試乗記

シボレーが誇るアメリカンリアルスポーツ「コルベット3LTクーペ」の魅力と底力を味わう

久しぶりに「コルベット クーペ(3LT)」を試乗する機会を得た

内外装やオプションが拡充

 久しぶりにコルベットに乗る機会に恵まれた。やっぱりこういうクルマに乗れるというのはワクワクするものだ。

 2021年に日本で発売されてから、大きな動きといえば、2023年のフラットブレーンのLT6を積んだ「Z06」や、2025年の初のハイブリッド「e-Ray」の追加が挙げられるが、今回試乗したのは、2024年末に一部仕様変更と価格の改定を受けた最新の「3LTクーペ」だ。変更内容としては、新ボディカラーの設定やインテリア仕様の変更、オプション装備の拡充などが挙げられる。

シボレー「コルベット クーペ(3LT)」。ボディカラーはアークティックホワイト
ボディサイズは4630×1940×1225mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2725mm、車両重量は1670kg

 エクステリアでは新デザインのリアスポイラーが採用され、よりダイナミックでアグレッシブな後ろ姿となった。また、ボディカラーに新色のセブリングオレンジティントコートが設定され、今回のアークティックホワイトら計8色が選べるようになっている。

 また、日本仕様は「専用エアロ(フロントスプリッター&リアスポイラー)」「パフォーマンスサスペンション」「ブレンボ製ブレーキシステム」「パフォーマンスエキゾースト」「電子制御LSD」「強化クーリングシステム」「ミシュラン製パイロットスポーツ4S」などをまとめた「Z51パフォーマンスパッケージ」が標準で装着されている。

5スプリットスポークの鍛造アルミホイールはサテングラファイトマシンドエッジ仕様。Z51専用ブライトレッドキャリパーも装備
よりアグレッシブで先進的な個性を力強く印象づける新デザインの「リアスポイラー」を採用
Z51パフォーマンスパッケージに含まれる「パフォーマンスエキゾースト」が乾いたサウンドを放つ

 装備の面では、時速40km/hまでフロントエンドを約50mmリフトアップさせる「フロントリフトハイトアジャスター」が3LTクーペには標準装備されている。視界を支援するためのカメラも随所に配されていて、車両周辺の状況をディスプレイを介して容易に確認できるのも助かる。

 3LTクーペとコンバーチブルのインテリアカラーには2色が追加され、全6色の選択が可能となった。

電動で開閉するコンバーチブルモデルも設定されているが、クーペも手動でルーフの一部を着脱可能だ

 車両価格は引き上げられ、3LTクーペは1695万円となったが、それでも内容の割には安いというコルベットの伝統も受け継いでいるように思えた。いまどきこの性能の欧州車なら2000万円以上のプライスが付いていても不思議ではない。

カーボンファイバー製のルーフは大人1人で持てる重量
整ったカーボン柄が浮かび上がるルーフ
荷物の収納能力はかなり減ってしまうが、ルーフはラゲッジスペースに収納可能。しっかりと固定できる構造なので、激しい走りをしてもまったく問題ない

貴重な大排気量自然吸気V8

 久々に乗ったコルベットはやっぱり刺激的だ。ドライバーを中心に設計されたことがヒシヒシと伝わってくるコクピットは、ずらりと縦にスイッチを並べて助手席と隔てた独特のインパネの両側に、コンペティションスポーツシートと呼ぶ電動のカーボンバケットシートが備えられている。低くスポーティなポジションとタイトなホールド感がコルベットによく似合う。

最高出力369kW(502PS)/6450rpm、最大トルク637Nm/5150rpmを発揮するV型8気筒6.2リッターエンジン(LT2型)は、インテークポートの長さを210mmにしたほか、スロットルバタフライの直径を87mmにするなど吸気抵抗値を改善。排気マニフォールドも低抵抗化を実現したという

 着脱可能なルーフパネルは、リアのエンジンルームの後方にあるラゲッジスペースに収納可能。ルーフは1人で着脱するのは苦労するが、いざとなればオープンエアドライブを楽しめるのもコルベットのクーペの醍醐味の1つだ。また、ラゲッジスペースにはクローズド時にはゴルフバッグが横積みできるようになっているほか、フロントにもそれほど大きくはないが、荷物を入れられるスペースが設けられている。

