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ガルーダ・インドネシア航空の最新機材「ボーイング 777-300ER」に乗ってインドネシアに行ってみた

Wi-Fiサービスを提供し、ファースト/ビジネス/エコノミーの3クラスを用意

ガルーダ・インドネシア航空の最新機材「ボーイング 777-300ER」

 9月18日~28日にインドネシア共和国 ジャカルタで開催された「インドネシア国際モーターショー2014 The 22nd Indonesia International Motor Show)」。Car Watchではいくつかの記事をお届けしてきたが、伸びゆくインドネシア市場を実感できるものだった。

 現地で大きなシェアを持つトヨタ自動車やダイハツ工業はもちろん、そのほかの国内メーカーも積極的な展示を行っていたのが印象的だった。三菱ふそうトラック・バスの現地生産会社である、PT.MKM(Mitsubishi Krama Yudha Motor and Manufacturing)やPT.KRM(Krama Yudha Ratu Motor)を取材した際に見せていただいた自動車メーカーの工場マップは印象的で、ジャカルタから東へ延びる高速道路沿いに各社は工場を設置。高速道路と港湾を使って、輸出をしていこうという意図が明白に読み取れるものだった。

インドネシアに多数進出する日本企業。高速道路沿いに工場が立地していることが分かる

 インドネシア国際モーターショーにあわせ、スズキはジャカルタ東方にあるGIIC工業団地の新しい四輪車組立工場の稼働計画を発表。12月に入って、本田技研工業はバイク組立工場であるPT Astra Honda Motorの生産能力を年530万台から年580万台へと引き上げる発表を行うなど、インドネシアへの自動車関連投資は盛んになる一方だ。

インドネシア国際モーターショーにおけるトヨタ自動車のプレゼンテーション。伸びゆくインドネシア市場と、現地生産について大きく時間を割いていた
インドネシアで人気となっている7人乗りミニバン「アバンザ」。小型ながら多人数乗車できるクルマが広く受け入れられている

 そのインドネシアへの日本からの足となっているのが、ガルーダ・インドネシア航空。Car Watchでは、ガルーダ・インドネシア航空のエアバスA330-300型機によるジャカルタ、バリの弾丸旅行を夏にお届けしているが、インドネシア国際モーターショーへは最新機材となるボーイング 777-300ER型機で行ったため、ここに簡単に紹介していく。

ボーイング 777の長胴バージョンとなる777-300ER型機。全長73.9m、全幅64.8m、全高18.5mの大型機

 ガルーダ・インドネシア航空の運用するボーイング 777-300ER型機は、ファーストクラス 8席、ビジネスクラス 38席、エコノミークラス 268席の計314席のシートを用意。前回紹介したA330-300型機との違いは主に座席配置にあり、エコノミークラスは2-4-2の横8席(8アブレスト)から、幅広の胴体を活かした3-3-3の横9席(9アブレスト)へと拡大。ビジネスクラスは、2-2-2の横6席から、1-2-1の横4席となり、1-2-1のB777-300ER型機ではどの席からも通路に出られるようになっている。B777-300ER型機だけに用意されたファーストクラスは、ビジネスクラス同様の1-2-1配置。但し、シートピッチはビジネスクラスの109cmから208cmへと倍増しており、さすがファーストクラスともいうべき広さになっている。

●ボーイング 777-300ER型機のシートマップ
http://www.garuda-indonesia.co.jp/service/seatmap/b777-300er/

B777-300ER型機のエコノミークラス。座り心地のよいシートで、シートピッチは81cm
シートピッチ208cmのファーストクラス。8席しかないものの、圧倒的に広く、エンタテイメントシステムの画面サイズも大きい。もちろんシートはフルフラットになる

 今回、B777-300ER型機でジャカルタに行く際に利用したクラスはビジネスクラス。前回のA330-300型機もビジネスクラスだったため、その違いを体感できた。また、B777-300ER型機はインターネット接続サービスが用意されており(A330-200およびA330-200は機材によって異なる)、1時間11.95ドル、24時間21.95ドルで利用することができる(エコノミーとビジネスクラスは有料、ファーストクラスは無料になる)。

 B777-300ER型機のビジネスクラスによるジャカルタ行は快適そのもの。B777-300ER型機のビジネスクラスシートは180度フラットになるほか、1席、1席が独立した仕様になっており、A330-300型機よりもパーソナル感の高いものだ。シートピッチはA330-300型機の152cmから109cmへと短くなるものの、互い違いの配置により、足を十分に伸ばすことができた。

●ビジネスクラス
http://www.garuda-indonesia.co.jp/service/inflight/business-class/

こちらが今回利用したビジネスクラス。A330-300型機と異なり交互配置による、1-2-1レイアウトを採用する
中央の2席の間にはパーティションも用意。個室感覚の空間を作り上げることが可能
すべての座席から通路にアクセスできる
それぞれのシートには、毛布や枕、ロクシタンのアメニティキットなどが用意されている

