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UL Japan、豊田市に開設する電波暗室を備えたEMC試験所「ATIC」公開

2万5000rpm対応ダイナモメーターを装備、高出力の自動車用電気システムの試験が可能

2026年6月25日 公開
EHV Camber 1の説明をする株式会社UL Japan コンシューマー機器事業部 事業部長 田畑裕也氏

 UL Japan(以下、UL)は6月25日、愛知県豊田市に新たに開設する最新の自動車業界向けに電磁波を測定できるEMC(Electro Magnetic Compatibility:電磁両立性)試験所「Automotive Technology & Innovation Center」(ATIC/エーティック)の設備を公開した。

 自動車の電子機器は誤動作すると人命にかかわるため、EMCは重要な試験であり、ULでのEMC試験所は国内では6か所目、愛知県ではみよし市のATC(Automotive Technology Center)に次いで2か所目となる。運用開始は7月1日。

ULが豊田市に開設したEMC試験所「ATIC」

豊田市に開設した高出力電動車対応のEMC試験施設

 ATICでは外部と電波を遮断して電磁波の測定などが行なえる電波暗室を5基備え、自動車業界向けに電磁波に関するEMC試験を提供する。

ATICの特徴と設備概要

 ULにとって愛知県では2か所目となる自動車向けEMC試験所となるが、ATICの特徴は電力供給が最大1500V、1000Aに対応し、最大毎分2万5000回転で最大トルク3500Nmに対応するダイナモメーターを備えていること。高出力の自動車用電気システムの試験が可能となる。

ATICのEHV Camber

 電波暗室は5基だが、そのうち3基が高トルクと高回転に対応する固定型ダイナモメーターを備える電波暗室「EHV Chamber」で、それぞれ異なるダイナモを備えており、さまざまな試験に対応する。

3基あるEHV Camberの仕様

 場所も日本有数の自動車産業集積地である愛知県とし、今回開設したATICはトヨタ自動車元町工場から西に数百mのところにある。

どちらも2万回転に対応するEHV Camber 1と2

 公開されたEHV Camberは3基のうちの2つ。固定型ダイナモメーターを備えており、持ち込んだ動力装置が発生する電磁波の測定、反対にほかの機器からの電磁波の影響試験などができる。

 測定試験ではダイナモメーター自体もノイズ発生源となり得るため、単にダイナモメーターを設置するのではなく、シャフトを介して電波暗室の外に置いて、ダイナモメーターが測定に与える影響を抑えている。

EHV Camber 1。ダイナモメーターに接続する機器はここに接続するが、ダイナモメーター自体はシャフトでつながり電波暗室外にある
測定と輻射のアンテナ
電波暗室内の壁面

 そして、EHV Camber 1のダイナモメーターは堀場製作所製で、電波暗室の裏側に設置してある。

電波暗室外にあるダイナモメーターの本体

 電波暗室には外に測定結果を確認する部屋のほか、長時間の測定と滞在に備えた部屋を別に設けている。現地にとどまる利用企業のスタッフがここで作業をしたり、ビデオ会議などもできたりするように配慮したものとなっている。

EHV Camber 1の測定室
測定室の奥には部屋を設けていて長期間の滞在に対応する

 続いて公開されたEHV Camber 2は、アルバトロス製のダイナモメーターを装備。電波暗室のメーカーもEHV Camber 1とは異なり、同等の仕様ではあるがメーカー違いによる微妙な差もあることなどから、さまざまな測定需要に対応できるようにしている。

EHV Camber 2
EHV Camber 2の壁面。EHV Camber 1とは別のもの
EHV Camber 2の測定室

ターンテーブル付きの電波暗室を用意

 電波暗室の中には車載機器などの電磁波を測定する部屋も1基備える。クルマの走行機器ではなく、車載機器においてどれだけ電磁波を出すか、どれだけ電磁波の影響を受けるのか、ということを測定する。

ターンテーブルのある電波暗室。奥にある机のところの下がターンテーブルになる

 この部屋にはダイナモメーターはないが、各方向からの影響を測定するため、ターンテーブルを備えて対象物を回転させることができ、測定や輻射に使うアンテナも高さを1~4mに可変して測定できる。

測定と輻射のアンテナ。高さを可変して測定できる

 この仕様の電波暗室は家電製品や通信機器などでも使われ、自動車ではあまり使われない仕様だったが、最近では自動車用の部品であっても電気製品と同様の電磁波に関する試験を要求されることがあるため用意したという。

暗室の高さは高く設定している

 また、特徴としては暗室内にディスプレイを備えたことが挙げられる。これにより、測定しながら対象品の遮蔽物を中で調整して数値を追い込むといったことも可能。ディスプレイは白い電波暗室の壁に投影する方式で、プロジェクターも電波を遮蔽するガラス越しに設置しているため、測定に影響を与えにくい方法となっている。

ディスプレイを備え、測定結果などを確認しながら進められる

校正サービスも実施

 ATICではそのほか機器の校正サービスも実施する。ULではこれまで国内では千葉県香取市の鹿島EMC試験所で行なっていたが、今回の愛知県のATICでも開始し2拠点体制とする。ISO/IEC 17025に準拠したA2LA認定校正に対応する。

校正サービスの部屋

 通常はここにユーザーの測定器を持ち込んで校正するが、顧客設備に訪問して現地での校正も行なう。設備のダウンタイムを少なくすることや、輸送が難しい大型設備を現地で校正するといった対応も可能になる。

この地域に施設を備えることで、顧客ニーズに迅速に対応

 今回のATIC開所によってULのEMC試験場は国内6拠点体制となる。設備の説明を行なったUL Japan コンシューマー機器事業部 事業部長 田畑裕也氏は「自動車の高電圧、高電流化、それとBEV/HEVのパワートレイン部のEMC試験に関して、実走行状態を模擬した試験ニーズが増加している。この地域で開発現場に近い環境からお客さまを支援できることは、非常に大きな価値があると考えている」と開設の理由を説明した。

UL Solutionsの日本で展開
モビリティ領域での歩み

 また、ULのリソースを活用することで「国際規格やOEMの規格への対応を含めて、開発初期から評価、検証、認証にいたるまで一貫した支援を提供する。お客さまには製品開発により集中いただき、市場投入までのスピードと品質向上の実現を後押ししていく。愛知県みよし市にあるオートモーティブテクノロジーセンター(ATC)との連携で、試験、評価ニーズに対して包括的に対応できる体制を整えている」とULのサービスのメリットを強調した。

長時間の滞在もある施設のため休憩設備も充実。屋外に出ることもできる
ATICには会議室も備わり、今回はここで説明を行なった

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