試乗記
都市型SUVホンダ「ヴェゼル」追加グレード「e:HEV RS」初試乗 4WDはBセグを越えた乗り味だった!
2025年12月29日 08:00
ローダウンスプリングなどで全高1545mmを実現
アーバンスポーツSUVをグランドコンセプトとした「ヴェゼルRS」が登場した。現行ヴェゼルは2021年4月にフルモデルチェンジを行ない、2024年にマイナーチェンジ。そして2025年10月に今回のRSを追加したのがこれまでの流れだ。
ベーシックモデルと新しいRSとの違いを感じるのはまず顔つき。ボディ同色としたグリルまわりがヴェゼルのそもそもの特徴だったが、今回のRSはブラックアウトされた新形状のグリルを全面に押し出すことでスポーティな演出を行なっている。
それに合わせてエアロやミラーもブラックになり、かなり引き締まったスタイルだ。加えて全高がかなり低く、シャークフィンアンテナは廃止。代わりにリアガラスにはプリントアンテナを入れ込んでいる。SUVでありながらも見た目の安定感は増した。
このスタイルを実現できた理由は足まわりにあり、15mmダウンのスプリングを入れている。また、シャークフィン廃止とこの車高ダウンによって全高は45mmダウンとなり、結果1545mmの全高を実現。これで都市部のタワーパーキングの高さ制限問題もクリアした。
で、ローダウンスプリングを採用するということはスプリングのバネレートを引き上げたのかと思いきや、今回はレートのアップをせず、15mm短く硬質にしたバンプラバーを新たに開発したことでストロークを確保したという。
ショックアブソーバーは特性を見直して引き締めているそうで、これに合わせてタイヤはブリヂストン「アレンザ」からミシュラン「プライマシー4」に変更。パワーステアリングの特性も見直しを行なったというこだわりようだ。
そんなヴェゼルRSに乗り込むとインテリアもまたかなりスポーティな雰囲気だ。ルーフライニングがブラックアウトされたその空間は、ステアリングやシート周りにレッドステッチを与えていてスポーティ。シートを専用としたコンビシート(ブラックスムース×ファブリック×レッドステッチ)が与えられており、滑りにくく仕上がっているところがいかにも走りを意識したクルマらしい仕上がりだ。
タイヤまで含めてトータルで見直した効果とは
さて、まずはFFモデルを走らせてみると、最初に感じたのはステアリングのしっかりとした感覚だった。程よく重いフィーリングは、路面状況をきちんと感じさせてくれるものだ。足まわりはかなりフラットな感覚で、首都高速のワインディング区間でヨタヨタするようなこともなく、無駄な動きを一切排除した感覚がある。けれども路面の継ぎ目や荒れたシーンで突き上げるようなこともない。タイヤまで含めてトータルで見直した効果がそこにある。乗り心地がやや硬質な印象があるが、同乗者がいたとしても不満が出ないレベルには収められている。
今回の試乗はそれで終わらない。RSエンブレムを掲げる初めての4WDモデルこそチェックしておきたい1台だ。ベースモデルの4WDは悪路を意識しすぎたせいか、オンロードの荒れた路面で動きが収束しなかったり、ワインディングに行くと対角に動きすぎたりで、どうにも落ち着かないイメージがあった。そこをどう払拭したかが興味のポイントだ。
走ればFFモデルのようにフラットな乗り味はそのままに、乗り心地にマイルドさが加わったところが絶妙に感じた。カドが丸くなったかのようなフィーリングは好感触だ。これはリアのバネ下重量やトラクションをかけた時の動きの違いによるところなのだろうが、いずれにしても走りと乗り心地を共存したそのサジ加減はこれまでにないオトナなクルマに感じられる。BセグメントSUVでありながらも、その大きさ以上のクラスに乗っているような感覚がそこにある。
ここまで乗り味がいいと、動力性能自体が高められなかったところが少し残念ではあるが、それは次へのお楽しみといったところか!? バッテリ残量が少なくなってくると、アンダーパワーに感じられてしまうところが見え隠れするだけに、次はe:HEVのスポーツ化も欲しくなってきた。そう感じさせるのは、ヴェゼル e:HEV RSのシャシーが豊かすぎた裏返しでもある。



















