ホンダ、社会活動・安全運転普及活動説明会
交通安全教育「あやとりぃひよこ編」も公開

Honda ウエルカムプラザ青山で開催された交通安全教育「あやとりぃひよこ編」

2011年8月2日開催



 本田技研工業は8月2日、同社が取り組んでいる社会活動・安全運転普及活動に関する説明会を報道陣向けに本社で開催した。また、あわせて幼児向け交通安全教育「あやとりぃひよこ編」を本社ショールーム「Honda ウエルカムプラザ青山」で開催した。

本田技研工業 管理本部社会活動推進室 室長 出羽仁氏

社会活動
 社会活動に関しては、管理本部社会活動推進室 室長 出羽仁氏から解説が行われた。出羽氏は社会活動の歩みを述べた後、創業者である本田宗一郎氏の言葉を紹介。創業25周年時の社員向け挨拶で語った「社会貢献をする社員がおればおるほど我々の会社は永遠に続くものだと思う」という言葉を含む、創業者の思いが社会活動の根底にあると言う。

 現在同社では、1998年に定めた「Honda社会活動理念」、2006年に定めた「Honda社会活動グローバル方針」に基づき、次世代育成のための「子どもアイディアコンテスト」「環境わごん」「ドリームハンズ」などの国内活動のほか、アメリカや中国、タイでも子供向けに教育活動を行っている。

ホンダ社会活動のあゆみ創業者の思い社会活動の目指すもの
社会活動のロゴ。4人の人がスクラムを組む様子を表している「子どもアイディアコンテスト」環境に配慮し、各種のもの作りを行う「環境わごん」
ドリームハンズは、段ボールでのおもちゃ作り。すでに被災地などでも開催していると言う海外での育成活動

 また、環境保全活動として、海岸のゴミを拾う「Hondaビーチクリーン活動」、水源である森の保全活動(国内や海外)、国内事業所のある地域に根ざしたクリーン活動やものづくり活動を行っている。

 2010年の活動実績としては、Hondaビーチクリーン活動を31個所、環境わごんを265回、ドリームハンズを計180回開催。水源の森保全活動も6事業所で計12回開催した。

 東日本大震災に対する復旧・復興支援活動も同部署が担当しており、義援金の拠出や、同社の発電機1000台の提供などのほか、会社として被災地ボランティア参加への積極的な取り組みも行っている。

すでに全国100個所以上の砂浜で行っているビーチクリーン活動ビーチクリーン活動にはホンダのATV(海外で販売している車両)と、特別に制作したゴミ取り用のアタッチメントを使用ゴミ取り用のアタッチメント。手前の熊手状のもので砂をかき、後部にゴミがたまる
水源の森保全活動海外でも環境保全活動を実施青山本社をはじめ、各事業所で地域に根付いた環境活動を行っている
2010年度の活動実績8月、9月の活動予定東日本大震災に関する復旧・復興支援活動

安全運転普及本部推進BL 主任 田山郁夫氏

安全運転普及活動
 安全運転普及活動については、安全運転普及本部推進BL 主任 田山郁夫氏が解説。安全はホンダの理念である人間尊重の考え方からスタートしており、創業者である本田宗一郎氏の「安全なくして生産なし」という考えを具現化したもの。田山氏によると、ホンダの社員は入社時に「安全なくして生産なし」という言葉をたたきこまれると言う。

 ホンダはハードであるクルマを作る企業だが、交通事故に関する3要素として「クルマ」「環境」「人」の3要素があり、それぞれの関与割合が0.2%、5.2%、94.6%と、人の関与割合が高い。そのため、人の意識や行動を変化させていくことが大切であるとし、人と人とのふれあいの中で学ぶ「手渡しの安全活動」、危険を安全に体験する「参加体験型実践教育」を目指している。