 仕事をこなすためのテーブルも13インチのMacBook Airを置いても余裕があるもので、テーブルのしっかり感も高い。このテーブルのしっかり感は結構大切で、安心してキーボードを打てるものとなっていた。

 電源もユニバーサルタイプのAC電源に加え、USB電源コネクタ×2を装備。PCとスマートフォンといった組み合わせなど、通常の使用において困ることはないだろう。

各座席には折りたたみ式のしっかりしたテーブルが用意されている。13インチのMacBook Airを置いても余裕のあり、作りもしっかりしたものだった
リモコン類。シートスイッチは操作のしやすいもので、ワンタッチでリクライニングやフルフラットに変更できる
USB電源コネクタやユニバーサルタイプのAC電源が用意されている

 インターネットサービスは、サービスプロバイダーにT-mobileを使うもので、JAL(日本航空)の国際線インターネットサービス「JAL SKY Wi-Fi」とほぼ同様の仕組みとなる。T-mobileが海外プロバイダーとなるため、日本国内限定のサービスは利用できないものの、VPN(Virtual Private Network)接続は問題なく可能なため、国内インターネットにVPN接続すればそれらの問題は回避できる(もちろん利用規約上に違反しない範囲で)。VPN接続ができるため日本国内の社内LANへの接続ができ、インドネシア国際モーターショーの記事作成においてもインプレス社内のシステムを利用することができた。

 但し、その速度はそれほど速いものではなく、テキストベースのメールのやりとりは快適だが、グラフィックスデータがあると厳しい感じになる。インプレスのサーバーにPINGを打ってみたが、JALのときとほぼ同様の1100ms~1200ms台の数字となっていた。

機内インターネットサービスの画面。サービスプロバイダーはT-mobileのため、日本国内限定のサービスは使えない可能性あるが、VPN接続ができるためそのような問題を回避するのは容易だろう
ガルーダ・インドネシア航空のWebサイトを閲覧中
小さいデータ量で速度を計測したかったので、PINGを使いインプレスのサイトを計測してみた。いくつかの空飛ぶインターネットサービスを使ってみたが、この値は平均的なものだろう
これは帰国便での画面。航空機の現在位置が表示されるflightrador24での画面。左記の速度でも問題なく使える。テキストベースのちょっとした仕事には十分な速度と言える
航空機の胴体上部にあるのがWi-Fiアンテナになる

 速度は厳しいものの容量が無制限なのは本当にありがたい点で、タイムアウトとならなければのんびりインターネットを楽しめる。大量のデータ転送、もしくはレスポンスが必須とならないようなものであれば、空の上でしっかりと仕事ができるわけだ。ビジネスマンにとってインターネットが容量無制限で使えるのは、何よりの価値と言えるだろう。

 ガルーダ・インドネシア航空のビジネスクラスであれば、機内食も楽しめるものとなる。現在は11月1日~2015年2月28日の冬メニューとなっているが、夕食は洋食、インドネシア料理、和食と選べ、素敵な食器で食事をすることができる。到着前の軽食も、サテやナシゴレン、天ぷらうどん、フルーツなどから選べ、インドネシアに到着したときにはお腹が一杯になっているに違いない。

洋食や和食、インドネシア料理のいずれかが楽しめる機内食。デザートなども付属する。到着前の軽食もナシゴレンやサテ、天ぷらうどんから選べる。写真は夏メニューのため、現在は変更されている。路線によっても異なるのでガルーダ・インドネシア航空のWebサイトを確認していただきたい

 記者がガルーダ・インドネシア航空を使ってインドネシアのジャカルタに行ったのは9月だったが、拡大する日本-インドネシア間の需要を背景にダイヤなどに大きな変更が行われている。以下に2014年10月26日~2015年3月28日の冬スケジュールを掲載しておく。クラスは、F=ファーストクラス、C=ビジネスクラス、Y=エコノミークラスとなる。

●日本→ジャカルタ(スカルノハッタ)

便名出発出発時刻到着到着時刻運航日機材クラスWi-Fi
GA875東京(羽田)0時30分ジャカルタ6時25分毎日ボーイング 777-300ERF/C/Yあり
GA885東京(成田)12時00分ジャカルタ17時50分毎日エアバス A330-300C/Y機材によっては“あり”
GA889大阪(関西)12時00分ジャカルタ17時30分月・水・金・日エアバス A330-200C/Y機材によっては“あり”
GA913中部(名古屋)11時00分ジャカルタ16時00分月・水・金・土・日
(2015年3月28日より、政府許可取得を条件とする)
エアバス A330-200C/Y機材によっては“あり”

