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トヨタ、次世代カローラやヤリスは1つのマルチパスウェイプラットフォームに 中国での経験を折り込み「量を束ねて原価競争力を引き上げ」
2026年11月7日 18:48
A-Cセグメントを一本化する新たなマルチパスウェイプラットフォーム
トヨタ自動車は11月5日、2027年3月期 第2四半期決算(2026年4月~9月、6か月累計)を発表した。この決算会見において同社代表取締役副社長 宮崎洋一氏はトヨタの将来ビジョンを説明。トヨタが進めている事業構造改革の進捗について語った。
トヨタ自動車は2018年1月開催のCES2018において、豊田章男社長(当時)がクルマ会社からモビリティカンパニーへのモデルチェンジを宣言。コネクティッドサービスの拡充、ウーブンシティの発表など数々の事業分野の変革を図ってきた。
今回の宮崎副社長の説明においては、モビリティカンパニーへの変革の全体像が示されたほか、具体的なクルマのイノベーションが明らかにされた。
トヨタはモビリティカンパニーのモデルチェンジにおいて、「商品軸・地域軸経営」をぶらさず、新車事業、バリューチェーン事業の成長を加速させていくという。そこにクルマ作りで培ってきた強みを活かして新たな「ロボティクス事業」といった事業領域へ進出していく。
この新車事業において、各地域における戦い方を紹介。今後大きな成長の予測されるアジア・グローバルサウス地域においては、新たな「Innovative Multi-pathway Vehicle」を投入。このクルマには主要なAセグメント、Bセグメント、Cセグメントを1つのプラットフォームでカバーするマルチパスウェイプラットフォームが新たに用いられる。
トヨタのBセグメントの代表的な車種は「ヤリス」や「ヤリスクロス」、そしてCセグメントは「カローラ」「カローラクロス」「プリウス」などとなる。つまり、現在は分かれている「ヤリス」や「カローラ」を一つのプラットフォームでカバーする意欲的な戦略になる。
このプラットフォームは、バッテリEV、PHEV、ハイブリッド車、ICE(Internal Combustion Engine、内燃機関)、CN燃料(カーボンニュートラル燃料、水素も含むと思われる)車を1つの車台で実現。多くの数を1つのプラットフォームで作ることにより、圧倒的な原価競争力を実現していく。
アジアセグメントのクルマの構成はA-Cセグが6割であり、そのうちバッテリEVは23%。異なるパッケージサイズのクルマを1つのプラットフォームで量産体制にもっていく。
価格競争力はどこまで実現できるか?
これは理屈上は正しい戦略だが、本当にそのようなクルマを生産できるのかは別な話になる。カローラとヤリスを1つのプラットフォームで生産しようとすると、衝突基準なども含めてどうしてもカローラクラスのクルマに合わせた開発になっていく。すると、カローラやプリウスにとってよいことだが、ヤリスクラスにとっては過剰品質となり、結果的にコスト競争力が落ちて商品力が低下。トヨタにとっては売れない商品となるか、または売るために原価以上の値引きが必要となり収益を圧迫していくことになる。
この点について宮崎副社長に確認すると、「一番の課題はご指摘のとおり、価格競争力をどこまで実現できるかだと思っております。その意味もあり、まずは『量を束ねる』ことでその効果を取れるところを目指したい。加えて中国でいろいろな学びを我々は経験させていただいているので、その経験をしっかりとここに織り込んでいくことでなんとかできないか。チャレンジをまずしよう、これが今日みなさんにお伝えしたことでございます」と語る。
宮崎副社長は、中国地域のところで中国で開発したクルマを中国で販売する「withチャイナ、forチャイナ」という戦略を示しており、この中国での学びを活かしてアジアやグローバルサウスに展開していく。
「モデルを投入した後も着実に原価改善を進めていける、そういう体質を取り戻したい」
宮崎副社長は、「最初は収益的にはきついかもしれない。そんな思いもあるんですけれども、まずはやらないと。この我々、一緒になって育ってきた、育ててきたアジア・グローバルサウスの市場を守り切れなくなるかもしれないので、そこはまずチャレンジしたいと思ってます。その上で、絶対値の原価低減にもう1回こだわりたいと申し上げたのは、導入初期においては、ある目標のために一旦はそこでスタートかもしれませんけども、モデルを投入した後も着実に原価改善を進めていける、そういう体質を取り戻したい」「それであれば我々の実力を考えたら、まずはスピードだよねという判断もできると思っております。そこはチャレンジをしたい領域だと思っています。そのためにも仕入れ先のみなさま、いろいろな面で多くのステークホルダーのみなさまのインプットをもらいながら、しっかりとこのクルマ(A-Cセグメント共通のマルチパスウェイプラットフォーム車)を立ち上げていく準備をしていくことに当面まい進したいと思っています」と、原価改善戦略を語る。
これは、現在の半導体製造に近い考え方で、当初は難しい状況にある生産原価を歩留まりの改善で利益確保にもっていくということだろう。半導体ではイールド(歩留まり)改善で爆発的に(2次曲線的に)利益が出るようになるが、クルマの場合は売上とともに原価はリニアに上がっていくものであるため、利益も半導体のようには伸びない(もちろん、トヨタは売上高も大きいため2027年3月期 第2四半期決算の通期決算見通しでは3兆900億円という大きな営業利益を発表している)。
宮崎副社長の発言からは、その原価改善に何らかの考えがすでにあるようで、A-Cセグメントを1つのプラットフォームで作りつつ、原価を下げていく道筋が見えている感じを受けた。そのためにも重視しているのがスピードで、厳しい利益状況の中でも市場に投入することで市場に学び、それを反映してクルマをよくしていけるというトヨタならではの「カイゼン」文化にあるのは間違いない。
その秘策は何なのかは明かされなかったが、トヨタはアジア・グローバルサウスにおいて、フレーム車はIMV(Innovative International Multi-purpose Vehicle)、モノコック車はA-Cセグメント共通のマルチパスウェイプラットフォーム(なぜか概念の英語名はこちらもIMV[Innovative Multi-pathway Vehicle])といった戦略で挑んでいく。
A-Cセグメント共通のマルチパスウェイプラットフォームの生産工場については語られなかったが、「量を束ねる」(宮崎副社長)という発言からは量を実現するために生産を集約する工場が設定されるように予測できる。その工場が地域的にどこになるのかは説明されなかったが、プレゼンテーションでは中国から学びを得て、東南アジアで展開、それをグローバルサウスへという概念図が示されていた。






