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豊田佐吉が豊田自動織機製作所を設立して100年、トヨタ豊田章男会長が豊田佐吉翁顕彰祭であいさつ

「日本を豊かにしよう」と興した会社がトヨタグループの源流

豊田佐吉翁顕彰祭であいさつを行なう豊田章男氏

豊田佐吉翁顕彰祭

 10月30日、静岡県湖西市で第63回豊田佐吉翁顕彰祭が豊田佐吉翁の銅像がある鷲津中学校で開催された。当日はやや雨模様のため、雨が強くなる場合は別場所での開催が検討されていたが、顕彰祭が始まる直前に雨が上がり、鷲津中学校での実施となった。

 豊田佐吉翁顕彰祭は、この地に生まれた豊田佐吉氏の「報恩・創造」の精神を顕彰すべく1964年から始まっており、豊田佐吉氏の命日である10月30日を中心に毎年行なわれている。

湖西市長 田内浩之氏(左)と豊田章男氏(右)

 当日は、湖西市長 田内浩之氏、トヨタ自動車 代表取締役会長であり豊田佐吉氏のひ孫にあたる豊田章男氏、トヨタ自動車 代表取締役社長 近健太氏、湖西市の隣の浜松市に本社を置くスズキ 代表取締役社長 鈴木俊宏氏、湖西市に本社を置くトヨタバッテリー 代表取締役社長 岡田政道氏ら関係者が出席した。

 関係者による献花が行なわれた後、豊田佐吉翁奨学金奨学生 安藤聖氏による感謝の言葉が読み上げられ、豊田家代表として豊田章男氏が奨学生に向けてのあいさつを行なった。

豊田佐吉翁胸像前で、奨学生とともに記念写真

豊田家代表 豊田章男氏 あいさつ

 本日は、私の曽祖父・豊田佐吉の顕彰祭にお招きいただき、誠にありがとうございます。本年も、この顕彰祭を執り行なっていただき、田内浩之市長をはじめ、湖西市役所、市民の皆さまに大変感謝をしております。また、鷲津中学校の皆さまには、佐吉の胸像を日々大切にお手入れいただきまして、心より御礼申し上げます。

 今年は、佐吉が「豊田自動織機製作所」を設立して100年という節目の年です。生涯をかけて発明した自動織機を普及させ「日本を豊かにしよう」と興した会社が、トヨタグループの源流となりました。アイデアを形にするだけで終わらせない。たくさんの人に喜んでもらって初めて、社会の役に立てる。この佐吉の想いは、「幸せの量産」というトヨタのミッションとして私たちの心に生き続けております。

 そんな佐吉の生き方を象徴するのが「障子を開けてみよ、外は広いぞ」という言葉です。「外の世界へ挑戦しよう」という意味で知られていますが、私にはもう一つ大切なメッセージが込められている気がしてなりません。「外に向かって、心を開こう」。今を生きる私たちに、佐吉がそう語りかけているように思えるのです。どれだけ優れた技術や発明も、自分の中に閉じ込めていては、誰も幸せにすることはできません。自ら心を開き、人の知恵に学び、力を借りる。「心の障子を開く」姿勢があったからこそ、佐吉の発明は世界に広がったのだと思います。

 今日、佐吉の精神をまっすぐに受け継がれているのが「豊田佐吉翁記念奨学金・奨学生」、そして、「湖西少年少女発明クラブ」の皆さんです。なかでも、発明クラブは今年50周年を迎えられました。本当におめでとうございます。学問においても、モノづくりにおいても、失敗したり、思い通りにいかなかったりすることは少なくないと思います。でも、一人で悩む必要はありません。仲間のアイデアを「すごい」と認め合い、お互いに助け合う。どうか、自分から心を開いてみてください。そうしてつながった仲間とともに、新しいことに挑戦する。その一歩一歩が、誰かを笑顔にする未来につながっていくはずです。

 私の父・章一郎は、ひたむきに挑戦し、成長する皆さんの姿を、いつも本当に楽しみにしておりました。そんな父に代わり、今年もこの言葉を贈ります。

「新しいものをつくるために知恵を絞り、汗をかき、時間を忘れて熱中する。その瞬間が極めて楽しい。苦心した末にものができあがったとき、それを誰かが使って喜んだり、助かったりしたとき、この上ない喜びと感動に包まれる。だからもっと勉強し、働いて、もっといいものをつくろうと思う」

 この父の言葉を胸に、私自身、「心の障子」を開き、仲間と手を携えて、もっといいクルマをつくる。その決意を佐吉の胸像の前でお誓い申し上げ、私のあいさつとさせていただきます。本日はありがとうございました。

令和8年10月30日
豊田章男