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自工会、カタログ燃費を理解するための小冊子を発行
エコドライブの助けになるさまざまな情報が詳しいデータとともに掲載
(2013/5/8 16:20)
自工会(日本自動車工業会)は5月8日、小冊子「気になる乗用車の燃費~カタログとあなたのクルマの燃費の違いは?~」を発行し、その内容に関する説明会を開催した。自動車カタログなどで見かける「カタログ燃費」についてユーザーが疑問に思いがちなことを、イラストをふんだんに用いてわかりやすく解説したもの。全国のカーディーラーなどに計5万部が無償配布され、ユーザーが閲覧できるようにする。
漫画風のイラストで燃費について分かりやすく解説
説明会冒頭の挨拶では、自工会 常務理事の内藤政彦氏が今回の小冊子を制作することになった経緯を説明。2012年7月にカタログ燃費と実走行燃費との違いに関する中間結果報告(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120725_548878.html)を実施していたが、その後、実走行試験などを通じて多数の定量データを収集・分析し、結果をまとめたものを発行することにしたと言う。
発行の大きな目的は、エコドライブの推奨と地球温暖化の防止としているが、クルマのカタログ燃費と実走行燃費がなぜ異なるのか一般ユーザーがしっかり理解できるよう、小冊子は漫画風のイラストを用いた丁寧な作り。クルマのことを詳しく知らない主婦のヒヅルさんが燃費に関するさまざまな疑問を投げかけ、整備士である玄さんがそれに答えつつ、重要な細かいポイントを轟博士が詳しくする、という体裁になっている。
同氏によれば、CO2排出量全体の20%を占めている自動車の排ガス削減が地球温暖化の防止には重要であり、各自動車メーカーが燃費を向上させたクルマや技術の開発を従来から進めているものの、「カタログ燃費と実走行燃費が乖離しているというユーザーの声を聞くことがある」と話し、この差異についてユーザーへ適切な情報開示が必要と考えたと説明。そういった燃費に関する情報について、できるだけ分かりやすい表現になるよう配慮しつつも、「掲載しているデータは高度で、世界にも類を見ないものとなっている」と完成度に自信をにじませた。
燃費に関する疑問だけでなく、エコドライブのヒントも
次に、同環境統括部長の谷口実氏が、登場キャラの玄さんは小冊子の制作に深く関わった自工会の実在の人物であり、ヒヅルさんはその妻であるという裏話を披露しつつ、小冊子の詳しい内容を解説した。
小冊子には、カタログ燃費の基本的な知識を得られるパートと、カタログ燃費と実走行燃費がなぜ異なるのかという解説、さらに燃費に関連する知っておきたい豆知識やエコドライブをするためのノウハウなどが詰まっており、クルマのことをよく理解し、経済的に運転するための助けになるさまざまな情報が、詳しいデータとともに掲載されている。
たとえば、「カタログ燃費は誰がどうやって決めているのか」という疑問については、谷口氏によると「自動車メーカーが勝手にやってるんでしょと思われがち」とのことだが、小冊子では国が定めた試験法に則って検査し、国がその結果の審査を行っていると解説している。さらに、平坦な直線道路で、エアコンやライトなどをOFFにした状態で計測しているという補足情報も付け加えられている。
また、「カタログ燃費と実走行燃費ではどのくらい異なるのか」という疑問については、「平均で約3割くらい低くなるのが実態」と言う。その3割の内訳のうち、5割は加減速の仕方の違いをはじめとするクルマの使い方が影響し、3割はエアコン、ライト、カーナビ、ワイパーなどの電装品を稼働することによる燃料消費の増加、さらに残りの2割は寒暖や日照、道路状況といった使用環境の違いが影響しているとのこと。
そのほか、カタログ燃費のよいクルマほど実走行燃費との差が大きい場合があるのは、電装系の消費電力が車種によってほとんど変わらないため、カタログ燃費がよいほどその分の燃料消費の割合が大きくなるためとしている。また、春秋の季節は夏冬より燃費が1割ほどよく、もっとも燃費よく走れる速度域が60~70kmであること、ハイブリッド車は速度域に関わらず燃費があまり変わらないこと、エアコンの設定温度は燃費に関係なく、むしろ自動調整にせず風量を抑えめにするのがよいなど、一般ユーザーはもちろんのこと、クルマに詳しいユーザーも改めて知っておきたい情報が得られるようになっている。