●ジャカルタ(スカルノハッタ)→日本

便名出発出発時刻到着到着時刻運航日機材クラスWi-Fi
GA874ジャカルタ13時25分東京(羽田)23時00分毎日ボーイング 777-300ERF/C/Yあり
GA884ジャカルタ23時55分東京(成田)翌9時00分毎日エアバス A330-300C/Y機材によっては“あり”
GA888ジャカルタ23時25分大阪(関西)翌8時15分火・木・土・日エアバス A330-200C/Y機材によっては“あり”
GA912ジャカルタ23時40分中部(名古屋)翌8時40分火・木・金・土・日
(2015年3月27日より、政府許可取得を条件とする)
エアバス A330-200C/Y機材によっては“あり”

●日本→バリ(デンパサール)

便名出発出発時刻到着到着時刻運航日機材クラスWi-Fi
GA887東京(羽田)11時45分バリ18時30分毎日ボーイング 777-300ERF/C/Yあり
GA881東京(成田)11時00分バリ17時35分毎日エアバス A330-300C/Y機材によっては“あり”
GA883大阪(関西)11時00分バリ17時20分毎日エアバス A330-200C/Y機材によっては“あり”

●バリ(デンパサール)→日本

便名出発出発時刻到着到着時刻運航日機材クラスWi-Fi
GA886バリ0時45分東京(羽田)8時50分毎日ボーイング 777-300ERF/C/Yあり
GA880バリ0時50分東京(成田)8時50分毎日エアバス A330-300C/Y機材によっては“あり”
GA882バリ0時50分大阪(関西)8時30分毎日エアバス A330-200C/Y機材によっては“あり”

 大きな変更点は、記者が利用したときは成田~ジャカルタで運航されていたB777-300ER型機が羽田~ジャカルタとなり、羽田~ジャカルタで運航されていたA330-300型機が成田~ジャカルタとなったことだ。これはビジネス用途が多い羽田利用客に配慮したもので、B777-300ER型機であればインターネット接続サービスが必ずあり、パーソナル感の高いビジネスクラスなども提供できるためだろう。

 逆にA330-300型機のビジネスクラスやエコノミークラスは、2人連れなどで利用する際は便利に使うことができ、連れとの親密度やそのときのチケット価格で、羽田利用か成田利用か選べばよいだろう。

 また、2015年3月28日より中部国際空港(セントレア)~ジャカルタ便が就航するのもポイント。セントレアは中部経済圏の要となるべく作られた空港で、名古屋鉄道が直接乗り入れているほか、空港バスは名古屋方面はもちろん、トヨタ本社や刈谷駅、三河安城駅、浜松駅などを直結している。いずれも自動車会社や工場、世界的な自動車部品メーカーのある場所で、インドネシアに進出している企業ばかりだ(例えば刈谷駅前に本社のあるデンソーは、インドネシアに関連会社を5社もつ)。

 中部地区のインドネシア進出企業において、セントレア~ジャカルタ直行便は便利に使える路線に違いないし、ガルーダ・インドネシア航空もそうした需要を見据えて航路を開設するのだろう。ガルーダ・インドネシア航空は、航空アライアンスとしてはスカイチームに加盟しているほか、ANA(全日本空輸)とはコードシェアやマイレージで包括的な提携関係を築いている。

ガルーダ・インドネシア航空は、デルタ航空やユナイテッド航空と同じ航空アライアンスのスカイチームに加盟する。B777-300ER型機のコクピット後方にはスカイチームのロゴが刻まれていた

●スカイチーム
http://www.garuda-indonesia.co.jp/guide/skyteam/skyteam/

●全日本空輸株式会社との包括提携について覚書を締結
http://www.garuda-indonesia.co.jp/ga_news/release/8611.html

B777-300ER型機の機内に掲示されていたスカイトラックスの受賞証。これは2012年に「WORLD'S BEST REGIONAL AIRLINE」に選ばれたときのもの。2014年には最高評価の「5スター」を獲得した

 ガルーダ・インドネシア航空に関するニュースとしては、航空会社のさまざまなサービスに関する調査・格付けなどを行っている英SKYTRAX(スカイトラックス)社より、2014年最高評価の「5スター」を12月11日に獲得。この5スターは、世界の航空会社のなかでガルーダ・インドネシア航空を含め7社しか獲得しておらず、同社の高いサービスレベルが評価されたことになる。

 そのほか、日本とインドネシア共和国の関係では、12月1日からインドネシアIC旅券を所持するインドネシア国民に対する事前登録制によるビザ免除が開始され、2015年1月には日本から観光目的でインドネシアを訪れる際のビザ無料化も予定されている。

●外務省 インドネシア国民に対するIC旅券事前登録制によるビザ免除
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_001526.html

 これらの施策により、インドネシアとの行き来に関するハードルが大幅に下がり、ビジネス需要、観光需要も今後大きく伸びていくこととなるだろう。今回の記事を、ガルーダ・インドネシア航空を利用する際の参考にしてもらえれば幸いだ。

(編集部:谷川 潔)