写真で見るホンダ「インサイト」


 今回撮影した「インサイト」は2代目であり、初代は1999年9月に発表された。徹底的な高効率を目指したコンパクトカーで、1リッター3気筒ガソリンエンジン+ハイブリットシステム(IMA:Integrated Motor Assist)、アルミフレーム、フルカバードのリアホイールなどが採用された。車重はわずか820~850kgに収まり、燃費は32~36km/L(10・15モード、以下同)だった。しかしあまりに実験車的なニュアンスが強く、乗車定員も2名に限定されていた。

 2代目「インサイト」は意欲的なハイブリット車となった。ハイブリットは特別なものではなく、日常的に使えるクルマでなくてはならないという考えのもと、使いやすさや軽快な走りにこだわって作られた。ハイブリットシステムはシンプルな構成を取るが、それでも28~30km/Lという低燃費を得た。価格は189万円~221万円と、トヨタの「プリウス」の205万円~327万円に比べて低く抑えられている。

 可変シリンダーシステムなどを採用した直列4気筒SOHCエンジンの排気量は1339cc、最高出力は65kWを得ている。モーターの最高出力は10kWだ。モーターはあくまでエンジンの補助として機能する。その代わりにシステムの小型化が徹底的に行なわれた。新設計の薄型モーターは「シビック ハイブリット」比で22%の薄型化と15%の小型化を達成。高出力Ni-MH(ニッケル水素)バッテリーは出力と耐久性を向上させ、モジュール本数をシビック ハイブリットの11本から7本へ削減。約31%の小型化と約35%の軽量化を実現した。これらの小型化により、バッテリーとPCUを荷室下へ配置することが可能になった。

 トランスミッションは高効率なCVT(ホンダマルチマチックS)を採用。発進時のストール回転数を下げ、より低い回転でクラッチをつなぐ。走行状態に合わせてエンジンとモーターを最適に制御。低速時にはモーターのみで走行し、停車時にはアイドルストップする。また、アイドルストップ領域の拡大やエアコンの省エネ制御などを積極的に行なう走行モード「ECONモード」も用意された。スピードメーターの背景色を変化させることで燃料消費状況を確認できるコーチング機能など、低燃費運転をアシストする機能も装備する。

 安全性の面では、自己保護性能と相手車両や歩行者への攻撃性低減を両立したボディーを採用。サイドカーテンエアバッグや前席用サイドエアバッグも設定。横滑り防止装置「VSA」も装備する(一部オプション)。また、後面衝突時に頚部にかかる負担を軽減する「フロントアクティブヘッドレスト」を全タイプに標準装備した。

 なお、撮影に使用した車両は「L」グレード、ボディーカラーはスペクトラムホワイトパールである。

インサイトのボディーは5ドアハッチバック。トヨタのプリウスにも似たワンモーションシェイプだが、プリウスよりも全長、全幅、全高ともに数cmずつ小さく、5ナンバーサイズに収まっている。車重は1190~1200kgと、プリウス(1310~1350kg)より100kg以上軽い。空気抵抗にも考慮しており、ボディー下部は空気が効率よく流れるようパーツが配置されている

 

フロントのデザインはホンダの最近の流れを組む逆台形が基本だが、シルバー塗色のバンパーとヘッドライトを視覚的につなぎ、より先鋭的なイメージとしているリアのコンビネーションランプは鋭角的な三角形のデザイン。バンパーのコーナー部分はかなり大きいが、このランプとうまくバランスしているホイール。撮影車はオプションの15インチアルミホイールを装着していた。「L」グレードの標準はスチールホイール
バンパー上のグリルは小さく、バンパー下のグリルは大きな開口部を持つヘッドライト。ロービームはプロジェクタータイプのHIDを装備する少々分かりづらいが、ロービームを点灯したところ
バンパーコーナー部のウインカー。その下にはエアダクトを備えるウインカーを内蔵したドアミラーストップランプにはLEDを使用している
ドアノブ。撮影車はオプションの「Hondaスマートキーシステム」を装備テールゲートに貼られた「HYBRID」のロゴマーク反対側には「INSIGHT」のロゴマーク

 

