日産、新型「フーガ」発表会を横浜新社屋で開催
「世界最高峰の装備が織りなす調和を楽しんでもらいたい」と大沢CPS

新型フーガと日産自動車 志賀俊之COO(最高執行責任者)

2009年11月19日開催



志賀俊之COO

 日産自動車は11月19日、神奈川県横浜市の「グローバル本社ギャラリー」で、新型フーガの発表会を開催した。今年の8月に銀座から本社を移転して以来、初めて発表する新車となる。

 新型フーガは、改めてセダンの本質的な魅力を見つめ直し、同社の“フラッグシップモデル”と呼ぶに相応しいクルマとして開発が行われてきた。

 まず初めに、志賀俊之COO(最高執行責任者)が挨拶を行い、「新型フーガは、初代フーガの優れた走行性能をさらに進化させ、意のままに走れる爽快な走りを筆頭に、安全性、快適性、環境性能などが飛躍的に向上した」と述べた。3.7リッターエンジン搭載車は爽快な走りを実現し、2.5リッターエンジン搭載車は軽快で気持ちのよい加速性とともに、このクラスで初となるエコカー減税にも適合させたと話す。

 さらなる実用燃費の向上のために、足元からドライバーにペダル反力で知らせるECOペダルや、車両自体が燃費向上の制御を行うECOモードを設定し、さまざまな技術を搭載していると、環境性能も重視したことを述べた。

 また、「ぶつからない車を目指し、さまざまな安全技術を搭載した」と言い、新たに設定されたセーフティシールドパッケージでは、新開発のナビ協調機能付きインテリジェントペダルをはじめとして、追突事故、車線逸脱事故、歩行者との事故に対してバリアとなる技術を装備する。

 フーガは栃木工場で生産を担っており、「栃木工場はGT-Rの製作で培った匠の力が生きている。GT-R生産の経験を活かし、高級車を購入されるユーザーが満足感を得られるよう、高い品質の製品を提供していきたい。我々は、新型フーガで高い運動能力を持ちながら、美しく快適で、さらにさまざまな安全技術をあわせ持つ、これまでにない新しい高級車として提案をしていきたい」とし、「東京モーターショーで出展した新型フーガのハイブリッドモデルも、来年の10月に発表したい」と述べた。

商品企画本部 チーフプロダクトスペシャリスト(CPS)大沢辰夫氏

 次に、同社の商品企画本部 チーフプロダクトスペシャリスト(CPS)大沢辰夫氏より、具体的な商品説明が行われた。

 新型フーガのポイントは大きく分けて3つで、「目を心を惹きつける躍動感に満ちたデザイン」、「広く、華やかに、心地よく仕立てられたインテリア」、「安心と快適に支えられた一体感のある走り」とした。

 デザイン面で改善したかったのはプロポーションだと言う。FRらしいプロポーションにするため、ロングノーズ・ショートデッキを採用。ロングノーズでは、フードの長さを強調するために、Aピラーを50mm後方に引いた。これによりキャビンの寸法を守りながら視覚的にフードの長さを見せ、キャビンが後方に付いているような効果があると言う。そして安定感を出すために、全幅を片側で20mmずつ拡大した。

 デザインキーワードは「勢」「艶」。勢とは、自然の持つ躍動感を表現するもので、ボディーサイドのキャラクターラインはフロント先端から始まってリアタイヤで落ち、そこからまたはね上がるという、ダイナミックなもの。艶は、ボディーサイドを膨らますことで光を受ける面と影の面を組み合わせることで、表情を豊かにしたことをあらわす。

デザインの改善ではFRらしいプロポーションにすること、安定感のある姿勢の2つがポイント。ビデオでデザインの紹介を行ったのはプロダクトチーフデザイナーの青木護氏Aピラーは50mm後退全幅は片側20mmずつ拡大

 インテリアで重視したのは、華やかな印象を作り出すこと。圧倒的な木目量を使いながら、形状も特徴的なものとし、さらにシルバーの加飾を加えることでモダンさと高級感を演出した。

 高級車としてのドライバビリティを向上するために、メーター径を拡大するとともに、メーターをドライバー側に傾けることで、視認性を高めた。また、スイッチ類もドライバーに近い場所に設置することで、操作性も向上したと言う。

 メーカーオプションのプレミアムインテリアパッケージでは、職人が手で銀粉を擦りつける銀粉本木目を採用した。これは世界的に例がないもので、日本の伝統工芸の蒔絵からヒントを得たのだと言う。また、シートにはセミアニリン本革を採用し、膝元のパッドやセンターアームレスト、ドアアームレストには赤ちゃんの肌に近い、肌触りのよいソフィレス素材を使用する。

