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豊田章一郎氏と章男氏が映像で競演し豊田佐吉邸を紹介、佐吉邸の納屋は「トヨタ初の研究開発センター」

豊田章一郎氏(左)と豊田章男氏(右)が、豊田佐吉記念館を映像で紹介

豊田章一郎氏と豊田章男氏が、豊田佐吉記念館を映像で紹介

 第61回豊田佐吉翁顕彰祭が静岡県湖西市で開催された10月30日、豊田家代表として顕彰祭に出席した豊田章男氏は、同じ湖西市にある豊田佐吉の生家「豊田佐吉記念館」へ向かった。

 豊田佐吉記念館は、無停止杼換式豊田自動織機を発明した豊田佐吉翁の生誕120年を記念して1988年10月にオープンしたもの。記念館とはいえ、実際の民家が色濃く残っており、当時の雰囲気を感じられる場所になっている。

豊田佐吉記念館の納屋を「トヨタ初の研究開発センター」と紹介する豊田章男氏

 豊田章男氏は、記念館に集った近所の人たちに顕彰祭の様子を伝えたほか、2023年2月に父でありトヨタ自動車 名誉会長である豊田章一郎氏が亡くなり、1年が過ぎたことから佐吉邸の表札が章一郎氏から自身に代替わりしたことも報告。「火元責任者だなと思っております」と、普段から佐吉邸の面倒を見ていただいている近所の人にお礼を述べるとともにあいさつを行なった。

 そのあいさつの中で明かされたのが、豊田佐吉記念館の映像を新たに作ったこと。この映像は、佐吉記念館ができたときに豊田章男氏が「名誉会長に、ここの案内ビデオを作ってください」とお願いして作った案内映像と、豊田章男氏が案内する映像を組み合わせたものだという。

 現在のデジタル技術によって豊田章一郎氏と豊田章男氏が競演しており、豊田佐吉邸の見どころを紹介。とくに章男氏は、お勧めの場所として佐吉邸の納屋、それも2階の屋根裏部屋を「トヨタ初の研究開発センター」として挙げる。

「機織り機を夜なべ仕事で動かしていた母をもっと楽にしてあげたい。佐吉少年が家族に隠れながら研究に没頭したのがこの屋根裏だったということです。この場所がなければ今のトヨタはない。そう言っても過言ではない、我々にとってもとても大切な場所なんです」と、豊田章男氏は語り、人のために働くことの大切さ、発明することの大切さを映像からうったえかける。

展示されている織機

 現在、豊田章男氏はトヨタグループ責任者として「次の道を発明しよう」というグループビジョンを掲げ、トヨタグループが進むべき道を示している。その原点の一つに「誰かのために」という豊田佐吉翁の発明魂があるのは間違いなく、豊田章男氏が「トヨタ初の研究開発センター」とも「トヨタ初のR&Dセンター」とも語る佐吉邸の納屋の存在も大きいと思われる。

 豊田章男氏は、顕彰祭の囲み取材において10月1日に新会社としてスタートしたトヨタバッテリーや豊田佐吉翁が構想した「佐吉電池」も紹介。豊田佐吉翁は構想した佐吉電池は、「飛行機に載せて、太平洋をひとっとび」という性能を持つもので、当時のお金で100万円の懸賞金を設定。トヨタが電池や空への思いを、ルーツとして持っていることを語っていた。

 豊田章男氏は、豊田佐吉翁記念奨学基金・奨学生へ向けては「自分だけの『道』を見つけてください」とあいさつし、トヨタグループへ向けては「次の道を発明しよう」とビジョンを再度語った。10月30日は、常に未来を見て進んでいた佐吉翁の心とともにあったのだろう。