エンジンルーム。シンプルなハイブリッドシステムであり、通常のクルマと違った印象はないエンジンカバーにはハイブリッドである旨が示されている
ラゲッジルーム。トノカバーを引き出した状態トノカバーは簡単に取り外し可能トノカバーはラゲッジルーム後端に収納できる
この状態で奥行き850mm、幅940mmの床になる後席は6:4の分割式リアシート右側を倒せば長尺物+3名乗車が可能
両方を倒せばフルフラットのラゲッジルームになるフロアボード中央を開けるとサブトランクが出現するフロアボードは下段にもセットでき、荷室の高さが105mm増える
フロアボードを開けた状態。工具などが現われる。かなり広い空間だフロア下のボックスを外すとIMAのバッテリーなどが現われる。スペアタイヤは搭載していないフロア下のボックス。工具や停車板、パンク修理材、エアコンプレッサーなどが収まる

 

インパネは円形を基調にしたデザイン。スピードメーターとその他が上下に分かれているのが特徴ハンドルはスポーク部に各種のスイッチを備えるハンドルの向かって左はエアコンなどの空調の操作系、そしてカーナビへと続く
ハンドルの左スポークにはオーディオリモートコントロールスイッチが並ぶその下には電話のハンズフリー機構のボタンが置かれているハンドルの右スポークにはマルチインフォメーションディスプレイの切り替えスイッチ
ハンドル左奥のワイパー/ウオッシャーレバー右奥のライト/ウィンカーレバードアミラー調整スイッチの下の緑色のボタンは「ECON」スイッチ。燃費優先の走行モードになる
シフトレバー。これは通常のオートマチックのみだが、「LS」では7速マニュアルシフトモードが可能アクセルペダル、ブレーキペダルの2ペダルオプションのHondaスマートキー。キーを携帯するだけで施錠や開錠が可能だが、非常用のキーが仕込まれている
エンジンスイッチ。車内にスマートキーがあれば、差し込まなくても始動するVSA(車両挙動安定化システム)のオフスイッチETC車載器は、「Honda HDDインターナビシステム」とのセットオプション

 

運転席。ホワイトやシルバーなどの明るいボディー色では、黒に近いシートカラーとなるインパネを上から見る。立体的な構成になっていることが分かるアームレストもシートと同色。パーキングブレーキはレバー式
アームレースとを開けた状態。小物入れの容量も結構あるシフトレバーの前にあるカップホルダーカップホルダーのボックスは取り外し可能
カーナビの下にあるセンターポケット。チケットなどを入れておくのに便利グローブボックス。上の丸はエアコンの吹き出し口グローブボックスにはカードホルダーも付いている
リアシート。リアのドアにもカップホルダーを備えるリアセンターアームレストにもカップホルダーリアシートを倒すためのレバー。左右に装備する
マップランプは、レンズを押すと点灯し、もう一度押すと消灯するリアの視界。真後ろはそこそこ見えるが、斜め後方は見づらいカーナビの下にあるアクセサリーソケットと、AV入力端子
助手席側のドア。大きめのドアポケットを装備運転席側のドア。各ウィンドーの開閉スイッチや集中ドアロックのスイッチがあるフロアに設置された緊急脱出用のハンマー

 

スピードメーターは運転のエコ度が上がるとグリーンに変化するアンビエントメータータコメーターの中央がマルチインフォメーションディスプレイ。さまざまな表示を行なうecoガイド。バーの伸びでエコ度をコーチングする
平均燃費履歴。過去3回分の平均燃費を表示する平均燃費/瞬間燃費。瞬間燃費はバーグラフで表示されるIMAバッテリー残量/エネルギーフローの表示
平均車速。トリップメーターをリセットしてからの平均時速経過時間。エンジンを始動してから停止するまでの時間を表示航続可能距離。ガソリン残量と平均燃費を元に算出される

 

カーナビのディスプレイに表示されるECO評価同じくECO情報。運転の採点や履歴も表示可能通常のナビゲーション画面
オーディオソースの選択。もちろんHDDも搭載HDDのソースの表示。これはグループ表示同様のHDDのソースの表示。トラック表示

 

(平 雅彦 WINDY Co.、Photo 石川 智)
2009年 9月 1日