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NEXCO西日本、新名神高速道路 高槻JCT~神戸JCTの建設現場見学会
2023年の全線開通に向け本格的な工事が進む高槻~神戸区間の現状を公開
(2013/5/10 13:00)
NEXCO西日本(西日本高速道路)は5月9日、2023年の全線開通に向けて建設工事を進めている新名神高速道路の高槻JCT(ジャンクション)~神戸JCT間の建設現場見学会を実施した。
新名神は、昨年の一部開通で大きな話題となった新東名高速道路と同様に、日本における道路交通の大動脈とも言える東名・名神の2大高速道路と並行して走る自動車道路。「大都市間のネットワーク強化」「地震・大雨といった災害発生時の備え」「名神高速道路の老朽化に対する対応」という3点を大きな目的として計画が進められている。
新名神でも2008年までに東側に位置する大津JCT~亀山西JCTの区間が開通し、すでに利用が開始されている。しかし、残る西側の大津JCT~神戸JCTまでの区間、東側の四日市北JCT~亀山西JCTまでの区間は、今世紀に入ってから建設計画の見直しや計画の凍結といった紆余曲折によって着工が遅れ、高槻JCT~神戸JCT区間では2008年~2009年にかけて本線工事が着手となった。
そんな新名神の高槻JCT~神戸JCT区間の工事現場から、今回はトンネル区間の「箕面トンネル東坑口」、橋梁区間の「下音羽地区」、名神高速道路との連結部となる高槻JCTの3カ所が見学場所として用意された。
箕面トンネル東坑口
箕面トンネルは新名神の建設計画の中でもっとも長い延長約5000mのトンネル区間。距離の長さに応じてトンネルの上に存在する地表部分もさまざまに変化し、今回の工事計画では箕面市と茨木市の市境を流れる勝尾寺川と、その支流の存在する一帯が大きなハードルとなった。
地表からトンネルまでの距離が短いこの一帯は、地盤がそれほど強固ではなく、さらに河川水や地下水が大量に浸透してくる可能性があり、箕面トンネルでは一般的な「馬蹄形構造」に加え、勝尾寺川一帯の地下では「円形の非排水構造」を組み合わせて構成する予定となっている。
この「円形の非排水構造」というトンネルは、トンネル本体の全周に肉厚の防水シートを敷設して地下水などの進入をシャットアウトするというもの。さらにトンネル本体の覆工コンクリートの厚さを、馬蹄形構造では30cmのところを80cmに増やし、外部からの圧力にも耐えられる設計としている。
下音羽地区
採石場などもある山間部に位置する下音羽地区の工事では、高低差が大きい山のなかに作業用の各種車両が通行できる建設用道路を用意することから作業がスタート。道路の完成後は不要になる建設用道路は、用地を建設工事中の間だけ地権者から借りて作られ、最終的には撤去される仮設の道路だが、昨今は安全管理に対する社会の監視が非常に厳しくなっており、万が一にも不手際があれば工事計画全体に影響を与えてしまうかもしれないと細心の注意が払われていると言う。
また、道路建設で一番時間がかかり、かつ不測の事態で計画変更を余儀なくされるリスクが大きいのはトンネル工事。工事区間にトンネルが存在する場合は、トンネルから作業をスタートさせるのが一般的だが、下音羽地区ではトンネル工事に必要な道路がなかったので、まず橋梁部分の工事をある程度まで進め、通行できるようになった橋梁部分を建設用道路として活用してトンネル工事に着手するというスケジュールとなっている。
高槻JCT
高槻JCTは、正確には新名神側の高槻第一JCT(仮称)と既存の名神高速側の高槻第二JCT(仮称)の2路線を連絡道路で結んで構成される。
見学場所となった高槻第二JCT(仮称)の現場には、名神高速をオーバーパスするためのコンクリート製の橋脚が立ち並んでいた。これまでの2カ所と比較すると工事の進捗状況は高いように見えるが、名神高速の上を通過する「上部工架設」は、毎年5月に行われている名神高速の集中工事の期間でなければ不可能で、これから数年掛けて完成を目指すと説明された。