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写真で見る 三菱自動車「アウトランダーPHEV」(2024年大幅改良モデル)

大幅改良を受けたアウトランダーPHEV。撮影車両のボディカラーはホワイトダイヤモンド/ブラックマイカの2トーン

 三菱自動車工業らしいクロスオーバーSUVベースのプラグインハイブリッド車「アウトランダー(アウトランダーPHEV)」。現行モデルとなる3代目は「威風堂堂」をコンセプトに2021年12月にデビュー。EV走行時の力強い走りや、「S-AWC」による軽快な走行性などが多くのユーザーから支持を受けてきたが、この秋、さらなるパフォーマンスアップを目指し大幅改良を実施、10月31日から販売を開始する。

 新型のポイントを紹介する前に少しだけ同車の歴史を振り返っておきたい。まず、同社初のクロスオーバーSUVとして初代モデルがデビューしたのが2001年。ただ、日本国内では「エアトレック」として販売されていたため、実質的には2012年にデビューした2代目を初代モデルとした方が分かりやすいかもしれない。この時、ガソリンエンジン車が先行リリースされ、翌2013年にSUVとしては世界初となるPHEV車を追加。このモデルは約8年半と長めのモデルサイクル中にフェイスリフトやパフォーマンス改善などが実施され、日米欧豪などで約29万台が販売されている。

 3代目となる現行モデルは「威風堂堂」をコンセプトにすべてを刷新。ルノー、日産自動車、三菱自動車のアライアンスにより新開発されたプラットフォームを採用し、ボディサイズは4710×1860×1745mm(全長×全幅×全高)と大型化。日本仕様はPHEVモデルのみとなり、直列4気筒DOHC16バルブ 2.4リッターのMIVECエンジンを核に、フロント&リアのモーターを組み合わせたツインモーター4WDとなった。駆動用バッテリは20kWhの容量を持つリチウムイオンバッテリを搭載し、ハイブリッド燃料消費率はWLTCモード燃費で16.2~16.6km/L、EV走行換算距離は83~87kmを実現していた、というのがこれまでの大まかな流れ。

撮影車両は最上級グレードとなるP Executive Package。ボディカラーはムーンストーングレーメタリック。ボディサイズはMグレードが4720×1860×1745mm(全長×全幅×全高)、そのほかは全高が1750mmになる

 今回の大幅改良では駆動用バッテリの刷新が大きなポイントになる。前述したように従来は20kWhの容量を持つバッテリを搭載していたが、新たに22.7kWhへと容量をアップ。EV航続距離は「M」グレード比較で87kmから102km(WLTCモード)となり、ついに3桁の大台に到達することになった。同時にバッテリのセルやモジュールの構造をリファインすることにより、内部抵抗を約30%減らすとともに冷却性能を約50%アップするなど性能を向上。

 その結果、単位時間あたりの出力を約60%アップしたほか、トータルシステム出力も約20%アップ、充電時間(約8割まで)についても約38分から約32分へと短縮されるなど、大きな進化を遂げている。これにより0-100km/h加速が従来モデルより2秒短縮されるといったパフォーマンスアップを果たしているほか、S-AWCのリセッティングをはじめ、サスペンションの最適化や新タイヤの採用など広範囲に手を入れることにより、乗り心地や操縦性の向上なども実現している。このあたりの実際のフィーリングは試乗記事を参照していただきたい。燃費に関してはWLTCモードで17.6km/L(Mグレード)~17.2km/Lとなる。

 もう1つのポイントは質感や機能の向上で、とくにインテリアはかゆいところに手が届くような変更が加えられている。目立つところでは全車標準装備となる「スマートフォン連携ナビゲーション」のディスプレイを従来の9インチから12.3インチへと大型化するとともにコネクテッド機能を強化した点。そして、新たにヤマハと共同開発した専用オーディオシステムを搭載しているのもポイントだ。

