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OpenCar、ニュアンス コミュニケーションズの「Dragon Drive Linkテクノロジー」をサポート

スマートフォンと同期する機能

2015年7月17日開催

握手を交わすニュアンス コミュニケーションズ アーンド・ヴァイル氏(左)とOpenCar ジェフ・ペイン氏(右)

 米OpenCarは、6月に発表した「OpenCar Connect インフォテイメント・フレームワーク」における、ニュアンス コミュニケーションズの「Dragon Drive Linkテクノロジー」のサポートに関する記者説明会を開催した。

 OpenCarは米シアトルに本拠を構えるメーカー。クルマとインターネットを接続することでさまざまなサービス提供する「コネクテッドカー」を実現するためのツールやサービスを開発・提供している。「OpenCar Connect インフォテイメント・フレームワーク」は、そうしたツールの中核となるもので、コネクテッドカー向けアプリケーションの設計をはじめ、検証、提供、メインテナンスを可能にするもの。

Dragon DriveとOpenCarの統合

 今回、ニュアンス コミュニケーションズの「Dragon Drive Linkテクノロジー」をサポートすることで、スマートフォンとの同期でデータ接続を可能にするのはもちろん、運転者の好みなどを読み取ることが可能になる。これにより、例えばよく使うアプリケーションを優先表示したり、好みの音楽をリストアップすることなどが、車載器を操作しなくてもできるようになる。また、自動車メーカーの対応次第で、シートポジションのようなクルマ側の調整も可能になるとしている。これらのパーソナルデータはスマートフォン側に残るため、万一盗難などにあった際もデータは守られるというわけだ。

ニュアンス コミュニケーションズ アーンド・ヴァイル氏

 ニュアンス コミュニケーションズ オートモーティブ部門 シニア・バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー アーンド・ヴァイル氏は「ニュアンス コミュニケーションズはOpenCar社と協業していくことを決定いたしました。コネクテッドカーのソリューションのためにOpenCar社の持つHMIスタック、アプリケーションのフレームワーク、関連するツールを活用して行くというのが今回の協力関係の目的になります。この関係によりまして、私共はコンテンツをクルマの中に統合していく作業をさらに加速していくことが可能になります。それによって製品を開発し、市場に投入していくための時間を短縮していくことができます。また、これにより一貫したユーザー体験を実現していくことも可能になります。ヘッドユニットに搭載されている機能であっても、クルマの中に持って入るスマートフォンともシームレスな統合が可能になります」と、協業のメリットについて語った。

ニュアンス コミュニケーションズの自動車業界における位置づけ
多くのクルマがニュアンス コミュニケーションズのシステムを採用
自動車メーカーの採用例
Dragon Driveの特長。自動車メーカーそれぞれのカスタマイズができ、40言語に対応する
Dragon Driveはスマートフォンを利用して、クルマがネットワークと"つながる"仲立ちをする
OpenCar ジェフ・ペイン氏

 OpenCar CEO ジェフ・ペイン氏は、OpenCarとニュアンス コミュニケーションズのパートナーシップの主な目的について「将来的なコネクテッドカーの車載システムでは、音声によるインターフェイスが大変重要な役割を持つようになります。今後スマートフォンが果たす役割は大変重要になってくると考えられます。クルマの接続性はもちろん演算のエンジンとして、特定の機能を実現していくことにもつながっていくでしょう。また、ドライバーが誰であるのか、どんな好みがあるのかというパーソナリティの情報を得るためにも必要なデバイスになってくるでしょう」と述べた。

 加えて、ペイン氏は「そうした活用面において、ニュアンス コミュニケーションズは"Dragon Drive"により確立した技術を持っています。OpenCarのフレームワークはリファレンスアプリケーションとともにニュアンス コミュニケーションズの技術と大変よい適合性があると言えると思います。現在開発しておりますリファレンスアプリケーションというのは、今後すべてのクルマに搭載されるものになるベースのアプリケーションになろうかと思います。それをニュアンス コミュニケーションズの技術と組み合わせることによって、例えば自動車メーカーが新しいヘッドユニットを開発し、そのソリューションを迅速に出していくということができるようになりますし、ユーザーが期待するものを満たしつつ、クルマの寿命が尽きるまでメインテナンスのしやすいものにしていくということも可能にする技術の組み合わせだと考えています」と語った。

クルマの中でさまざまなことが体験できる
クルマにはスマートフォンだけでなく多彩な機器の接続要求があるが、車種ごとにカスタマイズしていくのは困難
クルマの価値は徐々に下がっていくが、クルマの中に搭載されるソフトウェアは陳腐化が早い。つまりよりスピーディな開発が必要になる
ユーザーを満足させるためには短期間で終わりなく開発を続けることが必要
OpenCar Connect インフォテイメント・フレームワークは、短期間での開発を可能とする
各開発部隊が並行して作業を行うことができる
ニュアンス コミュニケーションズとのパートナーシップにより開発やメインテナンスがより迅速に行える
OpenCarの開発システム
マツダコネクトのアプリケーションが動作中
こちらは別のシステム。HMIまでエミュレートできるため「実機を作らないと開発が進まない」なんてことがない
リファレンスHMI。操作部分はマツダコネクトのパーツが使われていた

(安田 剛)