商品改良して予約受付を開始。発表に先駆けてメディア向けに商品説明会を実施した。

 クルマ開発本部 ロードスター主査の斎藤茂樹氏は、「ロードスターは1989年に初代がデビューして以来、世界中の多くのファンに支えられて、今年で誕生から37年目を迎えました。“だれもが、しあわせになる”ことを常に考え、期待を超える感動とクルマを楽しむ文化の発展のために、継続してロードスターを進化させてきました」とあいさつ。

ロードスターの価値観

改良のポイントは大きく3つ

 今回の商品改良のポイントは、「特別仕様車PSの設定」「走りの進化と車外騒音規制への対応」「新色ジンクグリーンメタリックの追加」と大きく3つあると説明。

 特別仕様車のPSは「ピュアスポーツ」の意味で、ストレートに走りを表現したモデルとなる。グレーの幌、レイズ製ブラックホイール、シルバーのブレンボ製ブレーキキャリパー、見た目はブラックとシルバー系でコーディネートすることでスポーティさを表現したという。

特別仕様車「PS」概要

 走行性能については「モータースポーツの進化を、日常に」をコンセプトに、MAZDA SPIRIT RACINGが培った技術と知見により、前後スプリングのバネレートを高めつつ、ショックアブソーバーの減衰力を下げることで、ロール剛性を高めながらも乗り心地を改善し、よりリニアで意のままに操れる走りを実現した。

 MAZDA SPIRIT RACINGが手掛けたのは、2.0リッターエンジンを搭載した限定モデルだが、新設定のPSは1.5リッターエンジンとフロントが軽いので、セッティングの中身は別物。完全にPS用に仕上げたサスペンションとなる。

 そのほかにも、MAZDA SPIRIT RACINGで採用した加速応答改善制御、ヒール&トゥアシスト制御を織り込み、より意のままに操れる感覚に磨きをかけた。

特別仕様車「PS」のポイント

 また、ロードスターを作り続けるためには、車外騒音規制フェーズ3への対応が必須となるが、対応することでロードスターならではの走る楽しさを失うわけにはいかない。そこでマツダは、フェーズ3に対応しつつ新しい価値を生み出すことに挑戦したという。その結果、静音タイヤの開発、吸気系の改良、サイレンサーの大型化により、車外騒音を規制値まで抑えることに成功。同時に吸気音、排気音の音色のチューニングやインダクションサウンドエンハンサーを標準装備にしたことで、低速走行時は静粛性を高め、加速時は車内に音を聞かせることで、走る楽しさを向上させている。

環境省「四輪車走行騒音規制の見直しについて(資料21-2)」抜粋。一般的な乗用車は2024年10月からすでに新型車に適用されており、2026年7月からはロードスターをはじめ、すでに販売されている現行モデル(継続生産車)にも適用される
ロードスターは車外騒音規制フェーズ3に対応できたことで、今後も作り続けられる

 最後に斎藤氏は、「お客さまの声、時代の要請に応えながら、これからもロードスターが提供できる楽しみ、走る歓びを考え続けて継承し、幸せの裾野を広げていきたいと考えています」と締めくくった。

ロードスターのバリエーションとポジショニング

新色「ジンクグリーンメタリック」誕生の理由とは?

 今回デザインを担当したのは、2023年に入社し、デザイン本部 ロードスターCMFチーフデザイナーとなった瀬能海翔氏。ロードスターの担当になり、2024年は軽井沢ミーティングも視察してオーナーの熱量を体感した。また、ファンイベント「マツダモーニング」にも参加し、そこで出会ったユーザーを通じて、1992年式のロードスター(NA型)Sリミテッドを購入するなど、自身でもロードスターライフを楽しんでいる1人だ。

 現行のロードスター(ND型)は、2015年の誕生以来、毎年さまざまなカラーコーディネイションを投入することで、ユーザーの要望に応える新たな価値を提供してきたモデル。瀬能氏は、「11年目を迎える2026年は、どんな価値を表現するかが課題となった」と振り返る。

ロードスターのカラーの歴史

 そして導き出したのは、シンプルでとがった商品性のロードスターは、使う人それぞれの価値を引き立て、世代を問わず受け入れられる器の広さを持つ唯一無二のモデルであることから、さらに新たな世界を描き、ユーザーの輪をもっと広げるためのカラーを目指したという。

