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TDKの技術が詰まったポルシェのレーシングカーやライブ中継機材など、現役学生がフォーミュラE東京大会の裏側を見学!
2026年7月27日 11:15
- 2026年7月24日 実施
BEV(バッテリ電気自動車)の世界最高峰レース“フォーミュラE”の東京大会「2026 TDK Tokyo E-Prix」のタイトルスポンサーを務めているTDKは7月24日、レースの開催に合わせて学生向けイベント「Behind the Scenes Experience」を実施した。
招待されたのは、高等専門学校生、大学生、大学院生など幅広く、また北海道から九州までエリアを問わず約70人が参加した。募集はTDKの採用総合サイトに登録している学生、日本最大級の"学生による"資金調達イベント「Giving Campaign(ギビングキャンペーン)」の参加者、国連が掲げるSDGsの課題解決をビジネスで目指す、世界最大規模の学生起業アイデアコンテスト「Hult Prize(ハルトプライズ)」などを利用したという。
TDK 人事部 HR CoEの田辺剛氏は、「今回のイベントは、ガツガツ採用につなげたいというよりも、TDKの技術を知ってもらいファンになってほしいという趣旨が強いので、幅広く募集しました」と説明。実際に参加していた学生も、「フォーミュラEのことはよく知らないです」という人も多く、中には「母親がTDKの創業地である秋田出身だったので、ちょっと縁があるかなと思って応募してみました」という気軽に参加していた学生が多かった。
フォーミュラEを開催する意義とは?
2026 TDK Tokyo E-Prixの人事ディレクターを務めるフォーミュラEのキャット氏は、「参加した皆さんには、この週末に行なわれるフォーミュラEのレースに関わる、その舞台裏のシーンを見ていただきます。現在TDKとフォーミュラEは、次世代の才能を育てていくことや、今後のモータースポーツを持続可能な未来につなげること、さらにBEVの今後の可能性についても開拓していきたいと一緒に取り組んでいます」とあいさつ。
続けて、「フォーミュラEは世界中でレースを開催している世界選手権です。伝統的なレースの手法に加えて、サステナビリティ、レースコースと仮設スタンドなどの設備、イベントに関わる電力といった重要な施策があります。特にサステナビリティについては、私たちは常にイノベーションを図り、フォーミュラEが今後も持続可能な形で発展していくために取り組んでいます。フォーミュラE大会で使用する電力やエネルギーをできるだけ再生可能なエネルギーにするために、すべてを設計しています。また、これまでレースは男性中心で行なわれていましたが、若い人材や才能を育てることや、女性に活躍してもらうことも目指していて、フォーミュラEのスタッフの男女比は50%ずつとなっています」と運営内容を説明した。
またキャット氏は、これまで人事関係で15年ほど仕事をしてきたとのことで、参加した学生のキャリア形成のヒント3つを紹介。まず大事なのは「適応力がある」「適合していける」で、今日の仕事は将来にわたって同じことはなく、変わる可能性が大いにあるため、適応力が非常に重要だと説明した。2つ目は「協業すること」「コラボレーション」で、レース中にピットですべての作業を1人で行なうのは不可能といい、キャリアも同様にいろいろな人と手を携えて仕事を成功に導くことがとても重要だと強調した。
続けて3つ目は、「レジリエンス(しなやかな回復力)」で、例えば仕事中に上司が、「それはできないだろう」とか「そんなことは無理だ」とか、そういう話が出てきた際、前に進むためには、それでも“やり遂げようとする勇気”が必要となる。例えば5年、10年、15年の事業計画を進めていても、なかなかそれが思い通りに進まないことは必ずあるため、常にレジリエンスを持って挑戦することが大切と説いた。
最後にキャット氏は、「さらに重要なことは“ネットワーク”です。自分のまわりにいる人たちとのネットワークを大切にすることです。組織の中では縦や横のネットワークがありますが、意図を持って縦横のネットワークを築き、本物のネットワーク=人とのつながりを築いてほしい。これは小さな業界も大きな業界でも同じです。この人とのつながりが、今後キャリアを築くにあたって非常に重要です」と締めくくった。
グローバルで10万人以上の従業員を持つTDK
続いて人事部のHR(ヒューマンリソース)CoE(Center of Excellence)である田辺剛氏が登壇し、TDKは現在2兆5000億円の売上高、営業利益は2700億円で、メンバー総数10万人のうち9割が日本人以外、8割がM&Aで加わったメンバーであると説明。また、毎年2800億円の研究開発投資を続けていると、事業の大きさと進化してきた経緯を紹介。
