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メルセデス・ベンツ、新型EV「エレクトリックGLC」日本初公開 新世代EV専用プラットフォーム「MB.EA-M」初採用

年内に「GLB」の電気自動車が登場と予告も

2026年10月28日 開催
electric GLCとメルセデス・ベンツ日本合同会社 社長 兼 CEO ゲルティンガー剛氏

 メルセデス・ベンツ日本は10月28日、SUV「GLC」として初となるバッテリ電気自動車(BEV)「electric GLC」の発表会を、東京 表参道のMercedes-Benz STUDIO TOKYOにて開催した。メルセデス・ベンツ日本の社長兼CEOのゲルティンガー剛氏と、GLCプロダクトマネージャーのダニエル・ノルテ氏がelectric GLCについて説明した。

「GLCの価値を電動化で広げる」―― ゲルティンガー剛社長が語る未体験の価値

 剛氏は、日本市場におけるGLCについて「GLCは、メルセデス・ベンツのSUVラインアップの中心を担う大変重要なモデル。日本では2016年に初代モデルを導入して以来、スタイリッシュなデザイン、取りまわしの良さ、そして安全性、快適性によって多くのお客さまに選ばれ、2025年には外国メーカー車のミドルサイズSUVとして年間登録台数首位。まさに日本のお客さまに最も選ばれているメルセデス」と説明した。

メルセデス・ベンツ日本合同会社 社長 兼 CEO ゲルティンガー剛氏

 その上で、今回登場した「electric GLC」が単なる既存モデルを電動化しただけではない「GLCの長年培った快適性、実用、実用性、そしてプレミアムな価値を高い次元へ引き上げ、全く新しいモデル」と紹介した。

 その中には、EV専用プラットフォームによる静粛性、乗り心地、安全性の安定性、そして居住性が大幅に向上した上質なドライビング体験、後輪操舵による回転最小半径が5.2mであること、さらドライバーと家族を守る強固なボディなど特徴を紹介。

electric GLCのパワートレイン
39.1インチの「MBUXハイパースクリーン」を装備

 メルセデス・ベンツ独自の「MB.OS」については「高度な演算能力によって、クルマにこれまで以上に賢さを与え、お客さまに寄り添う存在へ」と進化を強調し、「私たちはこのクルマを“未体験SUV”と呼んでいる」とまとめた。

新しいデザイン言語を象徴するというフロントグリル

 続いてメルセデス・ベンツ日本 商品企画部商品企画課のGLCプロダクトマネージャー ダニエル・ノルテ氏が登壇し、新型「electric GLC」に投入された内外装デザイン、電動パワートレーン、「MB.OS」の技術的トピックを解説した。

メルセデス・ベンツ日本合同会社 商品企画部商品企画課 GLCプロダクトマネージャー ダニエル・ノルテ氏

 最初に説明したのはエクステリアデザインで、メルセデス・ベンツの新しいデザイン言語を象徴するというフロントグリル。「300 SEL」など歴代の名車のラジエーターグリルから着想を得たこのパネルには、942個のポリカーボネート製バックライトドットと中央のスリーポインテッドスターが配され、点灯時にはエレガントなピクセルグラフィックを映し出す。前後のLEDライト内にもスリーポインテッドスターのモチーフがあしらわれる。

フロントグリルのデザインは300 SELから着想を得たという
フロントグリルには942個のポリカーボネート製バックライトドットと中央のスリーポインテッドスター

 インテリアは「Welcome home(わが家に帰ってきたかのような安心感)」をコンセプトに開発された。ダニエル氏は車内に一歩踏み入れた瞬間のフィーリングについて、「ドアを開けると上質な素材、卓越したクラフトマンシップ、そして細やかに施されたユーザー体験に包まれ、走り出す前から自宅にいるかのような居心地の良さを体感する」と語り、本革シートのサイドボルスターには靴の仕立てから着想を得た「モカシンステッチ」が施されており、同氏は「靴から着想を得たこの精緻な仕上げは、熟練の職人がミシンを使って実現している」と、妥協のない手作業へのこだわりを説明した。

Welcome homeがコンセプトのインテリア
この展示車の内装はアイボリーベージュ/ブラック

 開放的な頭上空間を演出する「SKY CONTROL パノラミックルーフ」には、PDLC(高分子分散型液晶)技術が用いられており、画面操作によってガラス面の透明度を9つのセグメントで個別に切り替えることができる。ダニエル氏は「標準装備されたスカイコントロールパノラマルーフによって、ほとんど遮られることなく空を見渡すことができ、全く新しい車内体験を提供できる」と紹介した。

