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三菱自動車、新型「eKスペース」で軽自動車市場の第4極の地位を確固たるものに
“33の思いやり機能”で家族で過ごすクルマであることをアピール
(2014/2/13 22:32)
三菱自動車工業は2月13日、スーパーハイトワゴンタイプの新型軽自動車「eKスペース」を発売。午前中に実施された兄弟車である日産自動車「デイズ ルークス」の発表に続き、同日午後に三菱自動車本社において発表会を行った。eKスペースは、今後国内販売の車種を絞り込む予定の三菱自動車にとって主要車種の1台となるクルマ。“33の思いやり機能”をアピールして家族で過ごすクルマを強調した。
軽自動車市場の第4極の地位を確固たるものに
eKスペースは日産と三菱自動車の合弁事業「NMKV」による協業車種の第2弾。発表会では三菱自動車工業 代表取締役社長の益子修氏が「トールワゴンタイプのeKワゴン、eKカスタムにより軽自動車市場での第4極での地位を確立。協業第2弾であるスーパーハイトワゴンのeKスペースをラインアップに加えることにより、第4極の地位を確固たるものにしておきたいと思っている」と期待を寄せた。
益子氏はeKスペースを「eKシリーズならではの高品質感、使い勝手、運転のしやすさを踏襲し、スーパーハイトワゴンクラスの“いい軽(eK)”となるクルマづくりと、私どもがデリカで培ってきたミニバンづくりのノウハウを融合し、乗る人みんなが快適にすごせる居住空間にこだわって企画・開発してきた」と説明。新しいジャンルへ参入するが、三菱自動車が培ってきたノウハウの延長線上にあるクルマであることを強調した。
さらにスーパーハイトワゴンというカテゴリーについても触れ、「一般的に全高1.7m以上でエンジンをボンネット内に配置したワゴンを呼称しているが、全高、室内高を高くしただけではなく、パッケージングの最適化によって室内長も延長。限られた軽自動車枠のなかで最大限の居住空間を実現させたワゴン」と定義。「各種部品の小型化、高効率化、高密度化など、まさに日本のものづくりを象徴するカテゴリーと言える」と説明した。
また、益子氏は現在の軽自動車購入者について調査・分析。その結果、経済性や生活必需品として軽自動車を選んでいるのではなく、登録車からのダウンサイジングが顕著になっていると判断。「スーパーハイトワゴンのお客様は、とくに居住性と使い勝手を重視することが分かった」とした。
その結果、「eKスペースは登録車から乗り替えるお客様にも満足いただけるように、クラストップの室内高と室内長、便利なワンタッチ電動スライドドアを当社の軽自動車で初採用。後席は軽自動車最長の260mmのスライドが可能で、前席から後席のお子さんの世話ができ、シートを後退させればお父さんもくつろげるスペースを作ることができる」と説明した。
兄弟車である日産のデイズ ルークスとの差別化については、プロダクト・エクゼクティブ A&Bセグメントの秋田義雄氏がエクステリアの違いと説明。eKスペース カスタムについてはデリカ D:5に通じる精悍なものになっていると説明した。
一方、eKスペースには他メーカーの車種で装着が進む「衝突軽減ブレーキ」が設定されていない。この点について秋田氏は「必要な装備として現在導入を検討している」と答えた。
なお、三菱自動車は過去に全高1.7mクラスのトールワゴンタイプの軽自動車「ミニカ トッポ」や「トッポBJ」を販売していたが、今回、それらのモデルから続く長い歴史についてとくに紹介しないのは、eKスペースとの間にブランク期間があったからだとしている。
33の思いやり機能
発表会のなかでは、eKスペースに与えられた“33の思いやり機能”について、モデルによる実演を交えて説明が行われた。33の機能のうち、快適性に関するものが11点、利便性に関するものが17点、安心に関するものが5点となっており、主な内容としては「クラスナンバー1の室内高(1400mm)&室内長(2235mm)」「リア両側スライドドア」「リアサーキュレーター」「後席左右分割シート」「アクティブスタビリティコントロール(ASC)」などが挙げられ、とくに室内の広さや後席の使い勝手について実演された。
すでに7000台の受注を集めるが、生産が追いつかず
eKスペースは2013年の東京モーターショーに参考出品し、その後も各種展示会で試作車を展示してきたクルマでもある。年末から各販売店で予約を受け付け、発売前日の2月12日までの受注数は、月間販売目標台数の2500台の3倍近くとなる7000台であると益子氏から明かされた。
しかし、eKスペースを生産する三菱自動車の水島製作所の生産能力は「いっぱいいっぱいの製造」とのことで、供給が追いついていないことが明らかになった。これは兄弟車のデイズ ルークスについても同じで、生産配分は、開発時点の計画をもとに日産側と協議しながら決めているという。
なお、国内営業統括部門長の服部俊彦氏によれば、月間販売目標数を2500台としていることから、3月末までの生産能力は4000台弱。受注は7000台なので、消費税が5%の3月末までに受注数をさばききれないとした。
水島工場ではeKワゴンの生産も行っているが、こちらはなんとか需要に応えられるとしている。ただし、兄弟車である日産「デイズ」の販売が好調で、仮に足りなくなるような場合があれば、eKスペース同様、開発時点の計画をもとに協議するという。
発表会の会場にはeKスペースが展示され、主に室内スペースや後席のシートアレンジなどについて強調する展示内容となっていた。