試乗記
「MCプーラ」と「GT2ストラダーレ」で感じた、マセラティが築き上げてきたモータースポーツエッセンスとは?
2026年2月18日 11:39
独自の取り組みで国内販売年間800台を目指す
マセラティがレースに参入してちょうど今年で100年になる。そんな絶妙なタイミングで、まさしくそれに相応しい「MCプーラ」と「GT2ストラダーレ」というレースに近い関係にあるモデルが日本に上陸し、その上陸したばかりの両車をサーキットで試乗するという、願ってもない機会に恵まれた。
マセラティ ジャパンの木村隆之代表によると、マセラティは2025年には日本で750台を販売したという。ただし、これには「ギブリ」や「レバンテ」といった絶版モデルの在庫も含まれていて、圧倒的に多数を占めたのは、やはりSUVモデル「グレカーレ」だった。一方で、「MC」や「グランツーリスモ」「グランカブリオ」といったモデルも、それぞれ売れている。
それに対し2026年の計画としては、ギブリとレバンテはもうソールドアウトで、今回紹介するMCプーラやGT2ストラダーレといったニューモデルや、新しいエキゾーストが装備されたグランツーリスモやグランカブリオ、もちろん主力のグレカーレの拡販を狙い、台数としては800台を目標にするという。
ラインアップが減ったのに強気な理由として、独自の販売戦略がある。詳しくは今後発表される情報を参照していただきたいが、現時点でも3年後にマセラティに必ず買い替えるという顧客には、とても有利な残価を保証するなどしていて、さらに他社ではやっていないような販売方法を今後、考えているのだというから楽しみだ。
ニューラインアップについてざっくり触れると、MCプーラは「MC20」のマイナーチェンジ版となり、GTカーとしての要素も兼ね備えたスーパースポーツとなる。もう1台のフラッグシップのGT2ストラダーレは、GT2というGT2チャンピオンシップに参戦するための究極的なレーシングカーがあり、そのGT2マシンに限りなく近く、公道走行を可能としたレーシングマシンに近いモデルという位置づけとなる。
よりシャープになったMCプーラ
MC20のときもそうだったが、いわゆるスーパーカーセグメントに属するクルマでありながら、マセラティらしく極めてすぐれた乗り心地も印象的だった。今回のMCプーラも、まだ公道では乗っていないが、おそらくそうに違いないことはサーキットを走ってもうかがい知れた。
搭載されるF1由来のプレチャンバー(副燃焼室)燃焼システムを採用したV型6気筒3.0リッターエンジン「ネットゥーノ」は、ターボでありながら圧縮比が高く、レスポンスがいいのが特徴だ。
自然吸気のようなリニアなアクセルレスポンスと、ターボらしい盛り上がり感のある加速を兼ね備えていて、レッドゾーンの8000rpm強まで、勢いを衰えさせることなく回る。サウンドもV6としては重厚で、なかなか迫力がある。スポーツモードを選択すると、加速フィールもサウンドも相応に変わる。
スーパーカーオーナーの中には、眺めているだけで年間1000kmほどしか走らないという人も少なくないそうだが、マセラティは違って、日常的に使いたいというユーザーに乗ってもらえているという。実際クルマ自体もそのとおり、普通にも乗れて楽しめるドライバビリティや取りまわし、パッケージを備えている。
前作のMC20に乗ったときにも最初に感じたのは、乗りやすさとバランスのよさだった。こんなに快適に乗れて、スーパーカーらしい刺激的な雰囲気も味わえてしまうクルマなどない。その思いが今回MCプーラに乗って再燃した。見た目だけでなく走りもより力強くシャープになり、よりスポーツカーとしての部分がうまく引き上げられている。
あえて標準ではカーボンブレーキにしていないところもMCプーラらしいポイントで、日常での扱いやすさや音を優先したということだろう。
ドライブしたのは、コンバーチブルの「チェロ」だったので、せっかくだから途中から開けてみた。開けた姿がカッコイイのもチェロの特徴の1つだ。サイドウインドウとリアウインドウを上げると、風の巻き込みが一気に軽減されることにも驚いた。
地を這うようなコーナリングを実現するGT2ストラダーレ
前述のとおり、そのMCプーラとGTレースに復帰するために開発されたレーシングカーの「GT2」の中間に位置するのが「GT2ストラダーレ」だ。カタログモデルとレーシングカーの要素を融合させ、極限のパフォーマンスを持ちながら公道も合法的に走れるというモデルとなる。
開発はマセラティGT2のチームが手がけており、エンジンパワーを増強させるとともに、車両重量の軽減、ダウンフォースを向上させることでその性能を一段と引き上げている。
エンジンはドライサンプ化されたV型6気筒3.0リッターツインターボで、最高出力はMCプーラよりも10PSアップした640PS、最大トルクは逆にMCプーラより10Nm抑えられ720Nmを発揮する。MC20比で実に合計59kgもの軽量化にも成功しており、それは数値以上にドライビングパフォーマンスに与える影響が大きく、このカテゴリーにおいてもっとも俊敏な後輪駆動車となっているという。
イタリア北部に位置するバロッコのテストコースでは、わずか10PSしか違わないMC20が記録したラップタイムを5.5秒も上まわる結果を叩き出したというから相当なものだ。
このラップタイム短縮に大きく貢献したのが高いダウンフォースだ。たしかにサーキットを走っても、まさしく地を這うようなコーナリングを体感できた。この感覚は他ではなかなか味わえないものだ。
刺激的でありながらあくまで扱いやすく、スリリングなのに乗っていて安心感があり、とてもハイパフォーマンスなのにどこか控えめなところもある。そんな器用なスーパースポーツを作れるのはマセラティしかないんじゃないだろうか。









































