試乗記

【ステランティスのフレンチブランドイッキ乗り】プジョーのフラグシップ「5008」 3列シートの7人乗りSUVの走りは?

プジョー「5008 HYBRID」

 ステランティスが擁するフレンチブランド、「プジョー」「シトロエン」「DS Automobiles」の最新モデルがそろう試乗会が行なわれた。同じフランス生まれのブランドではあるが、1日に乗り換えるとこんなにも別の個性があるのかと驚かされる。

 今回は、2026年2月に新しくなった、7シーターSUVのプジョー「5008 HYBRID」をレポートする。

DS Automobiles「N°4」、プジョー「5008」、シトロエン「C5 エアクロス」にイッキ乗り。今回はプジョー「5008 HYBRID」のインプレッションをお届け

 長らく、ライオンが前足を突き出すような姿のエンブレム「ライオン・アウトライン」でなじみのあったプジョーが、凛々しくたてがみがなびくようなフェイスのモダンなエンブレムに変更となってから5年あまり。新型5008の堂々として伸びやかなスタイリングと、猫科の猛獣を思わせる鉤爪のようなLEDポジションランプや、緻密な立体の連なりで形成されるブラックグリルのフロントマスクに、あらためてとても似合っていると感じた。

 2列5人乗りSUVとなる「3008」の3列バージョンという位置付けの新型5008は、ボディサイズでは先代より全長が17cm延び、全長4810mm、全幅1895mm、全高1735mmと、同じ3列シートSUVの三菱自動車「アウトランダーPHEV」より全長と全幅がやや大きい。3008と比べると全高が7cmほど高くなっており、先代でも広い室内空間や積載性の高さが好評だったということで、そこをさらなる強みにして進化してきた。

試乗したモデルはアルカンターラシートのオプションを装着したプジョー 5008 GT HYBRID アルカンターラパッケージ。ボディサイズは4810×1895×1735mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2900mm、車両重量は1740kg
19インチアロイホイール[YARI]を装着。タイヤはミシュラン「e-PRIMACY」(225/55R19)を採用
ライオンの爪痕をモチーフにしたLEDデイタイムランニングランプ、立体造形の3本のリアLEDランプを採用し、モダンかつスタイリッシュにブランドの世界観を表現

 注目したいポイントとしては、まず2列目シートが4:2:4分割の独立可倒式で、前後15cmのスライドやリクライニング機構もあり、多彩なアレンジが可能となるところ。シート全体が大きく前方に傾くチルト機構もあり、3列目シートへのアクセスもスムーズになっている。3列目シートは5:5分割で倒すことができ、最大1815Lのラゲッジスペースを確保。人と荷物に合わせたフレキシブルな使い方ができるようになっている。

 さらに、エアコンは前席と後席で独立して温度設定が可能な3ゾーンタイプで、2列目シート側にも操作パネルを設置。2列目の窓にはロールサンシェードも装備されており、2列目のドアトリムまで広がるアンビエントライトもムーディーな室内空間を演出する。スライドドアこそないが、以前の欧州車のような実用性重視の空間から脱し、ミニバンのような快適装備がそろっていることに感心した。

 そして運転席に座ると、スクリーン表面がゆるやかにカーブして助手席側にまで達する、21インチのパノラミックカーブドディスプレイが広がっている。これはプジョー独自の「PEUGEOT Panoramic i-Cockpit」で、これまでのi-Cockpitと同様にステアリングホイールの外側から見る位置関係は変わらないが、あらゆる情報が格段に見やすくなっている。助手席とをしっかりと隔てるセンターコンソールも斬新なデザインで、コクピット感がありながら物理スイッチやドリンクホルダーといった機能性を確保。ツイード生地のような素材もセンスがよく、フレンチブランドらしい世界観が感じられた。

5008 GT HYBRIDのインパネ
ドライブモードの切り替えスイッチも設定
プジョー独自の「i-Cockpit」が進化し、21インチのパノラミックカーブドディスプレイと、タッチパネル式のショートカット操作パネル「i-Toggle」を採用
7人乗りの3列シート。試乗した車両はアルカンターラパッケージなのでブラックアルカンターラ/ブラックテップレザーとなるが、標準車はブラックファブリック/ブラックテップレザーシートを採用する
ラゲッジスペースは5人乗車時で約748L、2列目シートバックを倒せば最大約1815Lまで拡大可能(どちらもVDA方式)

 もう1つの注目ポイントである、直列3気筒1.2リッターターボエンジンと電動モーターの最新ハイブリッドシステムは、Cセグメントの欧州SUVではベストとなる18.4km/L(WLTCモード)の低燃費を達成している。これは低速時には100%モーター走行も可能としている恩恵が大きいということだが、車両重量が1740kgあるボディに、わずか1.2リッターの排気量でこと足りるのだろうかとやや疑問に思いつつ、走り出した。

最高出力100kW(135PS)/5500rpm、最大トルク230Nm/1750rpmを発生する直列3気筒DOHC 1.2リッターターボエンジンを搭載し、トランスミッションには6速ATを採用。さらに、最高出力16kW、最大トルク51Nmのモーターで走りをアシストする

 ところが、アクセルを踏み込んだ瞬間からボディの大きさなど微塵も感じさせないスムーズな加速フィール。6速デュアルクラッチATとのマッチングがいいのか、一般道では加減速のコントロールがしやすく、ハンドリングがシャープでキビキビと走るのが楽しい。高速域でも音が唸るようなことはなく、再加速も余裕でモーターの恩恵をしっかり受けていると感じる。路面への当たりはやや硬めで、高速道路の継ぎ目などでバタバタとするシーンもあり、あまりしっとりとした乗り心地を期待する人にはおすすめできないが、3列シートSUVでも手の内にある操る楽しさを求める人にぴったりの1台だ。

大きなボディながら余裕のあるシャープな走りを味わえる
まるも亜希子

まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト。 映画声優、自動車雑誌編集者を経て、2003年に独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、エコ&安全運転インストラクターなども務める。海外モーターショー、ドライブ取材も多数。2004年、2005年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ジャーナリストで結成したレーシングチーム「TOKYO NEXT SPEED」代表として、耐久レースにも参戦。また、女性視点でクルマを楽しみ、クルマ社会を元気にする「クルマ業界女子部」を吉田由美さんと共同主宰。現在YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」でさまざまなカーライフ情報を発信中。過去に乗り継いだ愛車はVWビートル、フィアット・124スパイダー、三菱自動車ギャランVR4、フォード・マスタング、ポルシェ・968、ホンダ・CR-Z、メルセデス・ベンツVクラス、スズキ・ジムニーなど。現在はMINIクロスオーバー・クーパーSD。

Photo:安田 剛