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スズキ、全車マイルドハイブリッド採用で車重1t以下の新型クロスオーバー「イグニス」

燃費は25.4km/L~28.8km/L。オプションのメモリーナビはApple「CarPlay」に対応

2016年2月18日発売

138万2400円~177万8760円

 スズキは、コンパクトクロスオーバーの新型「イグニス」を2月18日に発売する。価格は138万2400円~177万8760円。全車で2015年8月に発売された小型乗用車「ソリオ」のマイルドハイブリッドモデルでも使う直列4気筒 1.2リッター「デュアルジェット エンジン」とモーター、CVTを組み合わせるパワートレーンを採用。駆動方式は2WD(FF)と4WDの2種類を用意する。

モデルエンジン変速機駆動方式価格エコカー減税(取得税/重量税)
ハイブリッド MG直列4気筒DOHC 1.2リッター+WA05A型モーターCVT2WD(FF)1,382,400円80%/75%
4WD1,519,560円60%/50%
ハイブリッド MX2WD(FF)1,501,200円80%/75%
4WD1,638,360円60%/50%
ハイブリッド MZ2WD(FF)1,641,600円80%/75%
4WD1,778,760円60%/50%
イグニス ハイブリッド MZ
イグニスの各ディメンション

 ブランニューモデルとなるイグニスは、小型4WD「iM-4(アイエムフォー)」の車名で2015年3月の第85回ジュネーブ国際モーターショーで世界初公開され、その後にイグニスの車名が明らかにされて10月の第44回東京モーターショー2015で実車が披露された。

 スズキの新しい商品群の核となっている軽量・高剛性を実現した小型乗用車向けの新プラットフォームを採用し、ボディサイズは全車3700×1660×1595mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2435mm。車両重量はもっとも軽量なハイブリッド MGで2WDが850kg、4WDが890kg。そのほかのグレードは各30kg増しとなる。それでも最重量モデルでも920kgと1tを大きく下まわり、「ISG(インテグレーテッド スターター ジェネレーター)」によって駆動力をモーターでアシストするマイルドハイブリッドシステムのパワートレーンなどとの組み合わせによって、JC08モード燃費は最軽量モデルのハイブリッド MG・2WD車で28.8km/Lを実現。それ以外のグレードでも25.4km/L~28.0km/Lを達成して全車エコカー減税の対象となる。

 エクステリアデザインは「シンプルアイコニック、シンプルスタンダード」がコンセプト。フロントアッパーグリルがヘッドライトを内在化させつつ左右のフェンダーまで連続する大胆な形状となるが、一方で面構成としてはシンプルでクリーン。「アイコニック(わかりやすく特徴的)なデザイン」を目指した。

 このほかにフロントデザインではスズキSUVモデルのアイコンとしているクラムシェルスタイルのボンネット、「エスクード」との関係性を表現するボンネット両サイドのエアアウトレット風のガーニッシュなどを採用。リアでは「アルト」でも話題となったキックアップするドアラインから連続して力強いイメージを表現する大型のCピラーが与えられた。さらにCピラー後方には、スズキが1970年代に販売していたRRレイアウトの軽自動車「フロンテクーペ」のデザインアイコンとなっていたエアアウトレットを凹面形状で再現している。

 フロントアッパーグリルと一体化して大きな個性となっているヘッドライトは、ハイブリッド MGとハイブリッド MXはマルチリフレクターハロゲン、ハイブリッド MZはハイ/ロー一体型のLEDヘッドライトを標準装備。フェンダーラインはキャラクターラインや上下を絞ったキャビンとの組み合わせで張り出し感を強調し、大径タイヤと180mmの最低地上高によってクロスオーバーテイストを演出する。タイヤサイズはハイブリッド MGが175/65 R15 84H、そのほかのグレードが175/ 60 R16 82Hとなり、16インチタイヤにはガンメタ塗装のアルミホイールがセットされる。

エントリーグレードとなるハイブリッド MG
ハイブリッド MZではヘッドライトがLED化されるほか、LEDポジションランプ、LEDフロントフォグランプなども標準装備する
成形色のモールを大きく使ったリアバンパーでもクロスオーバーテイストを表現
ハイブリッド MGの175/65 R15タイヤ+スチールホイール
ハイブリッド MXなどが標準装備する175/ 60タイヤ+アルミホイール

 ボディカラーには「フレイムオレンジパールメタリック」「ネオンブルーメタリック」「ヘリオスゴールドパールメタリック」という3つの新色を採用し、全8種類をラインアップ。さらにハイブリッド MZでは5色でブラック2トーンルーフが選択可能となる。

新色「フレイムオレンジパールメタリック」
新色「ネオンブルーメタリック」
新色「ヘリオスゴールドパールメタリック」
「ピュアホワイトパール」
「プレミアムシルバーメタリック」
「スーパーブラックパール」
「ファーベントレッド」
「ブーストブルーパールメタリック」
ハイブリッド MZでは5種類のボディカラーにブラック2トーンルーフを設定
スズキのAセグメント向け新プラットフォームでは高張力鋼板や超高張力鋼板などを多用しているほか、フロア下側の骨格部分に連続性を持たせて強度を高め、同時に軽量化を推し進めている
フロントサスペンションは全車マクファーソンストラット式
リアサスペンションは2WD車がトーションビーム式、4WD車がI.T.L(アイソレーテッド・トレーリング・リンク)式を採用。それぞれ従来から多数のスズキ車で採用されてきたものだが、新プラットフォームに合わせて新設計されている

