試乗記
【ステランティスのフレンチブランドイッキ乗り】シトロエン「C5 エアクロス」 個性的なデザインの“魔法のじゅうたん”
2026年6月18日 07:00
ステランティスが擁するフレンチブランド、「プジョー」「シトロエン」「DS Automobiles」の最新モデルがそろう試乗会が行なわれた。同じフランス生まれのブランドではあるが、1日に乗り換えるとこんなにも別の個性があるのかと驚かされる。
今回は、1925年から10年間もエッフェル塔に巨大な「CITROEN」のイルミネーション広告を展開するなど、いつの時代もエッジィな印象のあるブランド、シトロエンが2026年4月にリリースした新型「C5 AIRCROSS」をレポートする。
まずは、大胆にイメージチェンジしたエクステリアデザイン。シトロエンが掲げる新しいデザイン言語と最小限の空気抵抗を両立して設計された滑らかなエアロフォルムは、ボディサイドを貫くようにくっきりとしたキャラクターラインが施され、足下には大径19インチホイールを履かせてSUVらしい存在感も手にしている。
フロントマスクは、先代のどこか温もりのある柔らかな印象から大変身。水平基調のシャープでモダンな顔つきは、シトロエンのフラグシップモデルらしい車格を物語る。そこに、3つのセグメントに分割されたシグネチャーライトが配され、周囲の環境に応じて最適な配光を行なうLEDマトリクスヘッドライトとの組み合わせで、先進的な印象もプラスされている。
そして、シトロエンらしい独創的なデザインはリアにまわるとよくわかる。3本のラインを組み合わせたテールランプは、近くで見ると手でつかめるかと思うくらい“飛び出て”いるように見える。これは2022年のパリモーターショーで発表された「Oli concept(オリ コンセプト)」の提案による思想を受け継ぐ「Citroen Light Wings(シトロエン ライト ウイングス)」。環境負荷低減に貢献し空力性能の向上にも効果的だという。フロントマスクと同じように大きなシトロエンエンブレムが中央に置かれ、そこから左右に羽のように広がって奥行きを感じさせる立体的な光の表現は、まさに最新シトロエンにふさわしく洗練されたリアビューを実現している。
インテリアは低く直線基調のダッシュボードに縦型13インチのウォーターフォールスクリーンが置かれたシンプルな造形で、さらにモダンな空間に進化。でもただシンプルなだけではないのがシトロエンらしいところで、シートは見るからにふっくらと心地よさそうなクッションと、個性的な模様が気分を上げる。試乗車のグレードは「MAX HYBRID」で、そこにはシトロエン最上級仕様のアドバンスコンフォートシートが採用されている。このグレードのインテリアは“乗る人すべてを柔らかく包み込む快適性”をテーマとした「C-Zen Lounge(シー ゼン ラウンジ)」をコンセプトに設計されているということで、視界が広くてリラックスできる空間だ。
さらに新型C5 エアクロスのボディサイズは4655×1905×1710mm(全長×全幅×全高)で、先代より全長が165mm拡大している。その恩恵は2列5人乗りとなる室内空間の拡大に寄与しており、後席の足下スペースは50mm広く、頭上は68mmゆとりが増えているという。MAX HYBRIDでは後席にもシートヒーターが装備され、上級SUVらしい快適性を手にしている。
またラゲッジスペースは5人乗車時でも565Lの大容量。後席を倒せばさらに広がるが、実用性一辺倒にしないのもシトロエンらしさで、MAX HYBRIDではリアガラスにさりげなく、パリを象徴する情景をモチーフとしたグラフィックを施し、光の差し方によって表情を変える演出があるという。またグローブボックスの内側にも、オーナーがちょっと嬉しくなるような仕掛けがあるらしい。
さて、直列3気筒1.2リッターターボ+電動モーターのハイブリッドは、しっとりとした接地感とともに軽やかに走り出した。路面の凹凸をうまくいなし、後に引かせないところはシトロエン独自のサスペンション「PHC(プログレッシブ・ハイドローリック・クッション)」をはじめ、新世代プラットフォームのできのよさと、座面に伝わる振動を抑えるアドバンストコンフォートシートの恩恵も大きいはずだ。ステアリングフィールにも落ち着きがあり、高速道路での乗り心地も安定していて快適。後席での試乗では、ほどよいフィット感があって思わずウトウトと寝落ちしてしまいそうな心地よさがあった。
独創的でエッジィなデザインやインテリアに五感を刺激されながら、走れば優しさに包まれる。C5 エアクロスはそんな、特別な体験を日常で味わいたい人に乗ってほしいSUVだ。




















