試乗記
コクピットを刷新した最新「コルベットZ06」試乗 自然吸気V8エンジンの咆哮はまさにレーシングカー
2026年7月14日 06:08
ドライバー最優先のコクピットデザインに進化
アメリカを代表するハイパフォーマンス・スポーツカーのコルベット「Z06」は、数々のレースで栄冠を手にしたコルベットが、サーキットで培った知見とデータをもとに、その性能を磨き上げた高性能モデルだ。日本では2023年5月に開催された「シボレーファンデー2023」で初公開され、デビュー以来、多くのエンスージアストを魅了してきた。
ミッドシップにレイアウトされた、V型8気筒5.5リッターDOHCエンジンの「LT6」は、市販のV8自然吸気エンジンとしては最高クラスである、最高回転数8600rpmと最高出力475kW(646PS)/8550rpm、最大トルク623Nm/6300rpmもの出力を実現している。
サーキット走行を前提として設計・開発されたパフォーマンスモデルであり、シャシーの共通性が高く、類似したエンジン構造とデザインを有するレーシングカー「C8.R」からの知見と経験を細部に生かすことで、高速走行時の安定性とコーナリング性能を向上させるとともに、優れた冷却性能、ブレーキ性能を兼ね備え、圧倒的なパフォーマンスと優れた乗り心地を実現しているという。
そんなZ06が、2026年の初頭に一部仕様変更および価格改定を行ない、さらに5月に再度価格が改定され、「Z06 クーペ 3LZ」が2680万円、今回試乗した「Z06 コンバーチブル 3LZ」が3020万円となった。
仕様変更については、ドライバー最優先のコクピットデザインがさらに進化し、新たに3つのディスプレイを搭載するとともに、センターコンソールの形状を変更。各種ボタンの配置を見直し、運転中の操作性が高められた。
新たな3つのディスプレイは、12.7インチの「センタースクリーン」、14インチの「ドライバーインフォメーションセンター」、6.6インチの「補助タッチスクリーン」が搭載された。新しいアニメーションとより洗練されたグラフィックのメーター、その他の計器類の表示に加え、パフォーマンストラクションマネジメントなどの情報を瞬時に映し出せる。
さらにリアルタイムで馬力とトルクの流れを可視化する「パフォーマンスアプリ」や、「Googleビルトイン」を搭載したインフォテインメントシステムを標準装備するなどといった先進テクノロジーが追加されているのもポイントだ。
複雑なラインを組み合わせて構成されたコクピットに、カーボン製のパドルシフトを備えた四角いステアリングホイールもコルベットならでは。フロントリフト機構が標準装備されるのも助かる。
リトラクタブルハードトップは、ドアに配されたスイッチを操作することで開閉が可能で、ワンタッチで爽快なオープンエアドライブへといざなってくれる。
LT6のドライブフィールは別物
その走りは鮮烈きわまりない。5.5リッターDOHC V8エンジンの「LT6」は、コルベットとしては歴代2番目となるDOHCであることや、フラットブレーンのクランクシャフトを採用している点が大きな特徴で、そのほかにも104.2mm×80.0mmという高回転型のボア×ストロークをはじめ、鍛造チタン製コンロッドや鍛造アルミニウム製ピストン、ドライサンプシステムなどいくつものレーシングユニット直系の要素が与えられていて、ドライブフィールもその他のコルベットとは別物だ。
アクセルペダルを踏み込むと本当に8600rpmまで軽々と回り、目の覚めるような加速とともに、背後から聞こえるエンジンサウンドの迫力も増して猛々しくなっていく。まるでレーシングカーに乗っているかのような感覚にみまわれる。
それでいてコルベットらしい低中速域のトルク特性をも両立させたとの開発陣の言葉どおり、扱いやすく、タイトターンの立ち上がりでも瞬発力を発揮する。
とにかくエンジンが印象的。パワフルかつトルクフルで、本当によく回る。サウンドも官能的で、往年のOHVのコルベットとはまったく異質のフィーリングだ。
ポテンシャルの限界は、はるかかなたに……
足まわりは、サーキットでの圧倒的なパフォーマンスと優れた乗り心地を達成するために、LT6のエンジン特性に合わせて調整を実施。マグネティックセレクティブライドコントロールを採用し減衰力を緻密にチューニングしたほか、ステアリングの応答性をさらに向上させるべく、フロント側のスプリングレートを高めたという。
ワインディングでは、タイトコーナーよりもハイスピードコーナーが得意な印象で、フロントに重量物のないミッドシップながら、ステアリングには手応えがあり、イメージしたとおり素直に動いてくれる。アクセルペダルを踏み込めば、寸分のタイムラグもなくエンジンパワーが路面に伝えられるトラクション性能の高さもまた、ミッドシップのたまものであり完成度の高いシャシーがあればこそだ。
日常の街乗りから高速道路まで公道を普通に走るとき向けのツアーモードでも足まわりはなかなかハードなところ、スポーツモードを選択するとさらに引き締まり、トランスミッションやステアリングもよりダイレクトなフィーリングに変化し、このクルマがタダモノではないことをより強調するかのような感覚を伝えてくる。
さらに、クローズドコースやサーキット走行のためのマシンの潜在能力を最大限引き出すトラックモードや、ワンボタンで呼び出せるドライバー専用のパフォーマンスモードであるZモードも設定されている。
公道での試乗なのでもちろん無理な運転はしなかったが、コーナリングでは限界がはるかかなたにあることはよく分かり、今度はぜひサーキットを走ってみたくなった。


























