首都高、2010年3月期決算説明会
中央環状線山手トンネルの開通などにより18億円の純益

決算説明会は首都高本社で開催された

2010年6月10日開催



 首都高速道路は6月10日、2010年3月期の決算説明会を行った。同期は中央環状線山手トンネル(3号渋谷線~4号新宿線間)が完成し、高速道路機構へ引き渡されたことなどによる利益が計上され、連結決算では18億円の純利益なった。あわせて新交通官制システム「AISS '09」の運用開始や、PA(パーキングエリア)施設のリニューアルなどが報告された。

決算発表を行う常務取締役 大沼広氏財務部長 中山尚信氏経営企画部長 大藤朗氏

 高速道路事業については、利用交通量は約112万台/日と、前期比0.4%増加したが、料金収入は前期比52億円減の2417億円と大きく減少した。料金割引などによって交通量は増加したが、ETC利用者の増加による料金割引や、景気低迷による大型車の通行減が影響し、結果として料金収入が減少したと言う。

 また、営業収益は完成した中央環状線山手トンネルが高速道路機構へ道路資産として2500億円で引き渡されたが、道路資産賃貸料として1791億円の支払いが発生するなど、トータルでは41億円の営業収益となった。

 関連事業では、高架下駐車場の新規開設やPA施設のリニューアルなどを行ったが、受託業務が大幅に減少したことにより、関連事業の営業利益は前期と同じ9億円となった。

 中央環状線山手トンネル開通(2010年3月28日)後の交通状況についても報告が行われた。交通量は約4万台/日。朝のピーク(11時台)の渋滞は東京線全体で約2割減少し、用賀から川口の所要時間では約16分短縮。ただし中央環状線(4号新宿線~5号池袋線間)の交通量が3.5万台から6.6万台に増えたことにより熊野町JCT(ジャンクション)付近での渋滞や、大橋JCT付近の3号渋谷線下り方面の渋滞が増加したと言う。

 「AISS '09」は道路脇の電光掲示板などで交通情報などを提供するシステムだが、車線ごとの障害が収集できるなど、従来よりもより詳細で正確な情報提供が可能になったと言い、渋滞状況は増減の傾向まで表示されるように変更したと語った。

 最後に来期(2011年3月期)の連結業績見通しについても報告された。今年10月に神奈川6号川崎線(殿町~大師JCT)が開通するが(具体的な開通日は夏ごろに決定)、これによる道路資産引き渡し高や料金収入増加などにより、営業利益12億円、純利益3億円を見込んでいるとのこと。

 また、2010年4月9日に国土交通省から首都高の料金圏(東京圏、神奈川圏、埼玉圏)撤廃や、時間帯・曜日を区別しない上限料金制(距離別料金)などが提案されたが、首都高速道路はそれを踏まえ、関連省庁とともに検討を進めている段階だと言う。

(西尾 淳(WINDY Co.))
2010年 6月 11日