ホンダの基本理念創業者の「安全なくして生産なし」という考えを具現化ハードとソフトにより、より豊かなモビリティ社会の実現を目指す
交通事故に関する3要素人の割合が94.6%を占めると言う活動の原則
世代ごとに安全運転普及活動を実施交通事故死者数がピークの1970年に安全運転普及本部を設立普及活動実績

 具体的には、幼児・子供向け、中・高・大学生向け、運転者向け、高齢者向けに安全運転普及活動を行い、各種安全運転教育冊子の配布、安全運転教育に用いるシミュレーターの開発・提供などを行っている。この説明会にあわせて、幼児向け交通安全教育「あやとりぃひよこ編」が本社ショールーム「Honda ウエルカムプラザ青山」で開催された。

全国7個所に交通教育センターを設置4輪や2輪、自転車などのシミュレーターを開発海外でも安全運転普及活動を実施

あやとりぃひよこ編
 あやとりぃは、「あんぜんを」「やさしく」「ときあかし」「りかいしていただく」子供向けの教育プログラムで、「ひよこ編」はそのエントリープログラムになる。

 救急車やパトカーの音をクイズ形式で理解する、基本的な横断歩道の渡り方(信号機の判断)を理解するなどからなり、子供に興味を持って交通安全を知ってもらうものとなっていた。ウエルカムプラザ青山で開催されたものは、通常行っているものの簡易版となっていたが、それでも子供が元気よくクイズに答えている姿が印象的だった。

あやとりぃひよこ編のオープニングはASIMOの挨拶から救急車やパトカーのサイレンを聞いて、その車両がどこにいるかを当てるクイズ
信号の色とその際の行動を学ぶ座学の後は実践。特設信号機を用いて、横断歩道の渡り方を学習する

 また、小学生~中学生向けの「Honda 自転車シミュレーター」も展示。この自転車シミュレーターは、前方に32型のメインモニターを、メインモニターの左右に左右確認用のサブモニターを搭載し、後方の状況を確認するための8型リアビューモニターを搭載。担当者によると基本的なプログラム方針として、「一時停止すれば大丈夫」「信号を守れば大丈夫」という方針ではなく、「左右確認」と「後方確認」が大切なように作ってあり、信号無視をしたクルマが飛び出したり、人がいきなり飛び出したりする状況が発生する。これらとの事故を防ぐためには、左右確認用のサブモニターやリアビューモニターを確認することが大切で、積極的な安全運転を身に着けるものとなっている。

 シミュレーターで走行後はリプレイ映像を表示でき、リプレイ視点もある程度自由に変更できることから、事故が起きた際はどこに問題があったのかの検討に役立ちそうだ。

Honda 自転車シミュレーターメインモニターは32型の液晶パネル自転車後部には8型のモニターを設置。後方からの接近車両などを確認する
ハンドル部にある、メニュー選択用のスイッチ。赤い砲弾タイプの機器はライトペダルをこぐと、後輪の手前にある回転軸に力が伝わるブレーキを引くと、画面中央部のインジケーターが操作力に応じて変化する。右がフロント、左がリアブレーキ
自転車を押して歩く際のセンサーも用意。交差点などの押し歩きをシミュレートする際に用いるリプレイ画面。シミュレート時には一人称視点で、リプレイ時には三人称視点の映像が映し出されるメインモニター下に配置されていたシミュレーターの心臓部。Windows Vistaパソコンが置かれていた

 かつては、運転者への教育が主だった安全運転普及活動も、現在は子供向け、小・中・大学生向け、高齢者向けなどと幅が広がっている。ただ、その底辺に流れる安全への理念は昔から変わらず、人間尊重という理念のもと、人と人との触れ合いの中で安全運転普及活動を行っていくものとした。

 なお、ホンダはWebサイトでこれらの取り組みに関する情報発信を行っており、社会活動(http://www.honda.co.jp/philanthropy/)、安全運転普及活動(http://www.honda.co.jp/safetyinfo/)で、これまでの取り組みや、今後の活動スケジュールなどを知ることができる。

(編集部:谷川 潔)
2011年 8月 2日