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豊田佐吉翁顕彰祭、トヨタ豊田章男会長が「自分だけの『道』を見つけてください」と奨学生に向けあいさつ
2024年10月31日 09:39
- 2024年10月30日 開催
豊田佐吉翁顕彰祭
静岡県湖西市で10月30日、第61回豊田佐吉翁顕彰祭が開催された。例年は豊田佐吉翁の銅像がある鷲津中学校での開催となるが、2024年は雨予報となっていたことから、新居地域センター(静岡県湖西市新居町浜名)での開催となった。
豊田佐吉翁顕彰祭は、この地に生まれた豊田佐吉氏の「報恩・創造」の精神を顕彰すべく1964年から始まったもので、豊田佐吉氏の命日である10月30日に毎年行なわれている。
当日は、湖西市市長 影山剛士氏、トヨタ自動車 代表取締役会長であり豊田佐吉氏のひ孫にあたる豊田章男氏、湖西市の隣の浜松市に本社を置くスズキ 代表取締役社長 鈴木俊宏氏、デンソー 代表取締役会長 有馬浩二氏、湖西市に本社を置くトヨタバッテリー 代表取締役社長 岡田政道氏らが出席。豊田佐吉翁を顕彰するとともに、湖西市を代表して影山市長が、豊田佐吉翁記念奨学基金・奨学生を代表して竹内春菜さんが、豊田家を代表して豊田章男氏があいさつを行なった。
湖西市代表 影山市長 あいさつ
顕彰の言葉
私ども湖西市民が常に誇りとしております豊田佐吉翁のご命日をお迎えし、第61回顕彰祭を開催するにあたり、湖西市を代表して謹んで顕彰の言葉を申し上げます。
本日ご多忙の中ご臨席を賜りました豊田章男さまをはじめ、ご親族ほかご来賓のみなさま方に深く御礼申し上げます。
佐吉翁生誕100年にあたる昭和42年に、豊田家のみなさまからご寄付をいただき設立されました豊田佐吉翁奨学金制度では、佐吉翁に続けと、これまでに352名が奨学生となり、現在346名が巣立ち、各分野で活躍しておりますことをここにご報告させていただきます。
2年前、令和4年の顕彰祭の後、ここ新居の地域センターでは豊田章男さまから中学生向けの特別授業を行なっていただきました。そして本年9月17日には、スズキ株式会社 代表取締役社長の鈴木俊宏さまからも中学生向けの特別授業を行なっていただきました。
未来を担う子供たちが世界に誇る技術を持つ企業が身近にあるということを知り、将来のキャリア形成を考えるきっかけとなる大変貴重な機会となっており、改めて深く感謝を申し上げます。
また、本年10月1日には、トヨタバッテリー株式会社の出発式が執り行なわれました。ゼロカーボンシティにおける次世代の車載用電池の一大生産拠点として、また子供たちを中心とした工場見学などもの作り人材の育成に向けて、市としても引き続き連携支援をしてまいります。
結びにあたり、1924年に豊田佐吉翁が無停止杼換式豊田自動織機、いわゆるG型自動織機を発明してから今年で100年目となります。
数々の発明の中でも世界各国に輸出され、マジックグルーム、魔法の織機とも称され、後に自動車産業に進出するきっかけとなったとも言われる画期的な発明。その過程での幾多の困難や、それを乗り越えるための挑戦に改めて思いをはせ、敬意を表するとともに、礎となった佐吉翁の報恩創造の言葉を基本理念とし、もの作りを通じた人作り、人作りを通じて街作りを行ない、誰もが住みたい、住み続けたいと思える街であり続けるよう、職住近接の推進により、市民と一丸となって湖西市を明るく元気な住みよい街となるよう、「障子を開けてみよ、外は広いぞ」の精神でチャレンジしていくことをお誓い申し上げ、顕彰の言葉とさせていただきます。
令和6年10月30日 湖西市長 影山剛士
奨学生代表 竹内春菜さん あいさつ
心地よい秋風が吹き抜ける季節となりました。このよき日に湖西の生んだ世界の発明王「豊田佐吉翁」の顕彰祭が盛大に行なわれるにあたり、奨学生を代表して感謝の気持ちを込めて、お礼の言葉を述べさせていただきます。
私は学生生活最後の年となりました。コロナ禍で大学に入学し、不安定な社会にどこか安心できない気持ちがありました。しかし、この奨学金をいただき始めたおかげで、多くの経験を積むことができました。
