NISSAN GT-R GT-3がKONDOレーシング+日産自動車大学校でS耐デビュー
スーパー耐久シリーズ第2戦もてぎに参戦

ツインリンクもてぎ

2012年4月28、29日開催



 「もてぎスーパー耐久 開業15周年記念大会」と銘打たれたスーパー耐久シリーズ(以下、S耐)2012第2戦が、ツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)にて晴天の中4月28、29日に開催された。

 参戦を発表していた「スリーボンド日産自動車大学校GT-R」が近藤真彦監督率いるKONDOレーシングよりデビューした。参戦車両はFIA-GT3クラスのNISSAN GT-R NISMO GT3で、SUPER GTに今シーズンより参戦中のS-Road NDDP GT-Rに次ぐ2台目となる。S耐においては初の国産FIA-GT3の登場だ。カラーリングは、KONDOレーシングがSUPER GTに参戦しているGT500クラスのGT-Rと基本的に同一となっている。

 ■参戦記者発表会を開催
 4月28日予選当日、ウォームアップ走行後、近藤真彦監督、ドライバーの藤井誠暢選手、ガミサン選手、日産自動車大学校より太田憲男理事長、スリーボンドより土田耕作常務取締役が参加のもと参戦発表会が行われた。近藤真彦監督は、「トッププロが凌ぎを削るSUPER GTとは少し趣が異なるロングランの耐久レースで、車両の整備からレース運営まで、多岐にわたるレーススタッフの仕事を通じて学生たちに多くのものを学んで欲しい」と語った。この参戦は、日産自動車大学校の教育プログラムの一環としてのものであるが、戦う以上現在KONDOレーシングが参戦するSUPER GTやフォーミュラ・ニッポンなどのほかのカテゴリー同様、勝ちに行くとの姿勢を示した。

 なお現在3人目のドライバーとして、昨年藤井選手とともにST-XクラスにAudi R8LMSで参戦したマイケル・キム選手と交渉中とのこと。スケジュールの調整が残っているもののほぼ決定していると語った。

 近藤監督自らがドライバーとして参戦する予定があるか、との質問には、「本音としてはチャレンジしたい気持ちもあり、その可能性は今のところ低いものの12時間という長丁場のマレーシア戦の参加は検討している」と語り、「まだ藤井選手には負けない」とその自信を見せた。

 なお今回はシェイクダウンのみを予定していたが、当日朝に行われたウォームアップ走行でのマシンの調子がよかったため予選に参加し、決勝のグリッドにもついた。

「若い世代の車離れを何とかするためにも学生の力を借りたい」と近藤真彦監督学生と共に戦うこのチーム体制が楽しくて仕方がない様子の藤井誠暢選手このチームへの参加により「ガミサンって誰?」という質問をなくしたいと語るガミサン選手
日産自動車大学校 太田憲男理事長スリーボンド 土田耕作常務取締役5人が参加した参戦発表会

 参戦の喜びを隠せない藤井選手は、できるだけ早く学生とコミュニケーションをとるために木曜日よりチームに合流。そこで学生の強い意欲に刺激され、自分自身も初心にもどって頑張ろうと新たな決意を持ったと言う。また学生たちには何でも臆することなくチャレンジして欲しいと願い、ぜひ優勝してその喜びを学生と一緒に味わいたいと語った。なお藤井選手は決勝レースを走行し、自分の仕事を終えた後もパドックの撤収作業を学生たちと行っていた。

チーム体制
 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rチームのメンテナンスやレース運営に関わるマネージメントは、KONDOレーシングと日産自動車大学校が共同で受け持つ。レースの開催地域により、全国の5校ある日産自動車大学校のいずれかの学校が教育プログラムの一環として参加するが、横浜校のみすべてのレースに参加する予定となっている。スリーボンドは、ホスピタリティブースなども提供する。

 学生はテクニカル領域、マネージメント領域、広報スタッフの3つのパートに分かれチームの運営を行い、経験を積んでいく。とくにテクニカル領域となるメカニックの仕事では、「レースならではの迅速かつ正確な作業が求められるため、学生には大きな経験になるだろう」と太田憲男理事長は言う。

 マネージメント領域は毎回40人程度の学生スタッフが受け持ち、その仕事内容はホスピタリティの設営から運営、食事、チームのすべての事務、スポンサーや、ファン対応など多岐にわたる。近年、新車ディーラー等のメカニックでも、接客における心がまえや、客とのコミュニケーション能力が必要とされるようになってきており、太田理事長はその点において大きな意味を見いだしているようだ。

テクニカル領域の学生達。この中にKONDOレーシングで即戦力として活躍できる程の実力の持ち主もいると近藤監督は語った
運営に関するありとあらゆる事を受け持つマネージメント領域。40人を超える学生が朝から夜まで奮闘する
広報を担当する学生は写真やビデオの撮影に大忙し。なにやら原稿も書いているようだ

マシン
 昨シーズンST-Xクラス(GT3車両のクラス)に参戦していた藤井選手によると、このGT-R GT3のポテンシャルは高く、Audi R8 LMSと較べても遜色ないとのこと。現時点ではセットアップがすんでいないが、その分伸びしろも感じると言う。当面のライバルである2台のメルセデスSLS AMG GT3やBMW Z4 GT3とバトルも楽しみだ。なお第3戦SUGOは5月19日、20日の2DAY開催。最新FIA-GT3マシンの活躍を見にサーキットへ足を運び、その走りを間近で感じるのもよいだろう。

スーパー耐久に参戦するNISSAN GT-R NISMO GT3。スポンサーは異なるものの基本的なカラーリングはKONDOレーシングのGT500マシンと同じ
エンジン形式はノーマルと同じVR38DETT。内装の仕上も美しい。S耐はADVANタイヤ(横浜ゴム)のワンメイクレース
予選は2台のメルセデス・ベンツSLSに続く3番手シェイクダウンの予定が僅か4周とはいえ決勝レースにも出場次戦SUGOから本格参戦を行う

(高橋 学)
2012年 5月 7日