試乗記

BMW5シリーズのロング仕様「525Li Exclusive M Sport」初試乗 完成度の高い正統派セダンの乗り味とは?

BMW5シリーズのロング仕様「525Li Exclusive M Sport」に試乗する機会を得た

全長5m超の5シリーズがさらに長く

 プレミアムセグメントにおけるミドルクラスのセダンとして、BMW5シリーズはかねてから高い存在感を発揮してきた。2023年7月に発表された8世代目となるBMW5シリーズは、見てのとおりBMW伝統のデザインを踏襲しているが、このクラスでついに初めて全長が5mを超えたことが話題となったことを思い出す。

 その5シリーズのセダンに、さらなるロングホイールモデルがラインアップに加わった。もともと中国向けには5シリーズのロングが存在していたが、それを日本にも導入するとは予想外だった。

試乗した525Li Exclusive M Sportのボディカラーはスパークリング・コッパー・グレー
ボディサイズは5175×1900×1520mm(全長×全幅×全高)、車両重量は1790kg

 ラインアップは2.0リッター直4ガソリン直噴ターボに48Vマイルドハイブリッドを備える「BMW 525Li」と、電気自動車の「BMW i5 eDrive35L」の2タイプで、いずれもスポーティかつエレガントなスタイルと充実装備の専用モデル「Exclusive M Sport」が設定されている。

「Exclusive M Sport」の外観は、M Sportバンパーや20インチのアロイホイールを装着しながら、ウィンドウ・モールディングにサテン・アルミニウム・ラインを装着することにより、のびやかで美しいスタイリングを強調しているのが特徴だ。

ホイールベースは3105mmで、最小回転半径は5.9m
ホイールは「Mエアロダイナミック939M」でサイズは前20インチ×8.5J、後20インチ×10J、試乗車の装着タイヤはピレリの「Pゼロ」で、サイズは前245/40R20、後275/35R20

 後ろ姿を見ると、後席乗員にとって居住空間を少しでも広く感じさせるためなのか、標準ホイールベースモデルよりもやや丸みを帯びたなだらかなフォルムとなっているように見えて、離れて眺めるとそれほど大きさを感じさせない。リアクォーターにある「5」の数字は、青く光るようになっている。

Cピラーにある「5」のレタリングはブルーのイルミネーションを内蔵している
アダプティブLEDヘッドライトやデイタイムランニングライトは標準装備。フロントバンパーとリアディフューザーには、サテンシルバーの専用エレメントを追加してロングモデルであることを主張

後席の居住性が向上

 インテリアも上質なBMW Individual レザー・メリノ・シートやスカイ・ラウンジ・パノラマ・ガラス・サンルーフ、Bowers&Wilkins サラウンド・サウンド・システム等を標準装着する、特別な専用モデルとされている。

内装色はBMW Individual レザー・メリノ コッパー・ブラウン/アトラス・グレー。インテリアとリムは、ダーク・オーク・ハイグロス・ファインウッド・トリム(ダーク・シルバー・アクセント)
フロントシートは、電動の運転席メモリー機能付きのほか、コンフォートシートでアクティブベンチレーション機能も搭載する。シートヒーティング機能は前後シートともに利用可能。後席はヘッドレストも備えている
スカイ・ラウンジ・パノラマ・ガラス・サンルーフも標準装備

 ボディサイズは通常モデルと比べ、全長が115mm延びて5175mm に、ホイールベースが 110mm延びて3105mmとなっており、後席の居住性が通常モデルに比べて向上している。リアシート自体も変更されていて、より柔らかで深みのある座面構造により快適で包まれ感のあるリラックスした乗り心地を実現したほか、ヘッドレストクッションの装備、小物入れおよびワイヤレスチヤージを完備したセンターアームレストが装備されている。

ステアリングには8速ATを操れるパドルシフトも備える
シフトセレクターまわり
メーターは走行モードによってグラフィックスが変化
中央にある14.9インチワイド・コントロール・ディスプレイ(タッチ・パネル機能付き)でも走行モードの変更は可能。またモードに合わせてイルミネーションの色も変化する

 Bピラーにもエア・ダクトが設けられていて、花粉やバクテリア等の外気中に漂う微粒子をナノ・レベルで除去するナノ・ファイバー・フィルター付き4ゾーン・オートマチック・エア・コンディショナーも標準装備されている。

 装備の数々で業界をおどろかせた7シリーズのような派手さはないにせよ、控えめながら後席に乗る人にとって少しでも居住性が高まるようにするための心配りが、随所に施されていることが伝わってきた。

後席はより快適で包まれ感のある乗り心地を実現するため、柔らかで深みのある座面構造を採用していて、終始リラックスした状態でくつろげる
後席も独立して4ゾーン・オートマチック・エア・コンディショナー(ナノ・ファイバー・フィルター付き)を備える
センターアームレストにはストレージボックスや置き充電などを備えている
トランクルーム容量は500L

まろやかでなめらかな走り

パワートレーンは最高出力140kW(190PS)/5000rpm、最大トルク310Nm/1500-4000rpmの直列4気筒2.0リッターターボエンジンと、マイルドハイブリッドシステムのモーター(最高出力8kW[11PS]/6000rpm、最大トルク25Nm//500rpm)に8速ATの組み合わせ

 試乗したのはガソリンモデルの「525Li」で、このクラスで直列4気筒2.0リッターターボという組み合わせが、どうなのかというのも気になるところ。だが、意外にも車両重量は1.8tを下まわっており、310Nmという最大トルクを1500-4000rpmという幅広い回転域で生み出してくれれば、走りに大きな不満はない。

 パドルシフトにはブーストボタンも付いていて、10秒限定でより強力な加速を得ることもできる。ただし、エンジンを回すと4気筒の音がどうもクルマと不似合いに感じられてしまうのは仕方がないところだが……。

310Nmという最大トルクをいかしてグイグイ走れる

 乗り心地やハンドリングは、もともと標準の5シリーズも本当によくできていると思うが、ロングになってもすばらしい。路面の凹凸を巧みに吸収してくれて、まろやかでなめらかで大柄ながら意のままに操れて走りに一体感がある。

 せっかくなので後席にも乗ってみたが、標準の5シリーズセダンよりもたしかに圧倒的に広くて、シートクッションも厚みがあり、乗り心地は上々だ。突き上げを感じないように、上手く仕上げられている。

 後席向けの巨大スクリーンまで駆使した7シリーズほどではないが、モードの選択により走りや車内のビジュアルやサウンドなど雰囲気が変わるのも一連のモデルと同じだ。また、運転しているときは少し気になった4気筒のノイズも、後席に乗るとあまり気にならなかったあたりも何らか手当てされているのだろう。

意のままに操れるうえ、走りに一体感がある

 ミニバンもいいが、こうした完成度の高い正統派セダンに触れると、やっぱりショーファードリブンはセダンに限るように思えてくる。

 価格はてっきり1000万円を超えているのかと思ったら、意外や960万円とのことで、オプションは無償でこのボディカラーとシートを選べる。ご参考までに、バッテリEV(電気自動車)の「i5 eDrive35L Exclusive M Sport」は1061万円、7シリーズは1666万円となっている。

岡本幸一郎

1968年 富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスのモータージャーナリストとして独立。国籍も大小もカテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもさまざまなタイプの25台の愛車を乗り継いできた。それらの経験とノウハウを活かし、またユーザー目線に立った視点を大切に、できるだけ読者にとって参考になる有益な情報を提供することを身上としている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:安田 剛