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NEXCO東日本、苗場プリンスホテルで「ウィンタードライビングスクール」を開催

篠塚健次郎氏がフォレスターで雪上コースを激走!

フォレスターでデモ走行中の篠塚氏
2014年1月18日開催

篠塚建次郎氏

 NEXCO東日本(東日本高速道路)は1月18日、ラリードライバー篠塚建次郎氏による「ウィンタードライビングスクール」を開催した。会場は新潟県の苗場プリンスホテル駐車場内特設コース。参加費は無料。

 イベントは午前、午後の2回に分けられ、それぞれ篠塚健次郎氏による雪道講演会と、実技講習が行われた。講演会は当日受付も可能だったが、実技講習は事前に応募した人の中から抽選で選ばれた各回15名、合計30名が参加した。

 10時からの講演では、まず篠塚氏が近況を報告。2013年11月、篠塚氏は秋田県大潟村のサーキット「ソーラースポーツライン」で「電気自動車一充電航続距離(途中無充電)世界記録」のギネス記録に挑戦。無充電で1300kmを走行してギネス記録を達成したという。それまでの記録は1003kmで、大幅な記録更新となった。一般的な電気自動車のバッテリー容量は18kWh~24kWhだが、今回挑戦した車両は軽自動車にリチウムイオンバッテリを1万2400本搭載し、135kWhを確保。4人交代で約46時間走行し続けての記録達成だった。篠塚氏は「今年はソーラーカーのギネス記録に挑戦したい」と意欲を見せた。

 雪道走行については、「雪道をいかに安全に走るか。安全運転は運転技術の問題ももちろんあるが、それ以上にルールをいかに守るかが重要。また、クルマの突発的な挙動に対して瞬間的に適切な判断ができることも大切。そうした判断はやはり経験が重要で経験を積んでいれば運転に余裕が持てる。滑りやすいところで走行するときは“急”とつく動作はしない。急なアクセル、急ハンドル、急ブレーキをしてはいけないことは頭では分かるが、実際にそうした状況でクルマがどう反応するのかはなかなか実体験できない。それを今日体験してもらいたい」と、経験することの大切さを強調した。

午前中の講演会の様子。ほぼ満席の状態

 篠塚氏は「ラリーではあらゆる路面を走る。高速道路もあるし雪道や砂漠もある。雨や雪の中、氷点下や気温40度以上の環境で走ることもある」と、さまざまな経験をしてきた。たとえばオーストラリアでのレースでは、夜ライトを付けて走っているとカンガルーがライトに向かって突っ込んでくるのだそうだ。またインドで行われたレースではトラにぶつかったことがあるそうで、その時はクルマが多少凹んだ程度で済んだ。トラはそのまま逃げていってしまったそうだ。これらは極端な例だが、そうした突発的な危険が発生しても、経験を積んでいくことで適切な対処ができるようになると同氏は語った。

 篠塚氏の考える安全な運転テクニックは5つ。1つ目はシートベルトの大切さ。「最近では運転者はもちろん助手席でもシートベルトは当たり前になってきているが、後席となるとまだまだベルトをしない人が多い。ベルトをしなければ走らないというくらいの気持ちでいて欲しい」という篠塚氏は、ラリー中に砂漠を150km/hで走っている最中、小さな丘をジャンプした後にフロントから地面に激突してクルマが大破した経験がある。しかし、幸いにもシートベルトがあったお陰で致命的な怪我は負わずに済んだ。大きな事故にあった経験があるからこそ、シートベルトの大切さを再認識できたという。

 2つ目は運転に集中すること。「ラリー中でも1位になりたいとかそういうことを考えながら走っていると、瞬く間にスタックしてしまうこともある。一瞬の操作の遅れがタイムロスを招く。とにかく目の前の状況に集中してほしい」という。

 3つ目は標識などをしっかり確認する大切さ。篠塚氏は65歳だが、この年齢になるとどうしても集中力が途切れるときがあり、「止まれ」の標識があってもなんとなく出て行きそうになることがあるという。意識して標識を確認して走行してほしいそうだ。

 4つ目は、走行中は周りの状況をよく確認するということ。同じ速度で一定方向に走っている場合はよいが、アクセル操作、ブレーキ操作、ハンドル操作が必要な状況では必ず周りを確認することが重要。「何回も追突されるという人がいるが、たまたま後ろから居眠りをしていた人が突っ込んでくるということもある。だが、そうではない時もある。急ブレーキを踏むなど本人の運転が周りに悪影響を与えている可能性もないとは言えず、常に周りに配慮する気持ちは大切」とした。

 5つ目は、運転に余裕を持つこと。運転に余裕があれば、譲り合うしマナーも守るようになる。余裕の元になるのは運転経験という。

 最後に雪道を走るうえでのちょっとしたコツについて、篠塚氏は「クルマを駐車するとき、なるべく車道側にクルマを止めて欲しい。そうするとバッテリーが上がってしまった時などに救助車が作業をしやすい。また、雪国の人には常識だが駐車時はワイパーを上げておくことでワイパーが凍結して動かなくなることを防ぐこともできる。サイドブレーキも凍結の恐れがあるので引かずにATは「P」位置、MTは1速かバックに入れて止める。除雪のためのブラシ類も持っていた方がよい」などとアドバイスした。

 最後に篠塚氏は「とにかくいろいろな新しい経験をして、余裕をもった運転ができるようになってもらいたい。ここでは公道のような危険はないので思い切り運転し、安全運転の元にしてもらいたい」と語って講演を終えた。

午前中の実技参加者全員で記念撮影
篠塚氏はサインや記念撮影にも快く応じていた

 講演後の実技講習ではノーマルタイヤでの急ブレーキ体験の後、スタッドレスタイヤでの急ブレーキ体験と、駐車場に設置された特設コースのフリー走行を実施。特にフリー走行の2周目は篠塚氏が助手席に同乗し、参加者は直接運転のアドバイスを受けることができた。

 また、実技講習後は篠塚氏によるデモ走行も実施。デモ走行には実技参加者の中からジャンケンで勝利した1名が同乗した。篠塚氏は「2名で行こう。2回走るよ」とサービス精神旺盛だったが、残念ながら時間の都合もあって1回の走行に。それでも時間ぎりぎりいっぱいまで雪を巻き上げながらのデモ走行に会場の見学者たちは大満足。見応えもたっぷりな1日となった。

苗場スキー場駐車場に設置された特設コース
ノーマルタイヤでのブレーキ体験
当然ながらなかなか止まらない
ブレーキ体験の後はパイロンの間をフリー走行。参加者達は篠塚氏のアドバイスを受けながら思い思いに走りを楽しんでいた
篠塚氏によるデモ走行。ジャンケンに勝ち残った参加者が同乗した

(清宮信志)