 パワートレーンでは前出のように、直列4気筒DOHC 1.2リッター“デュアルジェットエンジン”のK12C型と、回生発電&駆動力アシストの2役を兼ねるISGのWA05A型モーターを、CVTとの組み合わせで全車に採用。それぞれK12C型エンジンは最高出力67kW(91PS)/6000rpm、最大トルクは118Nm(12.0kgm)/4400rpmを発生。WA05A型モーターの最高出力2.3kW(3.1PS)/1000rpm、最大トルク50Nm(5.1kgm)/100rpmの数値と合わせ、ソリオシリーズの採用品と同スペックだ。なお、ハイブリッド MZではステアリングに備えるパドルシフトにより、7速モードのマニュアル変速が可能となる。

直列4気筒DOHC 1.2リッターエンジン「K12C型」
減速時の回生発電や発進加速時のトルクアシスト、エンジン始動など多彩に活躍するISG「WA05A型」
マイルドハイブリッドの作動イメージ
ハイブリッド MZはパドルシフトを標準装備

 このほか走行に関連して、ボディでは最低地上高を180mmに設定して大径タイヤを採用するほか、前後の対地障害角なども充実させてクロスオーバーモデルとしての基本特性を確保。さらにビスカスカップリング式の4WDでは、角度が急だったり路面状況のわるい坂道を下る場合に車速制御をクルマに任せ、ドライバーがステアリング操作に集中できる「ヒルディセントコントロール」、雪道や泥道など滑りやすい路面で、空転したタイヤにブレーキを作動させ、グリップしているタイヤの駆動力を活用して走り出しをサポートする「グリップコントロール」といった電子制御デバイスを標準装備している。

アプローチアングルは20.0°、ディパーチャーアングルは2WDが38.8°、4WDが38.3°を実現。荒れた路面でも心配せずに走れるロードクリアランスが魅力の1つとなる
「ヒルディセントコントロールの作動イメージ
「グリップコントロール」の作動イメージ

 インテリアもエクステリアと同傾向で、ホワイトやオレンジなどの加飾パネルを大胆に配置する一方で、水平基調のダッシュボードはシンプルなラインや面構成で形作られている。円筒形状のボディとトグルスイッチを組み合わせたエアコン操作パネルは、車内に“未来感”を与える演出効果を持つ。内装色はハイブリッド MGが「ブラックインテリア」、それ以外のグレードでは、ボディカラーに合わせてセンターコンソールやドアグリップがオレンジ色に塗装される「オレンジインテリア」、センターコンソールやドアグリップがチタンカラーに塗装される「チタンインテリア」のいずれかが設定される。

ハイブリッド MZのインパネデザイン。ダッシュボードの下側やドアトリムなどがホワイト塗装になっている
中央に大型のスピードメーターをレイアウトする自発光タイプの2眼式メーター。右側にマイルドハイブリッドのエネルギーフローや平均燃費、航続可能距離などの表示が可能なマルチインフォメーションディスプレイを設定する
特徴的な形状で、スイッチ類も大きく使いやすそうなエアコン操作パネル
ハイブリッド MZのキャビン。前後乗員間距離は765mm
センターコンソールのパネルには、Cピラー後方にもあるエアアウトレット調のデザインモチーフを設定
「オレンジインテリア」
「チタンインテリア」
ハイブリッド MGの内装色は「ブラックインテリア」のみを設定
ラゲッジスペースの開口部。車体に対してハッチが小さいデザイン

 リアシートには新型ソリオにも投入されたアイデアが使われ、シートバック上部に設置された2つのノブで、前後スライドやリクライニング、フロントダイブダウンといった操作がラゲッジスペース側からでも行なえるスタイルとなっている。リアシートの前後スライド量は165mm。5:5分割でスライドや格納に対応し、ラゲッジスペースの容量は、リアシートを後端で固定した場合に133L、前端で固定した場合に258L、両側ともにチルトダウン格納したフルラゲッジ状態で415Lとなる。

ラゲッジスペースはリアシートの前後スライドや格納によってさまざまな使い方に対応する
フロア下のサブトランクは、2WD(左)のほうが広く、深さもある
フロントウィンドウ内側に設置されるDCBSのステレオカメラ

 装備面では、ステレオカメラで「衝突被害軽減システム」「誤発進抑制機能」「車線逸脱警報機能」などを機能させる先進運転支援システム「デュアルカメラブレーキサポート(DCBS)」を全車にオプション設定。全車でオーディオレス仕様が基本で、「全方位モニター付メモリーナビゲーション」がメーカーオプション設定となる。フルセグTV、DVD/CDプレーヤー、AM/FMラジオ付きでBluetooth接続によりスマートフォンなどのハンズフリー通話も可能なメモリーナビゲーションでは、ボディの前後左右4カ所に追加したカメラによる映像を俯瞰位置からのように表示できるほか、Appleの「CarPlay」に新対応。iOSの音声アシスタントサービス「Siri(シリ)」を活用して、車内でiPhoneなどを安全・快適に利用できる。

7インチ画面を持つメモリーナビゲーションはAppleの「CarPlay」に新対応。音声での操作にも対応し、使い勝手が大きく向上する
メモリーナビゲーションは、ボディの4カ所に設置したカメラの映像を俯瞰イメージで表示できる「全方位モニター」の機能もセットとなる

【お詫びと訂正】記事初出時、「デュアルジェット エンジン」の説明に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。

(編集部:佐久間 秀)