写真で見るメルセデス・ベンツ「S クラス HYBRID ロング」


 メルセデス・ベンツはスタンダードなセダンとして、「Cクラス」、「Eクラス」、「Sクラス」の3シリーズを用意している。Sクラスはその中でトップレンジに位置すると同時に、世界でも有数の高級セダンに位置づけられている。

 Sクラスはこの9月にマイナーチェンジを行ったが(日本市場)、これに合わせて輸入車初となるハイブリット車を投入した。これが今回の「S クラス HYBRID ロング」である。

 この車は、国土交通省による「平成17年排出ガス 基準75%低減レベル」および「平成22年燃費基準+25%達成」の認定を獲得しており、輸入車として初めてエコカー減税対象車となった。自動車取得税と重量税が100%減免される。

 搭載されるパワーユニットは、ハイブリット専用に開発された3.5リッターV型6気筒ガソリンエンジン。そしてエンジンとトランスミッションの間に薄型の電気モーターを搭載する。最高出力15kW、最大トルク160Nmのこのモーターは、駆動や減速時の回生モーターとしてだけでなく、スターターモーターやジェネレーターとしても機能する。

 また駆動用バッテリーには、量産ハイブリッド車として初めてリチウムイオンバッテリーを搭載している。減速して車速が15km/h以下になるとエンジンがストップする「ECOスタートストップ機構」を搭載。これらにより2tを超える車両重量(2070kg)ながら、燃費は11.2km/L(10・15モード)を得ている。

 サスペンションはフロントが4リンク式、リアがマルチリンク。エアスプリングとショックアブソーバーを電子制御する方式だが、新型Sクラスではさらに進化した「AIRマティックサスペンション」が搭載された。センサーで検知した情報を元に、各輪を独立してコントロールする。また、「S」モードでは自動的に車高を15mm下げてロードホールディング性能を向上したり、「SPORT」モードではよりスポーツドライビングに特化した設定となったりといった機能も備えている。

 安全性の面でも非常に充実している。交通状況に応じてハイビームとロービームを連続的に切り替える「アダプティブハイビームアシスト」、車線の逸脱を検知するとハンドルを振動させる「レーンキーピングアシスト」、横滑り防止装置「EPS(エレクトリック・スタビリティ・プログラム)、コーナリング時に後輪内側のブレーキ調整を行い正確なコーナー進入を実現する「トルクベクトリングブレーキ」などを装備する。

HYBRID ロングはSクラスのロングボディーを採用している。ごくオーソドックスな4ドアセダンのスタイルながら、サイドから見ると前後に長いのが分かる。全長は5230mm。ホイールベースは通常のSクラスが3035mmなのに対し、ロングボディーは3165mmと、130mm延長されている。これはそっくり室内の延長に割り当てられており、広大な後席空間を確保している

 

大きなグリル、ヘッドライトにより、押しの強いフロントスタイルを得ているメルセデスの象徴ともいえるスリーポインテッドスターがフロントグリルの上に置かれるオーナメントはフロントの見切りにも役立つ
バイキセノンヘッドライト。照射範囲をインテリジェントにコントロールするフロントバンパー開口部に装備されるLEDドライビングライトLEDターンライトはドアミラーに組み込まれる
たっぷりした量感のテール部はひと目でSクラスだと分かるストップランプなどもLEDを使用しているバンパーに埋め込まれたような四角いマフラーエンド
タイヤサイズは255/45 R18。5本スポークのホイールを装着ドアハンドルは下半分がボディー同色となっているエアーバルジもホワイトに塗られている
サンルーフ。チルトアップした状態ルーフ後部に置かれたシャークアンテナフロントガラス上部に置かれた各種センサー類
車名には使われていないが、トランクリッドに「S400」のロゴトランクリッド右には「HYBRID」のロゴフェンダーにはメルセデスの環境テクノロジーの総称「BLUE EFFICIENCY」ロゴ

 

搭載されるエンジンはハイブリット用に開発されたV型6気筒3.5リッターエンジンルームを見る限り、ハイブリットであることを感じさせない広大なトランクルーム
床下にはサブトランクも用意される奥にもサブトランク。あまり使わないものを入れておくのに便利トレイを外すとスペアタイヤと工具が現われる
トランクリッドの縁にトランクを電動で閉じるスイッチを装備三角表示板がトランクリッドの内側に用意されているトランクルームにアクセサリーソケットを装備
しっかりしたファーストエイドキットが用意されているトランクの照明は後方へ存在を知らせる赤ランプにもなっているトランクリッドはほぼ垂直まで開く

