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ニュアンス コミュニケーションズ、車載向け音声認識ソリューション「Nuance Dragon Drive」新機能説明会
新機能は北米から展開していく予定
(2015/3/3 14:17)
- 2015年2月27日開催
ニュアンス コミュニケーションズ ジャパンは2月27日、車載向け音声認識ソリューション「Nuance Dragon Drive」の新機能説明会を報道陣向けに実施した。同社は音声認識に関して高い技術を持つ企業で、コンシューマ向け製品としてはパソコン用音声認識・音声入力ソフトウェア「ドラゴンスピーチ」のほか、iPhoneなどで利用可能な音声認識アプリ「Dragon Dictation」などをリリースしている。
Nuance Dragon Driveは、自然音声対話プラットフォーム「Dragon Drive Speech」、コンテンツ提供プラットフォーム「Dragon Drive Connect」、電話機との接続サービス「Dragon Drive Link」から構成され、すでにBMWやアウディ、トヨタ自動車(海外)といったメーカーで採用されている。ただ、採用が進むにつれて自動車メーカーから「スマートフォンを中心としたソリューションの提供」「開発環境だけでなく製品パッケージでの提供」といったニーズのフィードバックが寄せられたことなどから、新たに機能を追加していくことになった。
新機能の1つ目は「Dragon Drive Mobile」。特長はこれまで車載器で行っていた音声認識や音声合成といった処理を、スマートフォン側で行う仕様に変更したこと。これにより、音声のデコードなど負荷の高い処理をスマートフォンで行うことで車載器の負荷を低減。一方で、車載器側にはHTML5ベースのHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)アプリを提供する。つまり、車載器側ではHTML5対応ブラウザを用意するだけで音声認識システムの搭載が可能となり、仕様変更などがあっても音声認識システムの再開発は不要になることから、開発コストの低減にも大きく寄与することになる。
2つ目が「Dairy Update」。同社が「パーソナルアシスタンスの第1歩」と位置づけているもので、ユーザーの好みや状況の変化に対応した情報を音声で提供するサービスとなる。Dragon Drive Mobileがメーカー向けの特長だったのに対し、こちらはユーザーに直接メリットがある機能だ。具体的には、登録されたユーザープロファイルやGoogleカレンダーAPIなどを参照し、さらにユーザーの好みなどを加味して、エンジンスタート時などにプッシュ型で提供してくれるもの。カレンダーアプリなどにあるリマインダー機能を進化させた機能とも言えるが、こちらではユーザーが操作をすることなく音声入力で情報を得ることができる。クルマ用ならではの安全性が高いシステムと言えるだろう。
3つ目が音声認証(Voice Biometrics)機能だ。アメリカではすでにテレフォンバンキングなどで採用されて実績がある技術で、パスワードを入力することなく情報にアクセス可能になる。どういったメリットがあるかと言えば、簡単なところではドライバーを特定するような機能が挙げられる。すでにキーのIDでシートポジションやステアリング位置を自動的に調整する機能を備えるクルマがあるが、これが声だけで専用ポジションに調整できるようになる。また、セキュリティレベルを変えることも可能なので、よりセキュアな処理が必要となるカード決済のようなシチュエーションにも対応できるのもメリットと言える。
これらの新機能は北米向けから提供準備が始まっており、その後、欧州、日本を含むアジアの順で展開される予定となっている。国内で採用モデルを見るのはもう少し先の話になりそうだが、今後の展開が楽しみなシステムと言えるだろう。