SKY CONTROL パノラミックルーフは標準装備。透明度はクリア、マットのほかに「モチーフ」があり、これはモチーフ
画面で操作できる
マットの状態。昼間なので分かりにくいが、ガラス面に組み込まれたスリーポインテッドスターのイルミネーションが点灯
イルミネーションの色も多彩に制御できる

 また、内燃機関モデルに比べてホイールベースが84mm拡大されたことで、後席レッグルームが47mm拡大し、前後席のヘッドルームにもゆとりが生まれた。ラゲッジルームは最大1690Lの大容量を確保するほか、ボンネット先端のエンブレムにタッチして開く128Lの「フロントトランク(フランク)」も装備される。

後席レッグルームが47mm拡大
フロントのトランク、フランクもある、こちらは「GLC 300 4MATIC electric」で前輪も駆動するモデル
荷室の容量は最大1690L。フロントは128L

EV専用「MB.EA-M」プラットフォームと2段変速パワートレーン

「electric GLC」の骨格には、ミッドサイズEV専用に新開発されたプラットフォーム「MB.EA-M(Mercedes-Benz Electric Architecture - Midsize)」が初採用された。

プラットフォーム「MB.EA-M」のパワートレーン

 ダニエル氏は本プラットフォームの恩恵について、「電動モビリティのために開発されたこのプラットフォームによって、エンジニアはパワートレーンだけでなく、効率、乗り心地の良さ、そして室内空間も最適化することができた。その結果、GLCが日常での幅広い使いやすさを新しいレベルへと引き上げている」と語った。

一充電での走行可能距離

 自社開発されたリアアクスルの永久磁石同期モーター(PSM)には2速トランスミッションが組み合わされる。1速で力強い発進加速と市街地での高効率を実現し、2速で高速道路における電力消費を大幅に抑制するという。

 ダニエル氏は「長距離走行におけるバッテリから車輪へのエネルギー変換効率は最大93%に達する」と、圧倒的な駆動効率の高さについて語る。四輪駆動の「GLC 300 4MATIC electric」ではフロントにもモーターが搭載されるが、不要時にはディスコネクトユニット(DCU)が即座にフロント駆動を分離して後輪駆動のみで走行し、無駄な電力消費を防ぐ。回生ブレーキも通常走行の99%を超えるケースで発電し、後続距離の延長に貢献する。

 システム電圧には800Vアーキテクチャを採用し、85.5kWhのリチウムイオンバッテリを組み合わせることで、一充電走行距離(WLTCモード)は「GLC 250 electric」で642km、「GLC 300 4MATIC electric」で618kmを達成。急速充電は日本のCHAdeMOで最大100kW充電に対応し、約45分間で10%から80%までの充電が可能。さらにV2L(外部給電機能)も備える。

ブレーキの99%以上で回生するという
マルチソースヒートポンプ

 熱マネジメントは、駆動ユニットやバッテリの廃熱、外気を活用する「マルチソースヒートポンプ」を採用した。ダニエル氏は「同じ条件下で同等の補助電気式のヒーターが必要とする電力の約3分の1」と、エネルギー効率の高さを強調。寒冷時でも空調で電費を損ないにくい技術をアピールした。

 足まわりには、車速や路面に応じて自動調整する電子制御エアサスペンション「AIRMATIC」をオプション設定。さらに、後輪を最大4.5度操舵する「リア・アクスルステアリング」により、ダニエル氏は「最小(回転)半径5.2mを実現、狭い路地や駐車場でコンパクトSUV並みの取りまわしのよさを実感いただける」と、コンパクトカー並みの小まわりの良さをアピールした。

「MB.OS」がもたらす知能化と世界最高水準の安全思想

 続いて、車載のインフォテインメント、運転支援、コンフォート、充電までを統合制御する独自オペレーティングシステム「MB.OS」について解説。

第4世代のMBUX
オプションの横幅39.1インチの「MBUXハイパースクリーン」

 ダッシュボードは、10.3インチ+14インチ+14インチの「MBUXスーパースクリーン」が標準装備で、オプションでは左右のAピラー間をシームレスに繋ぐ横幅39.1インチ(7680×1260ピクセル・8K相当)の「MBUXハイパースクリーン」となる。

