ナビタイムジャパン、通信機能対応カーナビ「CAR NAVITIME」 リアルタイム通信可能なPNDをWNDと定義。「新マーケットの創出を目指す」と大西社長 |
ナビタイムジャパンは5月24日、リアルタイムに最新情報を取得可能なカーナビ「CAR NAVITIME(カーナビタイム)」(形式:WND-01K)を7月下旬以降に発売すると発表し、都内ホテルにおいて発表会も開催した。価格はオープンプライスで、直販価格は4万3800円。ナビタイムジャパンのWebサイトやauのオンラインショップ「au Online Shop」からのオンライン販売を行うほか、全国のau携帯電話取扱店での取り次ぎ販売も行われる。
CAR NAVITIMEは、5V型(480×272ピクセル)のタッチパネル式モニターを持ついわゆるPND(Portable Navigation Device)タイプのカーナビだが、auの通信モジュールを内蔵しており、auの通信網を利用して最新の地図情報や、店舗などのスポット情報、オンデマンドVICSによる交通情報を取得できる機能を持つ。通信料は月額525円で、これはauとの契約が必要になる。
本体サイズは、149×28.5×92.5mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約300g。DC12V~24Vのシガーソケットに対応し、ACアダプターでの駆動も可能で、バッテリーも内蔵している。
CAR NAVITIME WND-01K | ||
左側面には電源スイッチと、SDHCカードスロットを備える | 右側面にはUSBポートと、ヘッドホン端子、電源入力端子(DC5V)を備える。DC12V~24Vアダプターと、ACアダプターは本体に付属する | CAR NAVITIMEの取り付け台。PNDでは一般的となった、吸盤式 |
ナビタイムジャパン 代表取締役社長 大西啓介氏 |
■CAR NAVITIMEはWND
ナビタイムジャパンは、これまでWebサイトや携帯電話において地図サービスやナビゲーションサービスを提供している。ナビゲーションデバイスであるCAR NAVITIMEは、それらと同等以上のサービスを自動車の運転者に提供するものになる。ナビタイムジャパンの大西啓介 代表取締役社長は「携帯電話向けにサービスを提供していたが、道交法上携帯電話は運転者が運転中は使用できない。しかし、このCAR NAVITIMEであればカーナビとして運転者が操作できる」と言い、ナビタイムジャパンの持つさまざまな地図・ナビゲーションサービスを提供する端末として位置づけている。
メモリー量は明らかにされていないが、CAR NAVITIME内部に地図データを持ち、通信の圏外でも通常のPNDとして利用可能な上、通信圏内であれば地図データ更新、駐車場の満空情報、ガソリン価格情報、飲食店の口コミ評価などがリアルタイムに取得でき、自車位置周辺の情報が表示される。
大西社長は、ユーザーがカーナビに求めるものは「いつも最新の地図が使えること、地図交換が安価であること」とし、地図のアップデートは本体代金+通信料金以外は不要で、常に最新の地図が表示されると言う。地図のアップデートは自車位置周辺は自動で行われ、元データとなるサーバー側は年3回を予定している。
CAR NAVITIMEが単なるPNDではなく、これらさまざまな通信機能を備えることから「CAR NAVITIMEはWND(Wireless Navigation Device)」(大西社長)と位置づけ、新たなマーケットの創出をすると言う。PND市場が年間86万台市場(カーナビ全体では457万8000台)であることに対し、すでに「ナビタイム」や「EZナビウォーク」「EZ助手席ナビ」の有料会員数は約400万人以上、そのうち1/3(約140万人)がドライブ用ナビゲーションサービスを利用しており、「PNDマーケットよりも大きなマーケットがすでにある」とCAR NAVITIMEのWND市場創出に自信を見せた。
また、大西社長はナビタイムジャパンがハードウェア機器メーカーではないため、CAR NAVITIMEの上位機種や下位機種は考えておらず、新たな機能提供はソフトウェアのバージョンアップなどで対応。ただし、バイク用のCAR NAVITIMEや自転車用のCAR NAVITIMEなどは検討していると言い、レンタカーなど法人需要も考えていると語った。
実際CAR NAVITIMEでは、通信機能を活かしてカーナビとして柔軟な対応が可能になっている。基本的な地図の更新機能は前述のとおりだが、これまでほぼすべてのカーナビで対応ができていなかった上限1000円のETCの休日特別割引料金の表示もできるほか、「ぐるなび」や「ホットペッパー」からの口コミ情報や店舗の携帯電話用クーポンの取得、携帯電話などのナビタイムユーザーの人気スポットランキング情報も取得できる。パソコンであらかじめルート検索を行い、CAR NAVITIMEへ転送といったこともでき、同価格帯のPND以上のナビゲーションサービスが提供されている。
ただ、メディア機能としてはワンセグ受信のみとなっており、音楽再生機能などは搭載されていないため、ナビゲーションに特化した製品になっている。
「Link→au」について発表を行う、KDDI取締役執行役員常務 グループ戦略統括本部長 髙橋誠氏 |
■通信サービスはauの「Link→au」
このCAR NAVITIMEの通信サービスは、KDDI、沖縄セルラーのauの通信網を利用する。auはCAR NAVITIMEなど、通信機能付きデバイスのため「Link→au」というビジネスアライアンスモデルを発表。CAR NAVITIMEは、その第一弾と位置づけられ、商品特性に応じた最適な通信プランとして「WNDプラン」を提供する。
このWNDプランは、定額料金プランで通信は使い放題。2年間の継続契約である「誰でも割シングル(特定機器)」加入時であれば、月額525円で利用できる。2年以内の解約・廃止は9975円の契約解除料が必要だが、2年以降であればいつでも解約・廃止は可能となっており、いつでも解約可能な月額定額プラン(1050円/月)も用意される。
インターネット通販のみの販売となるCAR NAVITIMEのために、auは通信契約をCAR NAVITIME購入後に申し込める「Link→au お申込サイト」を設け、CAR NAVITIME購入者に対応。au販売網を活かして、CAR NAVITIMEの取り次ぎ販売も行っていく。
Link→auは、通信機能付きデバイスを想定 | Link→auのビジネスモデル | Link→auの第一弾は「WNDプラン」 |
端末購入後に通信契約が行えるようになっている |
CAR NAVITIMEの発売は7月下旬以降となっているが、東京 原宿にある「KDDIデザイニングスタジオ」での実機展示を5月25日から行うほか、6月9日~11日まで千葉県の幕張メッセで開催される「Interop 2010」のナビタイムジャパンブースで一般公開が行われる。
(編集部:谷川 潔)
2010年 5月 24日