写真で見るルノー「カングー」


 「カングー」はフルモデルチェンジして2代目だが、ルーツをたどれば「エクスプレス」「ルノー 4 フルゴネット」から続くルノーのコンパクトトールワゴン。本国では商用車仕様が約半分を占めるカングーは、実用車らしく質素だった初代に比べて、内装が一気にバージョンアップ。質感の向上だけでなく、ロードノイズの侵入が少ないなど快適性も向上。5人乗りミニバンの代用として、十分に快適なクルマに仕上がっている。

 サイズは従来よりも大型化した4215×1830×1830mm(全長×全幅×全高)。同社の「セニック」と同じプラットフォームを採用し、サイズアップは主に室内空間の増大にあてられた。大型化とはいえ、4215mmの全長はCセグメントのハッチバック車並み。ボディーの背が高いことに加え、ボディー側面が直立に近いスクエアなデザインによって、室内空間は広大の一言につきる。

 ルノー・ジャポンはカングーの広大な室内空間を「遊びの空間」と呼んでアピールする。簡単な操作でリアシートがフラットになることに加え、助手席までフラットな空間とすることもでき、2.5mの長さの組立家具を積むことも可能。収納が多く、天井に収納スペースがあることもカングーの特徴のひとつとなっている。

 エンジンは1.6リッター直列4気筒 DOHC。最高出力は78kW(105PS)、最大トルクは148Nm(15.1kgm)。4速AT車なら1460kg、5速MT車なら1420kgの車体にこのエンジンはパワー不足の感も否めないが、もともと飛ばす車ではない上、フランス車ゆえ必要なら高い回転を使ってパワー不足を補えばうよいというということか。

 必要十分な実用的装備に徹したためか、このクラスにしてMTが219万8000円、ATが229万8000円と輸入コンパクトカー並みの価格を実現したこともカングーの魅力のひとつ。また、車体色は注文色を含めて12色が用意され、カラーバリエーションも楽しめる。

