試乗記
スズキ「Vストローム250SX」に長距離試乗してみた
2025年8月13日 08:00
スズキのスポーツアドベンチャーツアラー「Vストローム250SX」
スズキのスポーツアドベンチャーツアラー「Vストローム250SX」に、総走行距離約270kmと比較的長距離を試乗する機会を得たので、その印象をお伝えしたい。
「Vストローム250SX」は、国内では2023年より発売された油冷の単気筒249cm3エンジンを搭載するアドベンチャーモデル。モデル名にある「SX」は、S:スポーツ、X:クロスオーバーの略となっている。
今回、日本自動車工業会の二輪車委員会が7月11日に開催した二輪車メディアミーティングに参加するために、「Vストローム250SX」を借り出した。
当日は、首都高速道路の新郷IC(インターチェンジ)から高速道路を使用し、中央自動車道八王子ICからは一般道路を使いながら、目的地である「宮ヶ瀬ヴィレッジ」(神奈川県愛川町半原2574)を目指した。イベント終了後、帰りは東名高速道路の横浜町田ICから高速道路を使い、首都高速道路の新郷ICまで走行。1日でおよそ200kmを走った。
1日で200kmと比較的長距離を走行して、走行後の疲労感が少なく、ライダーの体に優しいバイクだと感じた。
Vストローム250SXのシート高は835mmで、身長169cmの記者では足先がツンツンとなってしまうのは仕方がないが、装備重量164kgという軽量な車体により、“タチゴケしてしまうかも”といった不安は感じなかった。走る、曲がる、止まるといった基本操作については、例えば「ジクサー250」のようなネイキッドスタイルのバイクから乗り換えても違和感が少ないだろうと感じられる操作性だった。
高速領域での走行性能についても気になる部分であるが、首都高の江北JCT〜板橋JCTのアップダウンの激しい区間を走っても、十分な性能を持っていることが確認できたし、中央自動車道に入ってからの平坦な区間であれば、ほぼ6速に入れっぱなしで走ることができる。また、90km/h前後を6速で巡航時、そこからアクセルをひねればさらに加速しようという余裕も感じた。
高速道路を走行後に感じたのは、体の疲労感が少ないこと。速度80km/hを超える領域で1時間〜2時間と走行風に当たっていると、やはり体は疲れてしまうものだが、Vストローム250SXに採用されているウインドスクリーンなどの防風性が効いているのかもしれない。
東京都内を中心に一般道路を約60km走ってみた
二輪車メディアミーティングの翌日、一般道路での印象も確かめたく、東京・表参道を目指して都内を中心に約60kmを走ってみたところ、「これは快適だ」という点が特に印象に残った。
この“快適さ”の要因を紐解くと、舗装の荒れた路面や道路の継ぎ目を走行してもライダーに伝わる振動やショックが柔らかく、これが走行後の疲労感の少なさにつながっているのではないかと思う。
Vストローム250SXのタイヤサイズを確認すると、前輪が100/90-19M/C 57S、後輪が140/70-17M/C 66S。スポーツモデルで採用するサイズと比較すると、扁平率の高いタイヤが採用されている。
Vストローム250SXはアドベンチャーモデルとして、未舗装路を考慮に入れたタイヤやサスペンションを採用しているが、こうしたタイヤサイズやサスペンション設定の恩恵は都心を走っても感じることができた。
最後に燃費の数値を確認しておきたい。Vストローム250SXのWMTCモード値での燃費は34.5km/L(クラス3、サブクラス3-1、1名乗車時)と公表されている。
二輪車メディアミーティングに参加した7月11日の燃費は、200.9kmを走行して燃費計の数値で39.1km/L。翌7月12日は都内の一般道路を65.4km走行して34.3km/Lであった。広報車両を借りた期間の総走行距離は271kmで、トータルの燃費は37.8km/Lとなった。
Vストローム250SXの燃料タンク容量は12L。車両を返却する前の給油時には、6ブロック表示の燃料メーターが3ブロック残っており、まだまだ走れる余裕のあるツーリングであった。
Vストローム250SXの価格は59万1800円。スズキの250ccクラスには、Vストロームシリーズとして「Vストローム250SX」に加えて水冷2気筒エンジンの「Vストローム250」があり、スポーツバイクの「GSX250R」「ジクサーSF250」やネイキッドスタイルの「ジクサー250」など、幅広い選択肢が用意されていることに気づく。
そうしたラインアップの中で「Vストローム250SX」は、扱いやすい重量と乗り心地のよさから、日常のちょっとしたお出かけにも使いたくなる一台。一度乗ればその印象が変わるモデルではないかと感じた。