続けて田辺氏は、「TDKは昔はカセットテープを作っていた会社です。多分皆さんのお父さんお母さんは名前を聞いたことがあると思いますので、ぜひ今日帰ったら聞いてみてください。その後、どんどんM&Aによって業態を変えていて、今はまったくカセットテープを作っていません。スマホ向けのバッテリやセンサーなど、新業態にどんどんチャレンジしています」と説明した。
加えて、「拠点も世界各国にあり、例えば人事のヘッドオフィスは、ドイツのミュンヘンにあります。グローバルに働きたい方は、チャンスがたくさんあります。日本国内は東北由来の企業なので、東北地区に各製造拠点があり、長野にデータセンサーも作っています。日本でもいろいろなところで働けます」とグローバルな企業であることをアピール。
続けて、「TDKの先端技術は、なかなか目にすることはないですが、いろんなものに組み込まれています。皆さんが普段使われている電気の通っている製品には大体入っていますし、AIデータセンター、ドローン、ARグラス、さまざまな製品の内側に入っていて、内側から人々の暮らしと産業を支えています」とTDK製品の特徴を紹介した。
さらに、TDKの企業理念は「創造によって文化産業に貢献する」で、田辺氏は「これが存在意義、または大事にしている行動指針ともいえますし、夢、勇気、信頼を社訓として大切にしています」と会社の掲げる方向性を説明。
現在多くの企業が変革、トランスフォーメーションをしようとしているが、TDKも同様にテクノロジーで社会に貢献し、そこからフィードバックを受けることで、会社自体の変革も見据えているという。さらに会社だけではなく、従業員、チームメンバーも変革していくことから、「トランスフォーメーションは、TDKのアイデンティティといってもいいかもしれないです。新しいことに挑戦していくことを通じて自己変革を繰り返していく、そういったDNAがTDKにはあります」と田辺氏は語った。
ポルシェとの協業のきっかけは“内なる渇望”で、ポルシェは創業者が「理想のクルマがないなら自分で作ってしまおう」とゼロから生み出したが、TDKは秋田で磁性材料(フェライト)を生み出したという共通点があるという。
またフォーミュラEは、ただスピードを競うレースではなく、最先端の技術の実験場で、TDKがフォーミュラEで試した技術を実際に社会の中で使うことで社会貢献を果たすのが目標。田辺氏は、「これをぜひ今日は体験していただきたい。華やかな外側を支えているのは実は内側にあるもので、それは製品だけでなく社員の内側にもあると思っています」と製品だけでなく人の重要性を説いた。
会社は職場ではなく「活躍の場」
続いて、これまで何十年にもわたり多くの国と文化を巡り、今でも仕事に行くときにはワクワクするというTDK CHRO(Human Resource Officer:最高人事責任者)であるアンドレアス・ケラー氏が登壇。ワクワクする理由についてケラー氏は、「今日は今後仲間になるかもしれない次世代を作る人たちと一緒に過ごせるからです」と説明。
フォーミュラEレースは、スタイリッシュなボディ、迫力のあるスピード、素晴らしい演出などが目に入りがちだが、勝利を決めるのは外側ではなく内側にある機械の“心臓部”でという。ケラー氏は、「心臓部こそがTDKの活躍の場で、TDKで働くということは、目に見えない場所から世の中にインパクトを与えることになる。これはエンジニアとしては一番満足のいくことではないでしょうか? 皆さんが作ったものが、静かに世界を変えていくのです」と事業の特徴を紹介。
続けてケラー氏は、「私は皆さんにTDKを“単なる職場”と考えてもらいたくありません。むしろ“活躍の場(プレイグラウンド)”だと考えてください。フォーミュラEは、TDKにとっては“動く実験場”です。私たちが試験を行ない、失敗し、学び取り、そして最高スピードで進化を遂げていく、そんな場所です。このような場所を皆さんに提供できます。そこで皆さんは実験を行ない、学んでいくのです。TDKでは“ファンクショナル・イクオリティ(機能的平等)”というワードを使っていますが、これは役職や肩書きが重要なのではなく、“アイデアこそが一番大事なのだ”という考え方です」と、仕事への向き合い方を説明した。
TDKは現在、人材、R&D、品質、サステナビリティなど、すべてにわたってトランスフォーメーションを進めていて、1つのチーム「TDK United(団結)」として自分たちを新たに作り替えている。そして、この自身をトランスフォームすることが、変わっていく社会に対しても貢献できる場所だとしている。
アンドレアス・ケラーCHROへ質問
最後にTDK採用担当の玉川菜月氏が登壇し、参加者に代わって採用係によく届く質問をケラーCHROへ投げかけた。
玉川氏:新卒で入社した若手社員も、こういったプロジェクトであったりとか挑戦の場は本当に用意されているんでしょうか?
