試乗記

【国内メーカー最新電動モデルイッキ乗り】新型「アウトランダーPHEV」、万能性とタフさとともに電気の使い方の新境地を開いた

3月に行なわれたメーカー合同EV取材会。国内メーカーのBEV/PHEVを主とした最新電動モデルが一同に会し、各モデルに試乗することができた。今回はその第二弾として三菱自動車「アウトランダーPHEV」編をお届けする

 アウトランダーPHEVにはi-MiEVでのEVへの早い取り組み、アウトランダーで始まったPHEV先駆者らしい技術の蓄積が活かされていた。現行アウトランダーPHEVがデビューしたのは2021年。2024年に内装の高級化、実用に叶ったバッテリの大型化と出力の向上、欧州進出も視野に入れたS-AWCの改良などで後期型と呼ばれるフェーズに入った。

 実は2025年9月にもセンターコンソールにデザイン変更があり、セレクトレバーを右に移動させたためドリンクホルダーがその横に縦配列することができ利便性が増していた。ユーザフレンドリーな改良を重ねることで息の長いクルマに仕上げる意思が感じられ、独自性のあるエクステリアも飽きがこないデザインで三菱らしくファン層の開拓に成功している。

 また後期型ではサスペンションの設定変更や剛性アップで大きく進化している。例えば高速道路や郊外路を問わないゆったりとした直進性は上級SUVにふさわしく、軽く手を添えていればよくストレスフリーだ。またテストコースでもジョイント路や段差でもショック伝えないのも改めて感心した。今回試乗したBEV、PHEVの中でも乗り心地の滑らかさはベストだった。

試乗車の「P Executive Package」(662万5300円)。ボディサイズは4720×1860×1750mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2705mm
タイヤサイズは255/45R20
直列4気筒DOHC 2.4リッター「4B12(MIVEC)」型エンジンは最高出力98kW/5000rpm、最大トルク195Nm/4300rpmを発生。また、フロントモーターは最高出力85kW/最大トルク255Nm、リアモータは最高出力100kW/最大トルク195Nmを発生する。WLTCモード燃費は17.2km/L
2025年9月の改良ではセンターコンソールをより高級感のあるデザインへ刷新するとともに、コンソールボックス上部の肘置きスペースを拡大し、ゆったりとした着座姿勢とした。それに合わせてコンソールボックス容量の拡大と、ボックス内にUSB充電ポート(Type-C)を追加し、さらにドリンクホルダー位置の見直しを図ることで利便性も向上させた

 ハンドリングは穏やかだが鈍重ではなく、小さなコーナーでもライントレース性は高い。全高の高いSUVだが、22.7kWhのバッテリをボディ中心に置いたレイアウトでロールもゆったりとしている。前後重量配分は2名乗車で55:45となり、フロント接地荷重を重視する三菱開発陣の理想に近づくという。

 アウトランダーPHEVにはSAVEモードとCHARGEモード、NORMALモードがある。デフォルトはNORMALモードで高速道路でもバッテリ主体となるので(データでは102km走行可能)、実質距離はもっと短くなる。そのため、高速道路や郊外路ではSAVEモードでバッテリ残量をキープし、エンジンでクルージングする使い分けで燃費を伸ばすことができる。急速充電口も備わるので、高速道路のサービスエリアでも短時間充電が可能だ。

ハンドリングは穏やかだが鈍重ではなく、小さなコーナーでもライントレース性は高い

 動力性能では電気のサポートがすばらしく円滑で、約2150kgのアウトランダーは軽々と走る。電気ならではの発進時の大トルクの恩恵だ。それに加えて途中加速でも鋭い反応で重さを感じさせない自然な加速はすばらしい。さらに減速時の回生ブレーキの使い方が繊細で、動きは滑らかだ。回生力はパドルシフトで5段階に変えられるので、エンジンブレーキ代わりに使えるのも良いアイデアだ。

 S-AWCによる電動4WDで悪路でも走れる万能性と、三菱伝統のタフさはアウトランダーの身上でもあり、電気の使い方の新境地を開いた。ちなみにハイブリットWLTCモード燃費は17.2km/Lになる。

重さを感じさせない自然な加速は目を見張るものがあった
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。

Photo:安田 剛