 とくに最上級グレードでは、デュアルアンプと12個のスピーカーを組み合わせた「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」を搭載しており、楽器メーカーでもあるヤマハならではのコダワリのオーディオ環境が作り上げられている。ミドルグレードにおいても8個のスピーカーを組み合わせた「Dynamic Sound Yamaha Premium」を搭載する。撮影時にどちらも試聴することができたが、傾向的には低域から高域までクリアで解像度の高い素直なサウンド。スピーカー取り付け部周辺のパネル隙間を塞いだり、取り付け部の剛性アップを図ったりといった物理的なアプローチも行なわれており、低域の迫力も純正オーディオとは思えないほど。このあたりは伝わりにくいと思うので、ぜひ実車のサウンドを聞いてみて欲しい。

 シートまわりでは一部グレードの表皮デザインを変更するとともに、シートベンチレーションも採用。そのほか、デジタルルームミラーやアルミペダルの採用、室内ランプのLED化など細かな部分まで手が加えられている。

 エクステリアは一見、改良前モデルと大きな差がないように見えるが、フロントグリルをはじめ前後のバンパーやスキッドプレート、リアコンビランプ、アルミホイールといったアイテムのデザインを変更。ボディカラーは新色として「ムーンストーングレーメタリック」を追加しており、2トーンが5タイプ、モノトーンが8色用意される。

 グレードは従来どおり「M」「G」「P」に加えて、最上級グレードとなる「P Executive Package」を新たに追加。「M」グレードは5人乗りのみとなるが、そのほかは5人乗りと7人乗りが選択可能。価格は526万3500円~668万5800円。

見ただけでは分かりづらいが、ボンネットの開き方が変わっている。同時にボンネットの材質もアルミから鉄に変更されている。これは改良後モデルから販売が開始される欧州での高速走行を見据えたものだという
こちらは改良前のボンネットの開き方。グリル部がボンネットと一体になっている
ヘッドライトウォッシャーは全車標準装備
リアコンビランプはデザインを一新
エンジンは直列4気筒DOHC16バルブ 2.4リッターの「4B12」型。最高出力98kW/5000rpm、最大トルク195Nm/4300rpm。モーターは最高出力85kW(前)/100kW(後)、最大トルク255Nm(前)/195Nm(後)
普通充電と急速充電のコネクターが備わる。リッドはロック&照明付
Mグレード以外のタイヤサイズは255/40R20。タイヤはブリヂストン「アレンザ001」を履く。アルミホイールは2トーンの切削光輝仕上げ。Mグレードのタイヤサイズは235/60R18
P Executive Packageはブラウンとブラックコンビネーション。ディスプレイの大型化とともにその両サイドもブラウンカラーに
本革巻シフトノブは全車共通。周囲のパネルはP系グレードはマシーンドアルミ、それ以外はピアノブラックになる
メーターパネルはフル液晶
ドライブモードセレクターを回すことで7つの走行モードを選ぶことができ、EVモードも選択が可能
アルミペダルはP系グレードに標準装備
フレームレスタイプのデジタルルームミラーはMグレード以外に標準
スマートフォン連携ナビゲーションのディスプレイは12.3インチと大型化された
P系グレードには3ゾーン独立温度コントロール式フルオートエアコンを装備。それ以外は左右独立温度コントロール式フルオートエアコンになる
P Executive Packageには12個のスピーカーを擁するDynamic Sound Yamaha Ultimateが標準。P、Gグレードもオプションで装着可能
Dynamic Sound Yamaha Ultimateで使用されるスピーカー
P、G、Mグレードに標準となるDynamic Sound Yamaha Premiumのスピーカー
アフターマーケットのオーディオシステムのような細かな音質調整が可能
P系グレードは運転席、助手席ともパワーシートを採用。シートヒーターだけでなくシートベンチレーションも備わる
アームレストにはパワーウィンドウとドアミラーのスイッチ
ドアノブ横にはパワーシートのメモリースイッチ
2列目はベンチタイプ。中央には収納式のアームレストが備わる
リアドアのドアトリム
P系グレードは3ゾーンエアコンが標準のためリアも温度調節が可能
ロールサンシェードはMグレード以外に標準装備
3列目シート
フル乗車時でも若干の積載スペースがある
3列目を収納するとフラットな積載スペースが出現
2列目を前倒しすることでさらなる積載スペースを確保することが可能
壁面にはシート前倒し用のレバーやAC100Vコンセントなどが備わる
5人乗りモデルのラゲッジ。7人乗りモデルより若干フラットなスペースが広い
バックドアにもランプを用意。夜間の積み降ろしには重宝する