プレミアムインテリアパッケージでは銀粉本木目やセミアニリン本革シート、センターアームレスト、ドアアームレストなどにソフィレス素材を採用

 フーガは車に乗ることによって、乗員の気持ちをリフレッシュさせる効果を狙い、空気と音にこだわった。汚れた空気が車内に入らないように内気/外気の自動切り替え機能を装備するとともに、強力なプラズマクラスターイオンで除菌と消臭を行う。また、森の成分を供給するアロマディフューザーは、2種類の香りを交互に出すことで、リラックス効果が期待できると言う。木々の間を抜ける、自然な風を送り出すフォレストエアコンは、鹿児島県屋久島の空気をイメージする。オーディオではBoseサラウンド・サウンドシステムを搭載し、16のスピーカーを装備して快適な音を提供する。これらの装備は、ドライバーが持つキーのIDを車体側が認識(2名の登録が可能)し、好みに合わせて調整が可能で、自動的に切り替えることができる。

 最後に大沢氏は、「フーガとは、セバスチャン・バッハにより確立された音楽の形式で、旋律を複数積み上げていくもの。いくつかの旋律が織りなす調和というものが、新型フーガのさまざまな装備からの調和というものを思わせる。この装備は、世界から見ても最高峰のものができたと思っている。皆様も、この装備からの調和をぜひ楽しんでいただきたい」と述べ、説明を終えた。

アロマディフューザーやオーディオの設定を使用者ごとに変更できるパーソナルドライビングポジションメモリーシステムエンジンは、V型6気筒 DOHC 3.7リッターのVQ37VHR型エンジンに、7速ATを組み合わせ、最高出力245kW(333PS)/7000rpm、最大トルク363Nm(37.0kgm)/5200rpmを発生。高出力とレスポンスを両立し、さらに燃費性も上がった。また、V型6気筒 DOHC 2.5リッターのVQ25HR型エンジンも7速ATを組み合わせ、軽快な走りを実現しながらも、エコカー減税に適合する全車にアクティブノイズコントロールを採用。これは騒音に対して逆相の音波をスピーカーから出し、外部から侵入する音を打ち消すというもの。これにより高回転時でも雑音が消えると言う
速度域によって前後輪のタイヤの切れ角を最適に制御する4WAS(4輪アクティブステア)を装備スポーツチューンドサスペンションとコンフォートサスペンション装着車に採用する、2つのピストンが減衰力をコントロールするダブルピストンショックアブソーバー。揺れや振動を抑え、快適な乗り心地を実現していると言うCd値は0.26でフロント・リアともにゼロリフトとし、高速安定性を高めている
ドライブモードセレクターは通常モードに加えてスポーツモード、ECOモード、SNOWモードを備え、エンジン、トランスミッション、4輪アクティブステアリングの特性を変化させるアクセルペダルの反力と、ECOドライブインジケーターの色・点滅によって車両側からドライバーにエコドライブをサポートするECOペダルを装備カーナビゲーション協調機能付インテリジェントペダル(ディスタンスコントロールアシスト)は、頻繁に加減速を行う状況で、車間を維持する操作をアシストすることで、ドライバーの負担を軽減してくれるもの。カーナビから前方のカーブなどの情報を取得し、オーバースピードの場合は滑らかに減速を行ってくれる
LDP(レーンデパーチャープリベンション)は約70km/h以上で走行中に、ドライバーが意図しないにもかかわらず車線を逸脱しそうになった際、注意をするとともに各ブレーキをコントロールして車線内に戻す操作を促すものVDC(ビークルダイナミクスコントロール)は、横滑り防止機能や左右制動力配分機能、横滑り防止機能に加え、セーフティシールドパッケージ装着車は走行状況に応じて4輪それぞれのブレーキやエンジントルクを制御する、コーナリングスタビリティーアシスト機能により車体をコントロールする
日産グローバルギャラリーでは、11月19日~12月16日の期間に新型フーガの全7色を見ることができる

 なお、11月19日~12月16日の期間、日産グローバルギャラリーで「新型フーガ」誕生イベントが行われる。ボディーカラー全7色(特別塗装色のディープブロンズ、ガーネットブラック、クリスタルホワイトパールのほか、ブレードシルバー、グレイッシュブルー、ブリリアントシルバー、スーパーブラック)の展示や、フーガに搭載されるさまざまな先進技術の紹介が行われる。

 また、日産銀座ギャラリーでもディープブロンズ、ガーネットブラックの2台が同期間に展示される。

(編集部:小林 隆)
2009年 11月 19日