 MicrosoftやGoogleの生成AIを統合した「MBUXバーチャルアシスタント」についてダニエル氏は、「ナビゲーションなのか施設やスポットに関する質問なのか、一般的な知識に関する質問なのかといった文脈に応じて、同じ会話の中で異なる情報源にアクセスする」とマルチエージェントの例を挙げ、さらに自然な文脈を理解して対話できる性能があると強調した。

MB.OSでは毎秒254兆回の演算をして定期的なOTAをサポート
内容によって異なる情報源にアクセスするAIが異なるマルチエージェント

 安全性能においても、複数のカメラ、5基のレーダー、12個の超音波センサーで周囲を常時監視する運転支援システム「MB.DRIVE」を搭載する。それをサポートする物理的な安全対策としてもBピラーに2000MPa級の超高張力鋼板の採用や、前席間のSRSセンターエアバッグを含む合計11個のエアバッグを標準装備している。

カメラ、レーダー、超音波センサーなどを装備
ボディで使用する材料

 事故発生時の高電圧システム保護についても、ダニエル氏は「重大な事故が発生した場合に高圧システムを自動的に遮断するような仕組み、または乗員を救助する際の車内への素早いアクセスができるように(フラッシュドアハンドルを)自動的にせり出せる仕組みが含まれている」と語り、万一の対策として、乗員や救助隊員の安全を物理・電子の両面で実現していることを説明した。

ドイツのブレーメンの最新工場で生産する

GLC 250 electricとGLC 300 4MATIC electricが登場、内燃機関モデルは来年以降

 発表会の最後には、剛氏がラインアップと価格を発表した。後輪駆動モデル「GLC 250 electric」が913万円、四輪駆動モデル「GLC 300 4MATIC electric」が957万円とし、国のクリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)としてGLC 250 electricで98万円、GLC 300 4MATIC electricで78万4000円が適用可能。さらに、東京都内ならば東京都独自の補助金を組み合わせることで、より買いやすい価格で購入できるとした。

GLC 250 electricとGLC 300 4MATIC electricの価格と補助金

 さらに、保証等のサポート体制としてEQケアとメルセデスケアがあり、充電サービスについても充実していることを説明。「電気自動車を選ぶ際の不安を減らし、その先にある快適で新しい移動の魅力を楽しんでいただきたいと考えている」とした。

EQケアとメルセデスケア

 最後に、今後登場するモデルとして内燃機関の新型GLCは2027年以降に導入予定としたほか、年内にGLBの電気自動車が登場予定だと述べた。

GLC 250 electricとGLC 300 4MATIC electricを展示

 発表会当日、Mercedes-Benz STUDIO TOKYOではGLC 250 electricとGLC 300 4MATIC electricが展示された。いずれのクルマもオプションのAMGラインパッケージ、アドバンスパッケージ、ドライバーズパッケージ、レザーエクスクルーシブが選択され、レザー内装や21インチホイールが装着されている。

GLC 300 4MATIC electric、ボディカラーはラベンダーシルバー
特徴的なフロントグリル
側面
テールランプにもスリーポインテッドスターを埋め込んでいる
内装カラーはアイボリーベージュ/ブラック
GLC 300 4MATIC electric、ボディカラーはMANUFAKTURパタゴニアレッド
オプションの21インチホイール
GLC 300 4MATIC electric、ボディカラーはMANUFAKTURオパリスホワイト
GLC 250 electric、ボディカラーはソーダライトブルー
GLC 250 electricとGLC 300 4MATIC electricのエクステリアに基本的に違いはなく、エンブレム程度だという
GLC electricのインテリア
マルチファンクションステアリング
インテリアのカラーはブラック
ペダルは2ペダル
スマートフォン等のワイヤレス充電を2つ分装備する
センターコンソールの下にトレイとUSBポートがある
横幅39.1インチMBUXハイパースクリーンにはエモーショナルモードがあり、憩いのひとときを演出するという」
リアシート
フロア中央部の盛り上がりもごくわずか
リアのラゲッジスペースは520Lから最大1690Lまで拡大できる。これは後席を使用している状態
もちろん電動でゲートが開閉する
フロントトランクも装備。容量は128L
下まわりをフロント側から見たところ
リア側から見た下まわり
充電ポートは右後方に装備。外部給電機能がある
急速充電のCHAdeMOは左側
Mercedes-Benz STUDIO TOKYOにはGLC electricが展示された