試乗記
日本で1番、世界で2番目に売れているボルボ「XC40」の魅力とは? 街中とワインディングで改めて確認してみた
2026年7月15日 06:40
ボルボXC40の公道試乗会が開催された
イヤーモデルとして、機能的な変更があったり、内外装が変わったということではない。
今もなお日本で一番売れ続けているモデルとして、純粋にその魅力を訴求したいという、面白い試乗会だ。テストドライブといえば新型車が登場したときや、変更があったときに行なわれるのが常だけに、熟成したモデルの走りを確かめられるのは大変興味深い。
ちなみにXC40がワールドローンチされたのは、2017年のイタリア。日本上陸は2018年3月と、今から8年も前のモデルになる。
その間にプラグインハイブリッドモデル(MY20後期)とマイルドハイブリッドモデル(MY21)が導入され、2022年には、フェイスリフトと共にピュアEVとなる「XC40 Recharge(リチャージ)」をラインナップ(MY22後期。後に名称をEX40へと変更)。
さらには世界初のGoogleインフォテンメントシステム導入、BEV導入によるプラグインハイブリッド車の廃止など、積極的にデジタル化と電動化への道を歩んできた。
その要となったのは内燃機関と電動化を両立するCMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャ)プラットフォームだ。この土台があることでXC40は、長いライフサイクルを通して細かく時代に対応してきたといえる。
ということでXC40は、前述の通り現在でも「日本で一番売れているボルボ」であり続けている。2024年では全体の32%、25年も30%、今年の4月までの販売台数でも32%と好調が続いている。ちなみにグローバルではXC60が最量販車種だが、2位は同じくXC40だ。
よってボルボ・カー・ジャパンは、現在でもCM活動を行なうなど、積極的にXC40の販売促進活動を進めているのである。
用意された試乗車は、48VマイルドハイブリッドモデルのFWD仕様となる「B3」と、四輪駆動の「B4 AWD」の2台。グレードはどちらも、装備が最も充実した「Ultra(ウルトラ)」だ。
ちなみに、この試乗会が行なわれる直前にB4は装備を見直し、2027年モデルからは特別仕様車「XC40 Ultra B4 AWD Selection」となっている。
最初にステアリングを握ったのはハイパワーモデルの「B4 AWD」。
そのアーキテクチャは、197PS/300Nmを発揮する直列4気筒ターボと、8.5kW(約11.5PS 定格出力は6.1kW)/29Nmを発揮するISGM(ベルトドライブ式モーター)の組み合わせだ。
ちなみに後輪は、プロペラシャフトからの動力が、湿式多板クラッチを介して伝えられる。いわゆるコンベンショナルな、FWDベースの4WDである。
街中を走り出すB4 AWDの乗り味は、実に滑か。そして快適だ。
ややアップライト気味なシートポジションは見晴らしが良く、電動パワステの操舵フィールも適度な軽さで取りまわしが非常にいい。カーブでは滑らかに19インチタイヤを転がし、ロールも少ない。穏やかで優しいのに安心感のある乗り味は、まさにボルボのテイストだ。
というか、XC40って、こんなに乗り心地良かったかしらん? 欧州車メーカーではよくあることだが、ダンパーの制御やブッシュコンプライアンスといった、細かな部分がアナウンスなしで磨き上げられているのかもしれない。
エンジンも、決して速くはないけれどトルキーで心地よい。車外では“カタカタ”と動弁系まわりの音が聞こえたけれど、ドアを閉めれば車内は静か。ストロングハイブリッドほどのEV感はないが、ターボとモーターの融合トルクがほどよい厚さで、街中ではほぼ2000rpm以下で事足りる。
そしてアクセルペダルを踏み込めば“ブーン!”と、今となっては懐かしくすらある、直列4気筒ターボの元気な吹け上がりが楽しめる。このメリハリの効いた感じは、ヨーロッパ車らしくていい。