私は今年、教員免許を取得するため教育実習生として小学校特別支援学校の教壇に立たせていただきました。何事も全力でやること、楽しむことを根底に置き、熱心なご指導をしてくださった先生方のおかげで気持ちが揺らぐことなく子供たちと向き合えました。このようなご指導をしてしていただいたこと、とても感謝しています。
佐吉翁が残している数々の名言は、前向きで諦めずに挑戦し続けることを応援してくれる言葉が多くあります。妥協の人生ではなく「これがいい」を選択する人生になるように様々な可能性を信じて、自分が今できることを精一杯行なっていきたいと思います。
そして、佐吉翁のように挑戦心と学び続ける気持ちを持ち続け、感謝の気持ちを大切にして過ごしていきたいと思います。
結びに、奨学金制度に温かいご支援、ご尽力をいただいております。豊田章男さまをはじめ、関係者みなさまのご健勝とご多幸をお祈り申し上げましてお礼の言葉とさせていただきます。
令和6年10月30日、奨学生代表 関東学院大学4年 竹内春菜
豊田家代表 豊田章男氏 あいさつ
本日は、私の曽祖父・豊田佐吉の顕彰祭にお招きいただき誠にありがとうございます。本年も、この顕彰祭を執り行なっていただき、影山剛士市長をはじめ、湖西市役所、市民のみなさまに大変感謝しております。
また、鷲津中学校のみなさまには、佐吉の胸像を日々大切にお手入れいただきまして厚く御礼申し上げます。
今年は佐吉のG型自動織機の発明から、ちょうど「100年」になります。
この節目の年に、私はトヨタグループの責任者として「グループビジョン」を策定いたしました。佐吉が礎を築いたトヨタグループの目指すべき方向、絶対にブラしてはいけない軸を、いま一度、グループ全員で確認し合うためです。
「次の道を発明しよう」。
このシンプルな言葉に、私自身の素直な思いを込めました。「次」は「未来」を、「発明」はグループの「原点」を表わしております。誰かを想い、学び、技を磨き、モノをつくり、人を笑顔にする。「発明」への情熱こそ、トヨタグループの「原点」と言えます。
では、「道」とは何でしょうか。
私たちには佐吉が残してくれた「道」があります。ですが、まだこの先に「道」はありません。つくるのは私たちであり、その主役は未来を担う若者たちだと思います。
今年もこの場には、豊田佐吉翁記念奨学金・奨学生、湖西少年少女発明クラブのみなさんにご参加いただいております。みなさん、これからもたくさん挑戦し、たくさん失敗して、自分だけの「道」を見つけてください。他の人と同じである必要はありません。その方が未来はおもしろくなる。私はそう信じております。
そしてもう一つ。
今月1日、地域のみなさまに見守られ、トヨタバッテリーの出発式を行ないました。トヨタの名を冠した新会社がスタートするにあたり、佐吉が電池に託した夢を、ここ湖西に集う私たちで継承していこうと誓い合いました。
このプロジェクトを先頭に立ってリードしてくださったのが影山市長です。モノづくりの町・湖西をさらに活気づけようと、電池工場が建つバッテリーパークとともに、「バッテリーロード」も整備していただきました。この道は、単に電池工場に続く道ではなく、佐吉の思いを未来につなげる道である。私はそう思っております。
影山市長は、「報恩・創造」という思いを大切に、モノづくりを通じた人づくり、人づくりによる町づくりに励んでこられました。父・章一郎が大切にしてきた発明クラブの活動も大変熱心にご支援いただいております。
影山市長は、常に先人の心に思いをはせ、未来のために、人づくりと町づくりに情熱を注いでこられました。「2期8年」という長きにわたり、佐吉の思いをつないでくださった影山市長に、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
最後になりましたが、佐吉の夢の継承者として、未来に続く道を発明する。そのために、トヨタグループ全員が「もっと勉強し、働いて、もっとよいモノをつくる」ことを、佐吉の胸像とみなさまの前でお誓い申し上げ、私のあいさつとさせていただきます。
本日はありがとうございました。
令和6年10月30日 豊田章男