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ニュアンス コミュニケーションズ、音声認識技術の車載分野導入に関する戦略説明会
AppleのSiriでの協業に関しては、「契約上コメントできない」と説明
(2014/3/24 13:11)
ニュアンス コミュニケーションズは3月17日、都内で「車載分野事業戦略説明会」を報道陣向けに開催した。ニュアンス コミュニケーションズは、音声認識に関する高い技術を持つ企業で、音声認識・音声入力ソフトウェア「ドラゴンスピーチ」のほか、音声認識のクラウドサービスを展開。AppleのiPhoneで使われているエージェントサービス「Siri」にも、同社の技術が使われている。
現在ニュアンスは車載分野への進出を図っており、その戦略や技術についての説明が行われた。
ニュアンス コミュニケーションズ オートモーティブ ビジネスユニット マーケティングディレクターのファティマ・ヴィタール氏は、同社のミッションを音声認識技術を用いて「人とテクノロジーの関係を再発明」することとし、さまざまな企業に同社の技術を提供していると紹介。その中には、トヨタ自動車、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、フォードなどがあり、世界各国において協業を実施している。
また、同社の音声認識クラウドエンジン「Dragon Cloud」は、現在のアクティブユーザー数は7300万人、累積トランザクション(処理単位)は70億近くになる。ニュアンスの車載用音声認識技術「Nuance Automotive」を利用する新車の販売も2800万台に達したという。
ニュアンスでは新車メーカーのほか、ティア1サプライヤーにも技術を供給。そこでは、デンソー、アイシンAW、富士通テン、三菱電機、パイオニアなどIVI(車載情報端末)やナビゲーションなどで知られるメーカー名が紹介されていた。
日本でニュアンスのマーケティングを行う、ニュアンス コミュニケーションズ ジャパン オートモーティブ ビジネスユニット プリンシパル マーケティングマネージャーの村上久幸氏は、車載ITの多様化について紹介。ニュアンスの音声認識技術が多様に使われることで、よそ見運転が減るなどしてクルマの安全性が高まり、より高付加価値のサービス提供ができるとする。
ニュアンスが提案する1つのソリューションとして紹介されたのが、車載向け自然言語・コンテンツサービス提供プラットフォーム「Nuance Dragon Drive」。これは自然音声対話プラットフォーム「Dragon Drive Speech」、コンテンツ提供プラットフォーム「Dragon Drive Connect」、電話機との接続サービス「Dragon Drive Link」からなるもので、これを使えばスマートフォンから送られた音声を認識し、適切な返答をユーザーに返すことができる。
Dragon Drive Speechの応用例として紹介されたのが、トヨタ「Smart G-BOOK」や富士通テンのカーナビで使われているエージェントサービス「CarafL」。そのほか、アウディやBMWでの応用例が紹介された。
ニュアンスの将来技術については、ニュアンス コミュニケーションズ モバイル・エンジニアリング シニア バイスプレジデントのステファン・オルトマン氏が説明。1996年当初は電話番号や簡単なコマンド認識から始まった音声認識技術が、2011年には自然言語認識ができるようになり、2012年からクラウドによる音声認識サービスを開始した。今後はさらなる音声認識率の向上のほか、たとえば車載音声認識においてはSSE(スピーチシグナルエンハンスメント)とのようなフィルタリング技術で、ノイズ中からボイスのみを取り出す技術を進化させていく。
クラウドサービスが可能になったことで、音声認識結果の大規模な学習が可能になっている。報道陣からは、AppleのSiriでの協業に関してや、学習結果の共有具合について質問が出たものの、いずれも「契約上答えられない」という。
ステファン・オルトマン氏によると、「近いうちに何らかの発表ができる」とのこと。国内の説明会での言葉だけに、国内の自動車メーカー、もしくはサプライヤーとの協業発表があるのかもしれない。