 

インストルメントパネル。ウッドトリムが左右のドアまでつながるステアリング。大径のレザー&ウッド。各種操作ボタンを装備するステアリングとインパネまわり。ステアリング左にはレバーが3本ある
左上部のレバーはクルーズコントロールとスピードリミッター設定用左中央のレバーはターンシグナルランプやワイパーを操作するステアリング左下にはステアリングのチルト、テレスコピック操作用レバー
ハンドル右側にはシフトレバーが置かれるハンドル左のスイッチは、トリップやナビ、オーディオなどの操作ボタンハンドル右スイッチはボリューム調節と、電話に使用する。左下に見えるのは音声認識開始ボタン
メーターパネル右側にはAIRマチックサスペンションなどの操作ボタンが置かれているダッシュボード左脇に置かれたヘッドライトのスイッチダッシュボード中央のエアコン操作系。アナログ式の時計を装備
CDやDVDを6枚装填できるチェンジャーの操作部カーナビやオーディオを操作するCOMANDコントローラーコントローラー前のハンドレスト部は内部が電話用のボタンになっている
ブレーキペダル、アクセルペダルはオーソドックスなものキーを身につけていればボタンだけでエンジンが始動できるキーレスゴーキーレスゴー機能を持ったキー。もちろんイモビライザーも内蔵する

 

しっとりと落ち着いたインテリア。派手さは抑えるのがメルセデス流フロントドアは大きく開き、乗り降りしやすいドアの内側にはゆったりしたひじ掛け。ウッドトリムはドアまで伸びている
パワーシートのスイッチ類。シート、ステアリング、ドアミラーの位置までメモリーするウィンドーの開閉スイッチ。前方にはミラーの調整スイッチエアバッグは、サイド、ウィンドーなど、9カ所に装備する
センターコンソール前方のトレイ。きれいなウッドパネルで覆われるトレイを開けた状態。カップホルダー、灰皿などが収まるたっぷりした大きさのセンターアームレスト
アームレストは左右どちらからでも開けることができる助手席側のグローブボックス。エアバッグはその上に装備グローブボックスを開けたところ。ここにもアクセサリーソケットを装備する
バックミラーと室内照明ルーフにはサングラスホルダーを備えるサンバイザーにはミラーと照明を装備
サンルーフを室内から見る。シェードを閉じた状態シェードを開けた状態。開口部はなかなか広い前席から後方を見る。遠いところにウィンドーがあるが、視界は悪くない

 

ショーファードリブンとしても使われるSクラス。ロングボディーのためもあって後席は広い後席ドア。後席を重視した作りのため、前席ドアよりも大きいブラインドを閉じた状態。日射を遮るとともに、プライバシーも確保
後席にもパワーシートが用意される。位置を3通りメモリーするリアウインドー越しの風景リアウインドーにも電動開閉するサンシェードを備える
アームレスト。シートにはマッサージ機能を装備するが、そのスイッチ類がここに用意されているアームレストの収納部を開けたところアームレストに収納されるカップホルダー
後席用の空調装置。左右独立して温度と風量が設定できるリアシートにもバニティミラーが用意されるルーフのグリップ部分には後席用の照明を備える

 

メーター部はマルチファンクションディスプレイになっており、速度表示以外にも、クルマの各種状態表示、ナビゲーションのルート表示、COMANDシステム(オーディオなどの操作機能)の操作表示なども行う
AIRマティック(セミエアサスペンション)の状態表示距離計や燃費計の表示AIRマティックで車高を高くすることも可能
ダッシュボード中央の8インチワイドディスプレイ。ナビゲーション表示やラジオなどの表示はもちろん、クルマの各種状態をグラフィックに表示する
エアコンの温度設定表示前席のマッサージ機能の表示ディスプレイの表示などの設定
トランクリッドの開口角度制限や車速感応ドアロックのオン/オフなど、クルマの状態を細かく設定できるライトや照明関係も細かく調整できる。これはアンビエントライト(環境光)の色やルームランプ残照時間の設定乗り降り時の機能も多い。ハンドルやシートが動いて乗り降りをらくにするイージーエントリーや暗いところで自車を知らせるロケイターライティング機能などを備える

 

(西尾 淳 WINDY Co.、Photo 石川 智)
2009年 11月 9日