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PTCジャパン、新オフィスを東京・日本橋に開設 最新デモ機のエクスペリエンス・デモ・プラットフォームをアジア初導入
2026年8月20日 07:00
- 2026年8月18日 開催
PTCジャパンは8月18日、東京・日本橋の新オフィスを公開した。新オフィスには最新のAI機能や同社のソリューションを実演・体験できる「ジャパン・エクスペリエンス・センター」が併設され、当日は米国本社から来日した最高収益責任者のロバート・ダダ氏や最高マーケティング・サステナビリティ責任者のキャサリン・クニカー氏ら経営幹部が、グローバルな市場動向と成長戦略について語った。
AIの時代だからこそ「リアルなコミュニケーション」の場を作る
最初に登壇したPTCジャパンの社長執行役員 神谷知信氏は冒頭で「AIの時代、こういう時代だからこそ人と人とのコミュニケーションの大切さを日々感じている」と話し、オフィス移転の背景とそのコンセプトについて説明した。
コミュニケーションが大切と感じた理由として、PTCジャパンでは移転の過程で一時的にリモートワークで業務を行なっていた。その間、神谷氏は社員同士が直接会えないことによるコミュニケーションの希薄化に危機感を持ったという。
そこで、新オフィスの大きなコンセプトとして掲げられたのが「Living Harmony(生きた調和)」だ。これは単に社員が働く場所という意味に留まらず、顧客やパートナー企業と共に考えをぶつけ合い、新しい価値を共創していく場であることを意味している。
移転先に選ばれた日本橋という場所も、橋があり、人と人と繋がって、テクノロジーの人や社内外が繋がる場所。人々を繋ぐ新しい仕事を生み出してきた場所であることから、デジタルと物理的な現実を融合させるPTCにとって最適な場所であるとした。
オフィス内のデザインにもそのこだわりが反映されており、浮世絵師によるPTCのためのオリジナルアートが掲げられている。これは日本橋から日本各地に道が延びている様子を示し、単なるアートでなく社員へのメッセージが込められている。
また、新オフィス内には最新のデモンストレーション環境である「ジャパン・エクスペリエンス・センター」が設置された。この施設は、AIや各アプリケーションがどのように連携して顧客の課題を解決するかをリアルに体験できるだけでなく、ライブ配信機能も備えている。
これにより、日本国内だけでなく海外へも最新のソリューションデモを発信することが可能となり、物理的な距離を超えたグローバルな情報共有の拠点としての役割も担っていくという。
複雑化がエンジニアの脳の限界を超えていると、CROのロバート・ダダ氏
続いて、米国本社から来日した最高収益責任者(CRO)のロバート・ダダ氏が、グローバルにおける製造業の最新トレンドとPTCの立ち位置について解説した。
ロバート氏は、現在の製造業を取り巻く環境について、クラウドやSaaSへの移行が進む一方で、企業が成果を出すためのプロセスは複雑化していると指摘した。
特に自動車では、ハードウェアだけでなく、その中におけるソフトウェアの占める割合が劇的に増大していることで複雑さが進み、製品をグローバルに展開させてサプライチェーンを管理、環境規制や品質、効率性のすべてを担保しなければならない現状は、もはや「一人のエンジニアの脳で対応できる範囲を超えている」という。
このような課題に対し、世界中の顧客が共通して最も強い関心を寄せているのがAIの活用であるという。
そして、ロバート氏は、長年のパートナーであるランボルギーニを具体的な事例として挙げた。ランボルギーニでは、全てのテクノロジーの基盤に加えて最新のAI技術を積極的に取り入れることで、製品を迅速に市場へ投入し、最高水準の品質と革新性を維持し続けている。
PTCはこうした企業に対し、AIを含む高度なテクノロジーを提供することで、複雑化する課題の解決に誇りを持って取り組んでいるとし、日本市場においても同様の進化を加速させていく姿勢を示した。
AI活用の鍵を握る3つの要素。キャサリン・クニカー氏が説く「IPL」の重要性
最高マーケティング・サステナビリティ責任者(CSO/CMO)のキャサリン・クニカー氏は、PTCが提唱する「インテリジェント・プロダクト・ライフサイクル(IPL)」の戦略的意義について説明した。
キャサリン氏は、顧客が抱える複雑な課題を解決し、IPLを実現するためには3つの不可欠な要素があると強調した。
ひとつは「強固なデータ基盤」の構築。キャサリン氏は、どれほど高度なAIであっても、その土台となる情報やデータの環境が整わなければ真に効果的な活用は難しいとの見解を示した。
2つめは「オープンな接続性」。PTCの製品同士の連携はもちろんのこと、他社ソフトウェアやシステムともシームレスに繋がることができなければ、製品のライフサイクル全体を網羅することはできない。
そして3つ目が「AIの力」を実際のワークフローに組み込むこと。AIを単なるツールとして外側に置くのではなく、設計、製造、サービスといった一連の流れの中に組み込むことで、業務プロセスそのものを強力にアップデートしていく狙いがある。
要件定義から始まり、設計、プランニング、製造、そしてアフターサービスに至る一連のライフサイクルにおいて、これら3つの要素が機能することで、初めて「製品を早く市場に出し、かつ収益性を高める」という製造業の究極的な目標が達成されるという。具体的な顧客事例として紹介されたアメリカの建設機器メーカーの「ボブキャット」では、ライフサイクルのあらゆる工程にソフトウェアを組み込み、品質を維持しながら利益率を向上させることに成功しているという。
また、ランボルギーニにおいても、ハードウェアとソフトウェア、エレクトロニクスの要件を高度に融合させ、スピード感のある開発を実現していると述べた。
アジアで初めて導入したデモ機を披露
今回の新オフィスには、入口を入ってすぐのところをゲストが入れるJapan Experience Centerとし、最新のPTCのIPLを体験するデモ機を2台設置した。このデモ機はアメリカのPTC本社に導入し、その後にドイツ、そして日本が3番目の導入でアジアパシフィック地域では初導入となる。
PTCが提唱する「インテリジェント・プロダクト・ライフサイクル(IPL)」を視覚的に体験するためのプラットフォームで、製品の「定義」「設計」「計画」「生産」「サービス」「実測(退役)」というライフサイクルの全工程が、デジタルでどのようにつながっているかを、実在の企業で発生しうるシーンを再現、画面を操作しながら体験することができる。
現在のところデモ機に入っているコンテンツとしては、建機メーカーのボブキャットと、自動車メーカーではランボルギーニの2つで、ランボルギーニについてはSDV開発における要件管理やハードウェアとソフトウェアの各要素の調和をしていくものとなる。
実際に行なわれたデモ機の動作では、V12プラグインハイブリッド車(PHEV)である「ランボルギーニ・レヴエルト」を題材に、複雑化するソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)開発をどう効率化するかを実演した。ハイブリッド車の開発はエンジン(ハードウェア)とモーター(ソフトウェアによる制御)を高度に連携させる必要があるが、アプリケーション・ライフサイクル・マネジメント(ALM)ツールである「Codebeamer」を用い、膨大な要件がどのように紐付けられて、どう調整してしてくかを示した。
また、ボブキャットについては、現場での不具合情報を得て、設計変更、最新のサービス情報を現場の作業員へ届けるまでの一連の流れを実演した。
また、このJapan Experience Centerには配信用のカメラが備えられており、新オフィスに直接来訪するほか、リモートでのデモにも対応する。また、利用はエンドユーザーのほか、販売パートナーなどにも利用していくという。
さらに、Japan Experience Centerはデモ機を置いてある以外は広い空間となっており、小規模のセミナーやイベントなどにも活用できる。
