新色「ジンクグリーンメタリック」のコンセプト

 そこでコンセプトに掲げたのが「モダンシャープネス(MODERN SHARPNESS)」。サーキットで磨かれた足まわりが実現するシャープで軽快な走りを表現するための「シルバー」と、主に航空機や船などの工業製品に耐久性を持たせるための防錆塗料「ジンククロメートプライマー(下地塗料)」から着想を得た「ジンクグリーン」と、機能を表現する2つの要素を掛け合わせることで、加飾を廃したスタイリッシュなモダンさを追求している。

 実は瀬能氏は飛行機も大好きとのことで、斎藤主査に提出した提案書には飛行機の絵柄も入っていたという。その面影は、ジンクグリーンメタリックのキービジュアルに飛行機のシルエットがうっすらと写っていることや、撮影場所が飛行機の倉庫のような場所であることからも伺える。

 また、グリーンは、鼓動デザインが始まって以来、初めて投入される色になるとのこと。鼓動デザインの代表色である「ソウルレッド」など赤色に対して、緑は色相環において正反対の色となる。しかし今回この色に挑戦できたのは、「多くのユーザーが鼓動デザインを支えてきてくれたことで実現した」と瀬能氏は言及した。

緑は色相環(カラーサークル)では、赤と向かい合う位置にある補色(反対色)となる

 ジンクグリーンメタリックは、ソリッドな色でカタマリ感を持ちつつも、ロードスターの造形がハイライトとシェードによって際立つ「ソリッドライクメタリックカラー」となる。グリーンの彩度を保ちつつもロードスターが重くなりすぎないような明度と彩度のチューニングを行ない、都市でも自然でも映えるクールな印象に仕上げるためにブルーマイカを少量用いて青みを持たせたという。

 さらに幌とブレーキキャリパーをシルバー系色にしつつ、ホイールは従来のガンメタリックからソリッドなブラックへと変更し、全体のバランスを引き締める役割があるとしている。瀬能氏は、「やや無骨な印象のあるインダストリーカラーだからこそ、飽きがこない、長く使える相棒のような色に仕上がった」と新色のよさをアピールした。

特別仕様車「PS」のエクステリア

 インテリアは、スエード調表皮のファブリックシートが特徴の「Sスペシャル」をベースに、ヒーターコントロールダイヤルやルーバーのアウターリングなどをブラックアウトし、ルーバーのインナーリングのみにシルバーの差し色を使用。エクステリア同様にブラックで引き締めることで、シャープな走りの魅力を表現したという。

特別仕様車「PS」のインテリア

 ロードスターは初代(NA型)の「Vスペシャル」に採用した“ネオグリーン”に始まり、これまでは上質テイストでクラシカルなイメージを追求してきた。しかし、今回は前述した通り“ユーザーの輪をもっと広げるためのカラー”を目指すために現代的なグリーンを開発。瀬能氏イチ押しのコーディネートは「PS」だが、スポーツタン内装の「Vセレクション」などほかのグレードでも選択可能となっている。

ロードスターのグリーンカラーの歴史

4代目(ND型)ロードスターは販売11年目に過去最高の1万台突破を達成

 ロードスターの国内マーケティングを担当している国内ブランドビジネス統括本部 神田篤氏によると、初代(NA型)、2代目(NB型)、3代目(NC型)は発売初年度もしくは2年目に販売台数のピークを迎えていたが、4代目(ND型)は11年目に過去最高の1万台超えを達成。販売7年目以降に「990S」や大幅改良、「35周年記念モデル」などの導入効果も実績が伸びた要因であると説明。

歴代ロードスターの販売実績推移

 販売構成比については、50代~60代が顕著に伸びていて、40代以上が全体の70%を占めるという。しかし、20代の購入層も過去6年で2倍に増えているほか、20代の女性購入者が2020年から2025年にかけて約5倍も増加しているなど、「若年層での変化の兆しも現われている」と紹介。

 特に女性に好評なのが「おしゃれ」「軽快」「運転を楽しめる」といったイメージとなり、そのほかにも「スタイルや外観」「運転のしやすさ」「内装のデザイン」なども満足している点として挙げられ、最近の“若者のクルマ離れ”がロードスターに限っては当てはまらない現状を強調した。

販売実績(年齢/性別構成)

 また、新車のロードスター(ND型)を「マツダスカイプラン(残価設定型クレジット)」で購入すると、中古のロードスター(ND型)を一般ローンで購入するのと月々の支払額があまり差がないことも、「新車を選択しているユーザーが増えているし、20代以下の若年層でも手の届きやすい1台となっている要因では」と神田氏は分析していた。