ケラー氏:TDKが大事にしている原則に「挑戦する勇気」があります。ビジョンとして「勇気」を持って、お互いに「信頼」して進んでいく。何か新しいことに挑戦するということは、一部の先輩社員だけに与えられている訳ではなく、勇気を持って「新しいことに挑戦していこう!」という気持ちを持った人たちのものです。
玉川氏:ケラーさん個人的には、どのようなマインドを持った仲間をTDKに迎え入れたいと考えていますか?
ケラー氏:2つあります。1つは先ほど出た「挑戦する勇気」です。失敗することを恐れないでください。失敗しても構わないのです。そして限界をもっと超えていきましょう。私たちが求めているのは、すべてのことに答えられるような、そういった人やエンジニアを求めているのではありません。難しい質問であってもそういった質問をどんどん問いかけて、そして最初の1歩を踏み出せるような、そういう人を求めています。2つ目は「トランスフォーメーション(変革)の力」があるということ。今日マスターした技術も、明日にはまた変わっています。常に新しいものに対する好奇心を持って成長していけるような人を求めています。
玉川氏:今日参加している学生さんに励ましのメッセージを下さい。
ケラー氏:キャリアというのは、生きていて、不確実で、可能性に満ちています。今日見学してもらうレースの舞台裏も同じですから、この不確実で可能性に満ちているものを見ていただいて、皆さんのキャリアのヒントにしていただければと思います。
そして覚えておいてもらいたいのは、「昨日の成功に安住してはならない」ということです。会社の成功であったり、自身の成功であったりするかもしれませんが、昨日の成功に安住することはしないでほしい。「昨日の技術」だけを守っていこうとするエンジニアは必要ありません。私たちが必要とするのは、勇気を持って、大胆に、今存在していないものを作るという、勇気を持った人材です。
フォーミュラEの裏側を見学
この日の見学メニューは、ピットレーンウォークをはじめ、ポルシェガレージツアー、放送技術センターなど、普段は立ち入ることのできないフォーミュラEの舞台裏。
ポルシェのピットでは、エンジニアからフォーミュラEには10チームが参戦していて、各チームが2台のマシンを走らせていることや、マシンの最高出力は470PSあること、コース上には4分だけパワーアップできるゾーンがあること、タイヤはドライもウェットも同じで1種類しかないことなど、さまざまな説明が行なわれた。また、学生たちもドライバーやマシンの制御など、気になるポイントについて質問をしていた。
続いてフォーミュラEが運営している映像中継の現場へ。フォーミュラEの映像拠点はロンドンにあるが、常に大きな機材の入ったボックスを多数現地へ運び込んでいるという。マシンは1台につき10個のカメラを搭載しているほか、コースには25個以上のカメラ、ドローンも投入することで、その場で迫力と臨場感のあるレースシーンを瞬時に映像にまとめているという。



