当日はガソリン満タンからのスタートができず燃費計測はしなかったが、ミラーサイクルエンジンにバリアブル・ノズル・タービンの組み合わせで14.2km/L(B3は14.8km/L 共にWLTC値)というカタログ燃費だけは、頑丈なボディと4WDシステムを考えれば仕方ないかもしれないが、正直現代的には見劣りする。
ボルボはBEV化への“全振り”をいち早く決定したメーカーで、すでに内燃機関の開発はストップしている。昨今の状況から2030年までにBEVのみのラインナップにするという目標を「世界販売台数の90~100%を電動化車両とすることを目指す」と修正し、残りの10%を限られた数のマイルドハイブリッドで補うとしているが、完全BEV化を目指す2040年までの間に、このB3やB4 AWDの燃費が改善されることはあるのだろうか? 各メーカーが内燃機関の延命を宣言するなか、ボルボがエンジンをどう扱っていくのかは興味深い。
室内は、縦型モニターをいち早く採用した9インチの中央ディスプレイは、今となってはちょっと小さめ。とはいえマルチタスク化したモニターは主要コンテンツを配置しているし、オーディオやデフロスター/デフォガー、ハザードといった素早く使いたい装備は物理スイッチになっているから、使い勝手はわるくない。ドリフトウッド(流木)模様のダッシュや、ホワイトトリムのパネルもスタイリッシュで、相変わらず雰囲気のあるインテリアだ。
ワインディングでの走りは、“ちょっと”だけ惜しかった。
街中での快適な乗り心地を優先した足まわりは、タイヤの能力に対してダンパーの伸び側減衰力が弱めで、ターンインでの応答性がちょっと鈍くなる。ブレーキでフロント荷重を残せば素直に曲がってくれるけれど、基本的には「運動が苦手なタイプ」だ。
対してリアは伸びを上手に抑えており、ボルボらしい安定志向な仕上がりとなっていた。
2WD(FF)モデルの「B3」は、走りがもう少し軽快だ
エンジンは163PS/265Nmにパワーダウンしているが、山道でも大きな不満は感じない。しなやかな足まわりに対して18インチタイヤのキャパシティもマッチしているし、7速DCTのステップワークと60kg軽い車重が、むしろほんのりと俊敏さを上乗せしてくれている。
だが基本的にはスピードを上げるほど、操舵応答性は鈍くなる。対してリアは落ち着いている。
もしここに可変ダンパー制御が加われば、さらに走りが気持ち良くなるはずだけれど、70万台規模のメーカーでそのコストを埋めるのは難しいだろう。であれば常用域の快適性に的を絞り、高速域で安定性を優先する割り切りも納得がいく。
ドライ路面を走らせる限りはAWDとのトラクション差を強く感じることもなく、FWDでも乗り心地は良くて安定性も高い。だから降雪地域に住んでいるわけでなければ、FWDで十分だと思う。
総じてXC40は、今でも現役感のあるコンパクトSUVだった。
目新しい飛び道具はないけれど、“ブルドック”といわれたデザインは今でも愛らしい。ライバルはBMW「X1」やメルセデスベンツ「GLA」、アウディ「Q3」といったところだが、ダウンサイジングターボに対して直列4気筒2.0リッターターボはトルク的にも余裕があるし、そもそもドイツ勢とはキャラが違う。
かつて最高デザイン責任者のトーマス・インゲンラート氏は、「XC40は、XC90やXC60のスモール版ではない」と語った。2つのボルボがフォーマルな革靴だとしたら、XC40は高級スニーカーのような存在だとプレゼンテーションしたが、その通りだ。オンリーワンの愛されキャラとして考えれば、むしろランドローバーの「ディフェンダー」と悩んでもいいくらいで、そのコンパクトさやスターティングプライスの安さも含めてXC40の方が、カジュアルな選択になるだろう。いまなおXC40が売れ続けているというのは、そういうことである。


























