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【JMS2026】ホンダが「走行中無線給電」のモックアップ初公開 チーフエンジニアの佐藤哲氏が技術を解説
2026年10月13日 14:05
- 2026年10月13日~16日 開催
- 入場無料(全来場者事前登録制)
本田技研工業は、幕張メッセで開催中(会期:10月13日~16日)の「ジャパンモビリティショー ビズウィーク 2026」の自工会(日本自動車工業会)合同展示ブース「走行中無線給電:未来の移動を支える道路インフラ」ゾーンにて、走行中無線給電技術(DWPT:Dynamic Wireless Power Transfer)」のモックアップモデルを公開している。
DWPTは去る10月5日に発表した技術で、ホンダが独自開発した高出力密度で直流配電に対応する受給電ユニットと、大成建設による高応答な直流電源システム、大成ロテックの埋設施工技術と、3社の技術を組み合わせたもの。
本田技術研究所 チーフエンジニアの佐藤哲氏によると、このプロジェクトは、道路インフラとBEV(バッテリ電気自動車)をシームレスに統合する次世代モビリティ基盤の構築を目指し、2021年より研究開発がスタート。約5年間にわたり基礎技術の検証から地上設備の試作、車両走行試験にわたる総合的な技術立証が重ねられてきたという。
従来のBEVが抱える「充電スタンドでの長い待ち時間」や「航続距離を伸ばすための大型バッテリ搭載による車両重量・コストの増加」といった根本的な課題に対し、走行中に道路から直接給電を受けることで充電待ち時間をゼロにし、必要最小限のバッテリ容量で長距離走行を可能にする革新的なソリューションとなっている。
100km/hでのピンポイント給電と「走った分以上のエネルギー補充」を実現
走行中ワイヤレス給電システムの開発で、最も難度の高い技術的ハードルだったのが、「高速移動する車両の正確な検知と瞬時の送電制御」と佐藤氏。道路側に配置した給電コイルから、常時高出力の電磁波を放出し続けることは、エネルギーロスや人体・周辺機器への電磁波影響、総務省が定める「電波防護指針」もあり、安全性の観点から許容されていない。
そのため、給電能力を持つ道路区間をBEVが通過する「その瞬間」だけをセンサで即座に判別し、車両の直下にあるコイルだけをピンポイントで励磁(送電)する高度な通信・制御システムが必須となる。
開発中の現在でも、すでに高速道路などの巡航速度に相当する「時速100km/h」で通過する車両に対しても、遅延なく車両位置を特定して正確に電力を送る制御アルゴリズムを構築。これまでに単体のコイルを用いた通過試験を完了させ、良好な送受電効率を実証できているという。
さらに、複数の給電コイルを道路上に連続して敷設した走行シミュレーションおよび試験結果では、「走行時に消費する電力(減る分)よりも、給電によって車載バッテリへ補充される電力(増える分)が上まわる」という計算上の数値をクリア。佐藤氏は、「理論上、給電レーンを走行し続ける限りバッテリ残量が減らない、あるいは増加するというパフォーマンスの目途を立てることに成功している」と実用性をアピールする。
ゼネコンの強みを生かした道路施工技術の確立と耐久性検証
技術的な給電性能や制御システムの確立を受け、研究開発のフェーズは「いかに公道へ迅速かつ頑丈に埋設し、インフラとして運用・維持管理するか」という実際の道路建設・土木技術の領域へと進んでいる。
実験設備では、道路表層アスファルトの下約5cm程度の深さに給電ユニットを埋設した状態で良好な給電性能を確認しているが、公道での実用化に向けては数々の過酷な環境耐性が求められるほか、埋設する深さもより検証する必要があるという。
特に、大型トラックやダンプカーといった重車両が日常的に通過することによる「表層の変形(わだちなど)」や「たわみ」、舗装のクラック(ひび割れ)が発生した場合でも、内部のコイルや電子基板が破壊されない構造耐久性が必須となる。
また、施工時の道路規制時間を最小限に抑えるための「ユニット化施工」や、既存道路の修繕・舗装打ち換え工事に合わせた「急速施工技術」の開発も重要視されている。総合建設会社(ゼネコン)としての豊富な知見と舗装技術を生かし、道路の耐久性を損なうことなく低コストかつスピーディに導入できる施工方法の確立が進められている。
移動の概念を変える未来のモビリティインフラ
今後は実際の公道やテストコースでの長期的な実証試験を積み重ね、道路構造に合わせた最適なコイルユニットの形状・埋設深さの標準化を進めていく。将来的には、高速道路の登坂車線や主要な幹線道路、バスやトラックといった路線物流ルートへの優先的な導入を想定。走行中ワイヤレス給電が社会インフラとして定着すれば、BEVのバッテリ搭載量を従来の半分以下に削減することが可能となり、車両価格の引き下げや軽量化による走行性能・電費の向上が期待される。
当然のことながら、ホンダ、大成建設、大成ロテックの3社だけで実現するのは不可能で、多くの賛同とより幅広い協調が求められるという。


















