フェラーリ、13番目のオープントップモデル「458 スパイダー」を日本初披露 イタリア、ドイツと同時発売。3060万円 |
フェラーリS.p.A プロダクト・マーケティング・マネージャーのミケーレ・コメッリ氏(左)とフェラーリ・ジャパン 代表取締役 ジェネラル・マネージャーのハーバート・アプルロス氏(右)、458 スパイダー |
2011年10月12日開催
3060万円
発表会会場となった東京都港区にある三緑山広度院増上寺 |
フェラーリ・ジャパンは10月12日、フランクフルト・モーターショーでワールドプレミアしたオープンモデル「458 スパイダー」を、都内で開いた発表会で公開した。すでに日本での発売は開始しており、価格は3060万円。
本国イタリアおよびドイツと並ぶ同時発売で、中国やアメリカ、イギリスよりも先行導入される。その理由は同社が日本市場を重視しているためであり、その甲斐があってか年内納車分はすでに完売、現時点で10~12カ月の納車待ちの状態と言う。
458 スパイダーは「212 INTER」「342 AMERICA」といった歴史あるモデルや、近年の「550 バルケッタ」「F430 スパイダー」「カリフォルニア」「SA アペルタ」などに続く13番目のオープントップモデル。従来のソフトトップよりも約25kg軽いアルミニウム製フル・リトラクタブル・ハードトップを採用した。
クーペモデルの「458 イタリア」と同様に、90度V型8気筒4499cc自然吸気エンジンをリアミッドシップに搭載。これに7速デュアル・クラッチトランスミッションを組み合わせ、最高速320km/h、0-100km/h加速3.4秒未満のスペックを誇る。
458 スパイダー諸元 | |
全長×全幅×全高 | 4527×1937×1211mm |
ホイールベース | 2650mm |
重量 | 1430kg |
エンジン | 90度V型8気筒4499cc |
最高出力 | 570CV/9000rpm |
最大トルク | 540Nm/6000rpm |
トランスミッション | 7速デュアル・クラッチ |
最高速度 | 320km/h |
0-100km/h加速 | 3.4秒未満 |
0-200km/h加速 | 10.8秒 |
燃料消費(ECE+EUDC | 11.8L/100km |
乗車定員 | 2名 |
タイヤ(前/後) | 235/35 ZR20 / 295/35 ZR20 |
フェラーリS.p.A プロダクト・マーケティング・マネージャー ミケーレ・コメッリ氏 |
■2分割のリトラクタブル・ハードトップを採用
458 スパイダーの詳細については、フェラーリS.p.A プロダクト・マーケティング・マネージャーのミケーレ・コメッリ氏が説明を行った。
コメッリ氏は458 スパイダーのリトラクタブル・ハードトップの採用にあたっての必要条件について、「重量の増加を抑えること、最大限のスペースを確保すること、デザインを損なわず機能を統合すること」の3点が不可欠と言う。
458 スパイダーに採用するリトラクタブル・ハードトップのメカニズムは、シンプルで軽量が特徴だった「575 スーパーアメリカ」のそれを由来とするが、曲線リアスクリーンは補強が難しいこと、ルーフを下げた状態ではデザイン性を損なう大きな張り出し(ロール・バーなど)が残ることが課題だった。
そこで、複雑な問題をシンプルに解決するべく、575 スーパーアメリカのロールバー機能を備えたBピラー構造は踏襲しながら、新たにシンプルな2分割ルーフとともに、風洞実験によりポジションを最適化した電動ウインド・ストッパーを採用した。
これにより、ルーフ重量は従来のソフトトップよりも25kg削減。ルーフ開閉時間は14秒とした。さらに、「従来では200~300Lのルーフ収納スペースが必要だったところ、458 スパイダーは100Lで収納できる」と、コンパクト化できたことを主張した。
ルーフを開けているところ。開閉にかかる時間は14秒 |
リトラクタブル・ハードトップを採用するにあたっての必要条件 | 575 スーパーアメリカのルーフメカニズムを参考に課題の抽出を図った | 575 スーパーアメリカの3分割ルーフから2分割ルーフに変更した |
458 スパイダーのルーフの特徴 | 2004年から458 スパイダーのルーフの研究を行っている | 458 スパイダーで採用するルーフの最終コンセプト |
ルーフの諸元 | 電動ウインド・ストッパーについて |
■専用のインテークシステムを採用
エンジンは458 イタリアと共通となるが、458 スパイダーでは専用のインテークシステムを装備した。458 イタリアのエアインテークはサイドウインドー後端に備わっているが、458 スパイダーではエンジンフードの後端にレイアウト変更しており、それとともに「新しいレイアウトによりエンジンサウンドのチューニングを施した」(コメッリ氏)と述べたほか、マフラーのサイレンサーも専用品としていることを紹介した。
また、アイドリングストップシステムや連続制御式フューエルポンプ、外部制御機能付きエアコンコンプレッサー、ドライビングスタイルに合わせて最適化するギア・シフトパターンを統合制御する「HELE(ハイ・エモーション/ロー・エミッション」パッケージの搭載により、CO2排出量は430スパイダー比で20%減となる275g/kmを実現した。
V型8気筒エンジンについて | HELEシステムの概要 | 7速デュアル・クラッチトランスミッションを採用 |
458 イタリアと458 スパイダーのエアインテークの違い | マフラーのサイレンサーも専用のものとなる |
■Cd値は0.335
エアロダイナミクスについては458 イタリアと同様に、ラジエーターに冷却風を送り込むための「フレキシブル・フロントウイングレット」を採用するとともに、ボディー側面の気流をエンジンとインテークに誘導するバットレス・デザインを採用した。またエンジンフードにルーバーグリルを設け、「ルーフとバットレスからの気流を冷却エアとして吸い込むことで、リアスクリーン後方の風量を削減できた」とコメッリ氏。さらに、ラジエーターとエアインテークポジションの見直しにより、スポイラー効果を増大させていると言う。
また、オープントップモデルで欠かせないウインド・ストッパーについては、風洞実験により最適なポジションとし、「ウインド・ストッパーはコクピット内に入り込む気流を抑制・拡散し、乗員の最上の快適性を保証する」と自信を覗かせた。
エアロダイナミクスについて |
■東日本大震災復興支援の一環としてチャリティオークション開催
コメッリ氏とともに登壇したフェラーリ・ジャパン 代表取締役 ジェネラル・マネージャーのハーバート・アプルロス氏は、発表会の前日に日本復興のサポートの一環としてチャリティオークションを開催したことを紹介。
このチャリティオークションにはフェラーリ愛好家らが参加し、オークション落札金額の約800万円とフェラーリ・オーナーズ・クラブのメンバーから寄付金約1200万円が集められた。これに新型GTカー「FF(フェラーリ・フォー)」発表の際に行ったチャリティー・オークション・パーティーで集めた寄付金(5300万円)を加え、イタリア・ローマのチヴィタヴェッキアの姉妹都市である宮城県石巻市に全額寄付したことを明らかにした。
このオークションには石巻市長の亀山紘氏のほか、スクーデリア・フェラーリのドライバー、フェルナンド・アロンソ選手とフェリペ・マッサ選手がサプライズゲストとして参加したと言う。
フェラーリ・ジャパン 代表取締役 ジェネラル・マネージャー ハーバート・アプルロス氏 | 発表会の前日にフェラーリ愛好家らが参加したチャリティオークションを開催。オークションにはフェルナンド・アロンソ選手とフェリペ・マッサ選手が参加した |
(編集部:小林 隆)
2011年 10月 12日