 パワートレーンについては基本的に従来を踏襲しており、最高出力502PS/6450rpm、最大トルク637Nm/5150rpmを発揮するV型8気筒6.2リッターエンジン(LT2型)に8速DCT(デュアルクラッチ)が組み合わされている。

運転席と助手席はしっかりと分けられていて、コクピット感がより伝わってくる。ステアリングは「スウェーデッドマイクロファイバー ラップドステアリングホイール」となる
サーキット走行にも対応する「コンペティションスポーツバケットシート(スウェーデッ ドマイクロファイバーインサート付ナパレザー)」を完備

 エンジンを始動させると迫力のある音で目覚め、走りだすといまや貴重な大排気量の自然吸気エンジンでないとなかなか味わえない、リニアなレスポンスと軽やかな吹け上がりを楽しませてくれる。アクセルを踏み込むと、トップエンドまで衰えない目の覚めるような加速も味わえる。やっぱり大排気量の自然吸気エンジンというのはいいものだと改めて思った。

 アメリカンV8エンジンとはいえ、往年のようなドロドロとした音とはちょっと違った、欧州系のV8に近い調律された響きが背後から聞こえてくるのもC8コルベットらしい。通常はV8でも低負荷時には気筒休止して、V4状態になることもメーター内に表示される。

走りに特化したZモードに瞬時に切り替えられるボタンをステアリング左側に配置している
シフトはボタン操作で、走行中はパドルシフトを使用。走行モードはシフトボタンの左にあるダイヤルを回して変更する
カスタムレザーラップドインテリアを採用するほかBose14スピーカーパフォーマンスシリーズサウンドシステムを標準装備

乗りやすくて官能的

 走行モードは、「ツアー」「ウェザー」「スポーツ」「トラック」の4つと、さらに自分好みにセットアップした「マイモード」、主にサーキットでその威力を発揮できるよう、幅広いメニューからエンジンとトランスミッション、ステアリングの設定を詳細にセットすることで、ドライバーが要求する高いレベルのドライビングに対応する「Zモード」の全6つ。

 ダイヤルでドライブモードを変えるとドライブフィールに加えてメーターの表示もガラリと変わる。走行モードが多彩に選べるのもC8コルベットならでは。トラックを選択したときに赤いタコメーターが上に来てドーンと太いバーグラフになるのも印象的だ。

トラックモード
スポーツモード
ツアーモード

 ステアリング左側にある「Zモード」のボタンを押すと、走りに特化したZモードのほか、エンジン、サスペンション、ステアリング、ブレーキ、排気音などをあらかじめ設定しておいた好みの乗り味に一発で変わる。

 ツアーモードにすると、コルベットらしい雰囲気をほどよく維持しながらも、やや全体的に控えめになり、より快適に乗れるようになる。以前乗ったときよりも全体的に乗り心地がよくなったような気がした。

ステアリングフィールはダイレクト感がある

 ミッドシップになりフロントに重量物であるエンジンがなくなったため、軽快なハンドリングを楽しめるようになったのもC8コルベットならでは。ダイレクト感のあるステアリングを操って、意のままに行きたいところに行ける。

 コルベットらしい豪快なフィーリングと現代的な緻密さを兼ね備えていて、欧州勢と比べても引けを取らないほどのスーパースポーツに仕上がっている。乗りやすくかつ官能的で、心なしか出たてのころよりも全体的に洗練されたような感じがした。久しぶりに乗ったのだが、アメリカンリアルスポーツの魅力と底力を見せつけられた思いがした。

現行コルベット3LTクーペは発売当時よりも全体的に洗練されたような感じがした
岡本幸一郎

1968年 富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスのモータージャーナリストとして独立。国籍も大小もカテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもさまざまなタイプの25台の愛車を乗り継いできた。それらの経験とノウハウを活かし、またユーザー目線に立った視点を大切に、できるだけ読者にとって参考になる有益な情報を提供することを身上としている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:安田 剛