試乗記
日産「ノート オーラ オーテック」は“プレミアムスポーティ”を具現化した1台
2024年10月15日 00:00
NMC(日産モータースポーツ&カスタマイズ)からノート オーラのAUTECH(オーテック)版がリリースされた。ノート オーラをさらにAUTECHでアレンジした最上級モデルになり、4WDと2WDが設定される。複雑なのは同じAUTECHでもノートは車高を上げたCROSSOVER(クロスオーバー)があるのに対し、ノート オーラ オーテックでは車高をそのままにしてノート オーラの上級モデルとしたことだ。
試乗車はNMCのある湘南の海をイメージした深いブルーメタリックカラーの特別色で、この地から発信するクルマ作りへの思いを込めたとされる。
エクステリアではフロントグリルに海の煌めきをイメージしたドットパターンを配し、それをシルバーのフロントスポイラーで引き立て、アクセントとしてその両サイドに置かれたブルーのシグネチャーLEDが遠方からでもAUTECH仕様と分かる。
AUTECH専用の17インチホイールは、従来の幾何学的デザインから放射状の輝きある造形で他のオーラと差別化が図られた。エクステリアも華やかに装っている。
インテリアはブルーのステッチが室内を引き締める。レザーシートにはこのステッチとAUTECHマークが入り、ブルーをアクセントにした本革ステアリングホイール、ダッシュボードと同様のダークウッドのコンソールパネル、ブラックのレザードアトリムなどを使いエクステリアと合わせたAUTECHらしい高級感を出している。
シートは表皮形状が変わったためか、着座面がこれまでよりも大きく感じる。微妙だがクッションストロークも増えた気がするのは形状の微妙な違いだ。ドライビングポジションはやや高めで、コンパクトなボディサイズ4085×1735×1525mm(全長×全幅×全高)もあって直前視界も開けている。特にアナログスイッチでもオンできるサイド、前方、後方を映し出すカメラは重宝する。アラウンドビューモニターをいち早く実用化したメーカーらしい。
操作系は従来のノート オーラと変わらずステアリングスポークの右スイッチでプロパイロットの操作、左でディスプレイとオーディオの操作ができ、シンプルにできている。またセンターディスプレイの操作系もアナログスイッチから入れ、分かりやすく階層に入れる。個人的にはこのくらいの操作性が分かりやすくてありがたい。
試乗車はFF。1.2リッターの60kWの発電用3気筒エンジンから100kW/300Nmのモーターに電力を供給する。重量は1270kg。リアに50kW/100Nmのモーターを持つ4WDよりも90kgほど軽い。
トータル出力では4WDの駆動力が大きいがFFは重量が軽い分、軽快で発進加速もけっこう力強く、中間加速も高速の合流でも必要十分だと感じた。ステアリングの操舵力も軽く、その応答性も4WDより若干早く反応する。ドライ路面ではFFを軽快に感じる人も多いと思う。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビームでオーソドックスなレイアウトだが、乗り心地では4WDと比較すると上下ストロークが滑らかだ。初期型から感じる連続した荒れた路面でリアが多少バタバタする癖は変わらないが、こちらもマイルドになったように感じる。大きな凹凸は突き上げ感があるものの、Bセグメントとしては納得のゆく乗り心地になっている。
ハンドリングは前述のように軽いフットワークが身上で、コーナーでの前後のロールも適切でRの強い首都高速でも安定した姿勢でややアンダーステアを出しながら旋回する。安定感のあるコーナリングで、装着タイヤはブリヂストンのTURANZA T005A。サイズは他のオーラと同じ205/50R17を装着する。ややスポーティで剛性感のある特徴を持つ。
ドライブモードはECOとNORMAL、SPORTの3種類から選べる。NORMALは回生ブレーキを強く使わず、アクセルオフではガソリン車と同じレベルでガソリン車から乗り換えても馴染みやすい。一方ECOは回生ブレーキを積極的に使い減速Gが大きい。ワンペダルドライブはできないが、アクセルペダルだけのコントロールは慣れるとイージードライブができる。SPORTはアクセルレスポンスが高くなるが過剰ではなく、日常でもスポーティで使いやすい。好みでどれを選択してもそれなりに反応してくれる。
ちなみに自分は回生ブレーキを積極的に使え、アクセルレスポンスが普段使いでも不便さを感じないECOが好みに合っていた。さらにアクセルオフで減速を使いたい時はBレンジに入れると強い回生ブレーキが使えて市街地や山道ならBレンジも有効利用できそうだ。
ブレーキシステムはフロントがベンチレーテッド、リアがドラム式。どのグレードも共通で2WDも4WDでも変わりはない。ストップ&ゴーの多い市街地ではブレーキタッチも素直で使いやすい。またオートパーキングブレーキも備わり少し深く踏めば自動的パーキングブレーキがかかるのも便利。長い下りや高速からの制動を考えるとリアもディスクがほしいところだが安定性は良好だ。
ノート オーラはパワーシートやオーディオ系を初めとした快適装備、そしてプロパイロットをはじめとした先進安全装備も充実しており、大きくなったCセグからのダウンサイジングの受け皿としても対応できるポジションを築いた。日産では今後も熟成を重ねながら進化していくと明言しており、日産の日本における基幹車種となっている。