カングーのサイズは横幅こそ1830mmと大きめだが、全長は4215mmとコンパクト。それでも間近で見ると大きく見える原因は1830mmの高さとスクエアなボディー形状によるものといえよう。カラーはブルー ボルガ
注文色のブルー モントM先代カングーのイメージを引き継ぐアーモンド形のヘッドライト。バルブはハロゲン。フォグライトはバンパー内にある
ミラーは大型で視認性は良好。サブミラーも標準装備するフューエルリッドは手で開け、給油口はキーが必要テールライトも先代のカングーのイメージを引き継ぐが、位置は上に上がった
ホイールはスチールでホイールキャップ付き。タイヤは195/65R15。サスペンションの進化により従来型よりもロールは10%抑えられていると言うエンジンは1.6リッター4気筒DOHCを横置き。ルノー車ならではの黄色いキャップ類が目を引くラジオのアンテナはルーフ前方中央に装着される
バックドアは左右に開く観音開き。左→右の順に開ける。閉めるときは逆の順。日本国内には導入されないが跳ね上げ式ドアの仕様もあるトノボードは下の段に装着することも可能。ボード上には50kgまで載せることができる。スクエアな荷室ならでは機能だトノボードを外せば、5名乗車でも広大な荷物スペースが確保できる
リアシート、助手席まで倒すことができる。すべて倒した状態では広大な最大2866Lの容量が出現する
リアシートは座面が前にスライドしてフラットに収納される仕組み。操作は背もたれのレバーを引き上げるだけ
助手席も座面がスライドしてフラットになる。ヘッドレストは前方向に折りたたんでダッシュボードとの当たりを回避する
畳んだ助手席の上は80kgまで荷物を置くことができる助手席側ドアはシンプルデザイン。ポケットに穴があいているのは何が入ってるか見えるようにするため
シートを畳んだ状態ではこれだけ広大な荷物スペースが出現する。ボディー上部までスクエアなので思った以上に広い空間ドアは両側スライドでここまで開く。床面も低くてほぼフラット
リアシートの床下に収納スペースがある。フロアマットを敷いているとアクセスしにくいのが残念だ
バックドアは通常90度までの開閉だが、ヒンジのロックを解除すれば180度まで開く。黄色いカラーは「ジョン アグリュム」
工具収納スペースやラゲッジルームライトを装備、荷物固定用のフックなども多数ある。開口部の高さは地面から587mmスペアタイヤは床下。交換の際に荷物を出したり、汚れたタイヤを室内に入れるたりする必要がない
室内は最近のルノー車に多い、傾斜したダッシュボード。明るい色使いの内装がさらに明るく見えるステアリングホイールにはクルーズコントールの操作ボタンがあるシフトレバーはレザーのブーツ付き
1日300回サイドブレーキを引くフランスの郵便局員と共同開発したサイドブレーキレバードアには4枚分のパワーウインドー操作スイッチとサイドミラーのリモコン
左側のコラムレバーはウインカーとヘッドライトの操作右側のコラムレバーはワイパー操作。先端のボタンはディスプレイの表示切替。さらにステアリングから手を離さずにオーディオ操作ができるサテライトスイッチがある一番右はクルーズコントロール、速度リミッターの操作スイッチ
ダッシュボード中央には、右側に時計と外気温、左側がオーディオの表示部分となる。また、この部分はA4サイズのノートが置ける収納スペースにもなっているエアコンはオートエアコンとなる。オーディオはCDの挿入口と操作ボタンがあるのみで、表示は上のディスプレイにまとめて表示となるキー本体にも電波リモコンを内蔵できるようになっているが、国内法規に合致しないため機能を無効にし、別途リモコンが付属する
ミラーと室内灯助手席バイザーだけミラーを内蔵する。どちらもメモなどを挟みやすくしている
カングーは5速MT車も用意される。写真はディーラーオプションのカーナビを装備している
窓の下端が低いこと、ボンネット形状、大型ミラーから左側の視界は悪くない右の視界。Aピラーに細い部分があり、視界の遮りを最小限にとどめたという
タコメーターも装備されるメーター周り。スピードメーターは奇数目盛りスピードリミッター、クルーズコントロールは標準装備
スピードメーター下のディスプレイは右側のコラムスイッチで操作。これはガソリン消費量燃費計。欧州の標準である100km走るのに何リッター消費したかを表示する現在のガソリン残量でどのくらい走れるかを表示。リセットした後は多少走行しないと表示しない
トリップメーターとしても利用できる平均速度次回整備までの走行距離を設定して表示できる
シャボン玉をイメージしたシートの表皮デザイン「HOOPS」リアシートは大人3名が座れるようになっているフロントシートの天井に収納スペースがある
リアシートの天井にも収納スペースがあり、こちらはフタ付き。フタは3分割だが中は共通で24.4Lの容量がある天井にはフックも装備される
フロントシート背面にはテーブルが装備。カップホルダーもあるバックドアの裏側はボディーカラーが見える
リアウインドーもパワーウインドーで全開する。電気接点のためにドアを閉めた状態でないと操作できない
グローブボックスは車検証入れなどが収納できる。メインの収納スペースのほか、小物スペースが周囲やフタの裏側などにあるディーラーオプションのETCを車載器は、グローブボックス内に設置となるようだセンターコンソールボックスは8.9lLの容量があり、その前にカップホルダーがある
ディーラーオプションの「ナビゲーションシステム(高級タイプ)」HDDタイプでテレビは地上デジ対応。リアカメラも装備できるコーナーセンサーもオプションで装備できる。
オプションのマルチルーフレール(3万9800円、クロスバー機能付き)
耐荷重は40kg。バーの向きを変える際、ボディーに傷をつけない仕組みになっている

(正田拓也、Photo:田中真一郎)
2009年 9月 15日